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あけましておめでとうございます。

さて、年始目標としてはまず「学園祭は踊る」をちゃんと完結させることでしょうか(^^;)
あとは、まだ途中の「予感」と新婚お題のクリア。
あ、もちろん文章能力の向上とかもありますが(--;)
ま、一番は自分が書いてて楽しくないとなので、気の向くまま思うまま好き勝手書いていきますわ。

と、いうことで。
今年もいろいろとモーソーがボーソーして(^^;)書き散らしていくこととなりましょうが、どうぞよろしくお願いいたします(笑)

2009.01.01 Thu l 管理人のつぶやき l コメント (2) トラックバック (0) l top
昨日はお客さんがひっきりなしだった、ここ星野家も(やち代への弟子からのあいさつがほとんど)2日の今日は静かにゆっくりお正月満喫中だ。
そんなおり、午後3時を回った頃に初詣帰りの佑介と栞が顔を出した。


「わざわざこっちにも来てくれてありがとう。ふたりともホントによく似合ってるわよ」
玄関で出迎えた咲子は、ふたりをみなのいる居間へと案内しながら言う。
「しおちゃんかわいいし、ゆうちゃんはかっこいいの♪」
ちゃっかり芙美もついて来ていた。
「ありがと、ふーちゃん(^^)」
「芙美ちゃんも、七五三で着たその着物、とってもよく似合っててかわいいよ」
栞と佑介は芙美ににこっと笑いかけた。

芙美の着物は、母方の祖母である真穂が用意してくれたもので、山吹色の地色にかわいらしい手鞠の刺繍や梅や桜などの花が染め抜かれた柄であった。
普通3歳ならば七五三の時は帯は締めず上に被布を着るものだが、芙美は被布は着ないで、作り帯ではあったが黒地に菊などの文様が金糸で織り込まれているものを締めたのだ。ゆえに今日もそのように着付けていた。
ちなみに咲子は丁子色に白のよろけ縞と梅が描かれている小紋を海松色地に七宝文様が刺繍されている帯をお太鼓に締め、すっきりと着こなしていた。


居間に入り、挨拶も済んで落ち着いたころにやち代が唐突にこんなことを言った。
「ところで、坊の羽裏は何にしたんだい、咲子」
佑介の着ている着物は咲子が縫ったものだ。
ついでに言えば、芙美の着物以外はすべてそうなのだが。
そんなやち代の着物は黒柿色の大島紬。博多献上の細帯できりっと貝の口を結んでいる。
「確か・・・・」
咲子が思案していると。
「とらさんだよ!」
芙美がにこやかに言った。
「そうそう。中国山水画風の竹林と白虎だったわ」
咲子は芙美の言葉にうなづいた。
芙美の笑顔を見ながら、佑介はそういえばそうだったと思いつつ栞と顔を見合わせる。
咲子は確か、ハクのことは知らないはずだけど・・・・。
「ふーちゃんがえらんだんだよ♪」
にこっと芙美が笑う。
どうやら、佑介の家に行った時に猫の姿のハクに芙美はなにか話しかけていたのだ。
すでにハクの本来の姿を知っている芙美は、その姿をイメージしたようだ。

「・・・・絋次さんのはどんなやつなんですか?」
せっかくだから・・・と佑介は、自分以外の羽裏はどんな柄か尋ねてみた。
「俺か?俺のは毘沙門天だったかな」
そう言って羽織を脱いで裏を見せる。
絋次の着物は濃紺の結城紬。銀鼠色の角帯を浪人結びにしていた。
「毘沙門天を背負うってなんだかすごいですね(^^;)」
甲冑姿の猛々しい武将神の絵柄に圧倒される。
「まあ、ここの氏神だしな。・・・・すごいというなら、じーさんのヤツの方がすごいぞ(笑)」
「こーさんってば;;」
絋次は人の悪そうな笑みを浮かべている。咲子はちょっとあきれ気味だ。
「?」
佑介にはなんのことだかよくわからないので、不思議そうな表情をしていた。
「坊には刺激が強すぎるんじゃあないかね」
「平気さ」
「おまえさんとはちがうだろ」
「そう育てたのはやち代さんじゃないか」
「ひとのせいにするんじゃあないよ、まったく。・・・・・ま、いい勉強かね」
やち代と絋次はいつもの調子で話を勝手に進めている(笑)
そしてやち代は書斎におこもり中(休み明けそうそうに国文学専門誌の原稿の締め切りがあるらしい)の史隆を呼びにいった。

