今日の更新も実は「学園祭は踊る」ではなかったりします(^^;)
いえ、こちらもちゃんと書いているんですが、キリのいいところまでこないので(--;)
ら、来週には(爆)

で、どんな話しかといいますと、咲子とこーさんの過去話で、大学二年の秋の大学祭でのちょっとした出来事を書きました。
実はさるところで読んだある話に刺激を受け、すとんと落っこちてきたんですね(笑)

でも咲子は出ているだけで、お話の視点は別の人からのものです。
こーさんは会話してますね。少しだけですが。

そんな話ですが、興味をもたれましたらつづきをよむからどうぞv



今年の弓道部は喫茶室をやることになった。
昨年はベタではあるが、『白雪姫』なんぞをちょっと大人向けにコミカルにアレンジした劇をやった。
一年生を中心に配役が決められ、白雪姫は咲子で王子役は絋次だった。
このふたり、周りからは完全に「カップル」認定されているのに違うと否定し(といっても主に咲子)意地を張り合っているので、じゃあ劇にかこつけてきちんとくっつけてやろうと同級生や先輩がおせっかいを焼いたのだった。
何故なら部の3分の1くらいが咲子や絋次と同じ高校から進学していたので(弓道部の強豪校だった)互いがにくからず想いあっているのになかなかくっつかないふたりに焦れていたのだ。
だが、周りの思惑をよそに最後の最後で劇をぶちこわし(どうしてそうなったかはふたりともついに語らなかった)、当然『カップル』にもならず徒労に終わってしまった。
いつになったら素直になるのやら・・・・・という心配をよそに、ふたりはいつの間にか勝手にくっついていた(笑)。
あの苦労はなんだったのだ・・・・・と思ったものだが、晴れてめでたくの『カップル誕生』に祝福を贈ったものだ。
だが、このふたり。
なにかにつけ話題の的というか、周囲を驚かすというか。・・・・いや、正確に言えば片方が、なのであるが。
どうも、くっついたからといって落ち着くわけじゃないようだった。


その喫茶室。
1、2年は、一部