「・・・・なんですか、やち代さん。夕食まで呼ばないでくださいと・・・・おや?栞ちゃんかい?」
ぶつぶつと文句を言いながら史隆は居間に入ってくると、そこに栞の姿を認めた。
「はい(^^)おおじいちゃま、あけましておめでとうございます」
にこっと栞は笑い、挨拶をする。
「はいおめでとう。・・・・で、そちらは?」
史隆は鷹揚に返し、栞の隣に座る佑介を見て誰だかたずねた。
やち代はそんな史隆のぼんやりぶりにあきれ。
「・・・・・ったく、これだから。おまいさんが会いたがっていた土御門の坊さね」
と、佑介を紹介する。
「ご挨拶がおくれました。はじめまして、土御門佑介です」
あらためて佑介は史隆に挨拶をした。
それまでどこかぽややんとして史隆が、急に身を乗り出した。
「その『土御門』は『安倍晴明』と関係あるんですかね?」
「え?」
史隆の唐突な質問に戸惑う佑介。
「その通りなの、おおじいちゃま。晴明さまは佑くんちのご先祖さまなの」
戸惑う佑介にかわって栞が答えた。
「ほう。・・・・なにか残ってますかね、文献類とか・・・・・」
史隆の目が「学者」の目に変わった。
「祖母の福井の実家にはあるようですが」
「やっぱり、福井なんですね。それはそれは。それとですね・・・・・」
うんうんとうなづき、さらに質問をしようとした史隆に。
「いいかげんにしとくれ。これだから学者先生は」
いいながら、やち代は史隆の耳たぶをぎゅうとつねった。
「これ、いたいですよ、やち代さん;;」
「いたくしてんだから当たり前さ。・・・・・ほら、ちょいと羽織脱いどくれ」
史隆の抗議など意に介せずに、羽織の紐をほどき始めるやち代。
「・・・・・なんでですか」
史隆には当然やち代の行動が理解出来ないでいる。
疑問符を頭に浮かべているようなので、絋次が。
「羽裏をちょっと、見せてやろうかと。・・・・佑介くんに」
と、言えば。
「・・・・・あまり感心しませんねえ。これはおとなの楽しみですよ」
史隆はその柔和な顔を顰めた。
「これからのための勉強なんだからいいんだよ。さ、とっとと・・・・」
「あ、やち代さん、そんな強引に;;」
だが、やち代はまったくきかず、強引に脱がせてしまったのだ。
そして現れた柄は・・・・・・。

「//////;;え~と;;」
「//////;」
赤くなりながら苦笑いの佑介と手で真っ赤になった顔を覆っている栞。

・・・・そう、史隆の羽裏はいわゆる浮世絵の『春画』。
着物の裾や襟元を乱してからみあう男女の生々しい図柄だった。

「ほら、みなさい。お見せするようなものじゃないんですよ」
佑介と栞の様子を見て、史隆は羽織をすぐに取り戻した。
「なに言ってんだい。これしなきゃあ、こどもも生まれてこないんだよ。神聖なものさね」
「確かにな」
やち代と絋次は平然としている。
「・・・・・・・;;それはそうだけど。もう、この人たちは;;」
咲子ひとりが、あきれ返っていた。

事の成り行きを見ていた芙美が唐突に。
「あ!このえ。おおじいちゃまのおへやのほんにあったよ」
そう言ったので、全員の視線が芙美に集中した。
芙美は無邪気に笑っている。
「おおじいちゃま、見るなとはいいませんからせめて棚にしまっておいてください;;」
史隆の書斎は、咲子でもうかつに入れないので片付けられないのだ。
「おおかた忘れていたんだろうさ」
やち代はやはり、意に介さない。
「・・・・あとで俺も見てみるかな」
「こーさん!」
「ま、俺はおまえが一番だけど」
「!//////。もう;;」
さらりと言われ、咲子の頬が朱に染まる。
「おかあさん、またおねつでちゃった?おかおまっかだよ」
かわいい娘は、そんな母親を心配するのだった。


「なんというか、ほんと、にぎやかだな(^^;)」
「そうだね。一緒にいるだけで楽しいかな(笑)」
咲子たち星野家の丁々発止なやりとりを佑介と栞はふたりで笑いながら見ていた。

このあと遅くなってきたので帰るというふたりに、「せっかくだから、お夕飯食べておいき」とやち代がひきとめたので、それぞれ自宅に連絡をいれ、栞と佑介はまた、にぎやかであたたかな夕食をともにしたのだった。

************************************

毬さんちのSSをうけて出来上がったお話です(笑)
実はコメントで書いていたんですけど、妙に長くなってしまったものだから。
ま、星野家はいつもこんな感じです(爆)

あ、史隆じーさんの着物はやはり結城紬で色は茶です。帯は黒の兵児帯。



2009.01.03 Sat l 短編小説 l コメント (2) トラックバック (1) l top
始業の日@2-E教室



日夏里「つーさん、おっはよー!・・・・・・って、いないや。いつも一番に来るのに」

教室のドアを開けたのと同時に、いつも自分より早く来ている次子に挨拶するのが習慣になっている日夏里。

次子「・・・・・後ろにいるよ;;」
日夏里「わあ。気が付かなかった(^^;)」
次子「さっき、靴箱のところで声をかけたのに」
日夏里「え?全然気付いてなかった。・・・・・ごめん;;」
次子「・・・・いいよ。前しか見てない猪突猛進さは日夏里らしいから」
日夏里「それ、全然ほめてない(--;)」
次子「・・・・・ばれたか(笑)」

にこりと笑って、日夏里の頭を2,3回ぽんぽんとたたき、教室の中へ入ろうというジェスチャーをする次子。

(・・・・・なんだか、ヘンに明るいよ。つーさんてば)

戸惑いを大きな瞳に映しながら、肩越しに次子を見上げる。

次子「?」
日夏里「・・・・・つーさん、なんかあった?」
次子「・・・・・なにも、ないよ」
日夏里「ほんとに?」
次子「本当」

(・・・・何故、そう見抜くかな。日夏里は)

視線をそらしたいけれど、そらしてしまったらきっとわかってしまうだろう。

日夏里「なら、いいけど。・・・・でもつーさん、顔色悪いよ?朝ごはんちゃんと食べてきた?」
次子「・・・・それなりに」
日夏里「また、そゆこと言って~!・・・・はい、これ」

カバンの中から出したものを次子の机の上に乗せた。

次子「・・・・これって・・・・」
日夏里「チョコレートくらい食べられるよね。いくら今日はHRしかないって言ったってもたないよ?じゃなくてもつーさん食細いし、やせてるし」

次子は机の上のチョコレートをただまじまじと見ている。

日夏里「あ、あたしの分はまだちゃんとあるから平気だよ。それはもともとつーさんの分だもん。このみ姫にも来たらあげるんだ♪」
次子「・・・・・ありがとう」
日夏里「どういたしまして(^^)・・・そうだ、食堂行ってお茶買ってこよっと。待っててね」

言うが速いか、日夏里はお財布を抱えて教室から出て行ってしまった。
食堂は2-Eのある第四館の中庭を挟んで向かいに立つ第五館の一階にあった。

次子「・・・・日夏里」

日夏里がいなくなったのを確認してから、次子は椅子の背もたれに体重をかけて手で顔を覆った。
日夏里にはそれなりに食べてきた、などといったが全く食べてないというのが正しかったのだ。
もともと食の細い方ではあるのだが、ここ一ヶ月何かを食べたい、という欲求が皆無に近かった。
医者である母親の織依(おりえ)が心配するから、ひとくちふたくちはなんとか口に運んではいたけれど。
だるくて思い通りにならないからだ。
気力だけで動いているような感じだ。

日夏里「たっだいま~。あ、まだ食べてない!」
次子「日夏里を待っていたんだよ」
日夏里「/////;;う、うそだあ」
次子「-----日夏里が買ってくるお茶をね(笑)」
日夏里「!つーさんのいじわるー!!」


・・・・・臨界点は、じき。


*************************************

新年早々から、ちょっと重めで申し訳ないです。
これから日夏里とつの字のふたりにいろんなことが起きます。
今まで、明るく楽しくすごしてきたけれど、今後起こることはなかなかつらい出来事だったりします。

正直、私も書くのがしんどいのですが、これも自然な流れのようで避けられないみたいです。


・・・・・でもその前に「学園祭」終わらせないと(爆)
2009.01.08 Thu l 雑談 l コメント (0) トラックバック (0) l top
またもや一ヶ月ぶりの「学園祭」でございます;;
そろそろテンポアップして、終わらせないとですわ。

今回はこのみ姫の憧れの君、登場です。
「意見クールビューティ」(毬さん命名<笑>)なこのみ姫がかなり舞い上がっております。

ではではつづきをよむからどうぞ♪
2009.01.09 Fri l 学園祭は踊る(連作) l コメント (2) トラックバック (0) l top
20分休み@2-C教室


「あれ、日夏里ちゃんめずらしい」
日夏里「都ちゃん。今日は翔ちゃんに借りていた本を返しに来たの」
「そうなんだ」
翔子「それもあるけど、つーさんがまだ来てないから(笑)」
「あはは。相変わらずだね(笑)。でも晴田さんの遅刻もめずらしいね。いつもはやいのに」
日夏里「うん。昨日何にも言ってなかったんだけどな」
翔子「何か突発で用事が入ったんでしょ。そろそろ来てるんじゃない?」
日夏里「うん。そうだと思う。・・・・・あれ?都ちゃんは帰るの?」

都、コートを着てカバンを持って立ってます。

「明後日からスケートの高校選手権が始まるから、それで」
日夏里「確か広島でやるんだよね」
「そうなの。だから午後の新幹線で広島入りってわけ」
翔子「広島でってめずらしいよね。冬季インハイは東北・北海道・上信越が多いのに」
「いつもいつも同じとこじゃ負担がかかるからってことらしいよ」
翔子「そっか~。いろいろ大変なんだね」
「まあね。でもあたしが出来ることは持てる全てを出しきっていい演技をすることだけだから」
日夏里「全日本であれだけのことが出来たんだもん。絶対大丈夫!がんばってね。応援してるよ」
翔子「あたしも応援してる」
「ありがとね。優勝して帰ってくるから!」

日夏里はもうすぐ休み時間が終わるので、自分の教室に戻りがてら、都を見送った。
翔子や都のクラスC組は日夏里たちと同じ第四館ではなく、向かいの第五館にあり高校職員室の並びに何故かあったので。


次子「日夏里?」
日夏里「つーさん!」

声をかけられ振り向けば、地下の靴箱から上がってきた次子が立っていた。
ふたり教室へ行くので歩き出す。

次子「なんでこんなところに・・・・」
日夏里「都ちゃんの見送りだよ。下で会わなかった?」
次子「ああ、そういえば」
日夏里「明後日から高校選手権で、広島に行くから早退するんだって」
次子「・・・・」
日夏里「・・・・・つーさん、今日はどうしたの?」
次子「・・・・たいした用じゃないよ」

そう言った次子の顔色はあまりよくない。
昼休みもお弁当を食べている様子がなく、もともとスレンダーな方ではあるが、かなりやせている感じだった。
きっと何の用事だったか尋ねても次子が答えてくれないことは日夏里にはわかっている。
だから。

日夏里「あ、そうだ。1,2時間目のノートいる?今日結構進んだよ、化学」
次子「日夏里は化学得意だからね。見せてもらおうかな」

自分の出来る限りのことをするしかなかった。

(なにか悩み事があるのかな、つーさん。・・・・あたしじゃ頼りにならないかな)

次子の横顔をじっと見ながら、日夏里はそう思っていた。

********************************

都ちゃんは18~22日まで広島で行われる冬季インターハイに出場します。
全日本5位の彼女の目標はもちろん優勝。
今月末には冬季国体もあり、結構ハードスケジュールなのです。

いつも朝一番に登校するつの字がめずらしく遅刻します。
どうして遅刻したのかはけして語らないので、日夏里は心の中で心配することしか出来ません。
2009.01.16 Fri l 雑談 l コメント (0) トラックバック (0) l top
久しぶりの「IF」シリーズです。
今回は翠嵐メンバーズのひとりが登場する、ちょっと番外編的なお話です。
ゆえに、翠嵐メンバーの未来が語られておりまする(^^;)
ちょっとネタばれ的なことも書いてあるし(一応ぼかしてはおりますが)、お蔵入りさせちゃうおうかとも思っていたのですが、今週はオフの方が忙しくてSSを書いている時間が取れないのと(3本くらい並行して書いているけど、まだ終わらない;;)、先に読んでもらった毬さんに「お蔵入りはもったいない」とおっしゃっていただいたので、思い切ってアップすることにしました。
10年後の未来のパラレルなお話、そういうのも読んでもいいよ、と思われた方はつづきをよむからどうぞ。
2009.01.19 Mon l 「IF」シリーズ l コメント (2) トラックバック (0) l top
今回のアップは、星野家・過去編になります。
ちょっと(いやかなり;;)季節が合わないのですが、咲子がお嫁に行く、その日の様子です。
本当は「新婚さんに贈る七つのお題」のひとつのつもりで書いていたんですが、予定していたお題と内容が一致しなくて(爆)
なので、別タイトルをつけてアップすることに(^^;)
ひねりもなにもないタイトルです;;←も~、タイトルつけるの苦手(--;)

ちなみに今日で、当ブログは一年になりました。
SSを書き始めたのはもう少し早いのですが、ま、このブログの開設が23日なので(笑)
これからもきっと、ボンノーとモーソーの趣くままに、書きたいものを楽しく書く!という姿勢を貫いていくことと思います(爆)

ではではつづきをよむからどうぞ。
2009.01.23 Fri l 過去編 l コメント (0) トラックバック (0) l top
橘家@リビング


すみれ「ひーちゃん、都ちゃんすごいわね」

ちょっと興奮気味のすみれ。

日夏里「?・・・・・都ちゃんがどうしたの?」

リビングのソファアで、翔子から借りているシリーズ物の小説を読んでいた日夏里。母の声に顔をあげる。

すみれ「どうしたのって、高校選手権、優勝したんじゃない。しかも、二位の選手に大差つけて!」
日夏里「え?そうだったんだ。さすが都ちゃんだな~。なんといっても全日本5位だもんね」
すみれ「そうよ。さっき、プロトコルも見たけど、フリップも今回は3回転跳べてたの」
日夏里「・・・がんばったんだね、都ちゃん」

いつもの日夏里なら、友達の優勝を我がことのように喜ぶのに、どうにも反応が薄い。

すみれ「・・・・ひー、どうしたの?」
日夏里「なんでもないよ」

そう言ってすみれから視線をはずし、自分に寄りかかって寝ている猫のジュリを撫でる。

すみれ「嘘おっしゃい。お母さんの目はごまかせないわよ」
日夏里「・・・・なにも、ないもん」
雪也「ひーは嘘つくの下手だね」
七星「そうそう。その本、さっきから一頁も進んでなかったぞ」
日夏里「おにーちゃんたち・・・・。今日はお出かけじゃなかったの?」
雪也「どうしてもって、用事じゃないからね」
七星「・・・・俺もまあ、そんなとこ。それに寒いからさ」
すみれ「・・・・・どうしようもない、シスコンどもね(笑)・・・・・ちょっとコーヒー・ブレイクしましょうか。ひーはココアでね」

にこっと笑い、キッチンへむかうすみれ。

(ココア、おいしかったな。学園祭の時)

対抗試合が終わって、次子の展示を見に行った日夏里。
暗幕に囲まれた控えには、何故か電子ポットにマグカップ。そしてコーヒーや紅茶などの温かい飲み物が置いてあって。
「・・・・日夏里は、ココアだったよね」
そう言って、別のサーモボトルから温めた牛乳でココアを入れてくれた次子。
日夏里がコーヒーを飲めないのをわかっていて、用意してくれていたものだった。

(あのあと、大変だったな)

学園祭の時のことを思い出す。
次子とふたりだけの秘密をもった。
たがいにそうしようと決めたわけではないけれど、他の人には絶対に言ってはいけないであろうと思って。

(・・・・重いものを背負っているのに、どうして土御門さんはあんなに優しいのかな?・・・・草壁さんが傍にいるから?心を許せる恋人がいるからなのかな)

自分達の学園祭の翌々週に、朱雀高校の文化祭にお邪魔した。
佑介のクラスは佑介が占いをするコーナーのある喫茶室だった。多分、佑介が自身の能力を使って視る占い。
佑介は日夏里が『視て』ほしいと思ったことをぴたりと当てた。
でもそのことについて、彼はけしてからかったり偏見をもったりしなかった。
「ひとりの人間として好きなんだろう?」
真摯に、そう言ってくれた。
だから日夏里も素直に「大好き」と言えたのだ。翔子やこのみ姫や満実以外の人に初めて、次子に対する気持ちを吐露した。
クラスのみんなや都、小夜子にしてもきっと、日夏里の次子への想いは「女子校特有の気持ち」くらいにしか思っていないだろう。

次子は覚えていないけど、日夏里には次子を「好き」になる本当に小さなきっかけがあった。その時芽生えた小さな「想い」は心の奥にそっとしまってあった。
でも翔子が次子と「ともだち」になり、その縁で次子と話すようになって彼女の人となりにふれて、しまってあった「想い」がどんどん大きくふくらんだのだ。
隠せない「想い」だから、ことあるごとに素直に次子に「大好き」と告げる。
言われた次子はその言葉を否定はしない。だから、甘えてしまっているのだ。

すみれ「ココア、はいったわよ」
日夏里「ありがとう、おかあさん」

物思いに沈んでいた日夏里を兄ふたりは黙って見ている。

すみれ「ひーの悩みは次ちゃんのことかな?」
日夏里「!・・・・なんで、わかるの・・・?」
すみれ「親ですもの。ひーをよく見ていれば、わかることよ」

すみれはにっこりと笑う。

すみれ「次ちゃん、ずいぶん痩せていたものね」
日夏里「うん・・・・」

昨年のクリスマス・パーティは日夏里の家でやった。大人数をもてなすのが大好きなすみれは、腕をふるって料理を作った。時々、料理や飲み物が足りているかと居間を覗いていたが、次子があまり食べていないことはすぐにわかったのだ。

すみれ「もともとすらっとしててスレンダーだったけど、今の次ちゃんは、とっても不健康な状態ね」
日夏里「・・・・つーさん、学校でもお昼ほとんど食べてない。朝だっていつも通りはやく来てるけど、顔伏せてぐったりしてるんだもん」
すみれ「そうなのね。・・・・・お母さんから見ても、『何か』に悩んでいるんだろうなってことはわかるんだけどね」
日夏里「つーさん、話してくれない。だから、きけない」
雪也「わ、ひー;;」
七星「な、泣くなよ~;;」

日夏里の大きな瞳から、涙があふれた。雪也と七星は立ち上がって、それぞれ日夏里のそばにきた。

日夏里「あたしは、そんなに・・・・・たより、ないのかなあ・・・・」
すみれ「そんなことないから。・・・・次ちゃんは、不器用だから言えないのよ」
日夏里「でも、でも。・・・・・・言ったら気持ちが軽くなることだって、あるかもなのに・・・・」

(ひーにだから、むしろ言えないんでしょうね。次ちゃんは;;)

一生懸命涙をこらえようとしている娘を見ながら、すみれは思ってしまう。

すみれ「そうなんだけどね。でも、ひーは次ちゃんがどんな性格かよくわかっているでしょ?」
日夏里「・・・・それでも、話してほしいのに。あたしには」

雪也「相手を思うがゆえに言えないことって、あるんだよ」
七星「そうそう。心配させたくないからさ」
日夏里「・・・・・・」
雪也「ひーにだって、そういうことあるよね?」
日夏里「雪にーちゃん・・・・・」
雪也「つらいかもしれないけど、わかってあげないと」
すみれ「次ちゃんのご両親はお医者様でしょ?次ちゃんのこと、黙って見ている筈がないから。だから、ひーはそばにいてあげるのが一番よ」
日夏里「でも。・・・・・でも」

もう、涙をこらえられなかった。
すみれは日夏里を引き寄せて、やさしく頭を撫でる。

すみれ「我慢してたのね。泣くだけ泣いちゃいなさい。・・・・でも、月曜日は笑顔でね」

こくんとうなづく日夏里。
自分に出来ることは、かわらぬ笑顔を次子にむけること。
つらいけれど。
心配だけれど。

月曜日には、また笑顔で。

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つの字が心配で、でも気丈に笑顔を向けている日夏里ですが、すみれままやおにーちゃんずの前ではそれもくずれちゃいました。

少しずつ、いろんなことが動いています。
2009.01.24 Sat l 雑談 l コメント (0) トラックバック (0) l top
毬さんちのオリキャラブログ「佑遊草子」の「想いと、戸惑いと」のコメントにて話があがっていた、佑介くんの弓道披露の話です。

つづきをよむからどうぞ。




2009.01.28 Wed l 雨露ノ滴ルガ如ク(全3話) l コメント (0) トラックバック (0) l top
え~、終わりませんでした(爆)つ、次で終わらせたいな(^^;)

次回はこーさんの「射礼演武」です。
果たして、きちんと書けるのでしょうか(爆)・・・・弓道の方にはお師匠さまはおりませんので;;
今回の佑介くんの「射法八節」もものすごく不安でございます;;

ところで。
梁河ぱぱの名前、勝手に決めちゃいました(爆)毬さん、ごめ~ん(^^;)
でも、宗一にーさんと陽一くんは実はワタクシの命名なのでした(笑)

それではつづきをよむからどうぞ。


2009.01.29 Thu l 雨露ノ滴ルガ如ク(全3話) l コメント (2) トラックバック (0) l top
ちょっとぎゅうぎゅう詰め込みすぎですが、なんとか終わりました(^^;)

毬さん、「射礼演武」についてのアドバイスありがとうですv
助かりました。
・・・・お気に召していただけるといいんですが;;

つづきをよむからどうぞ。

2009.01.31 Sat l 雨露ノ滴ルガ如ク(全3話) l コメント (2) トラックバック (0) l top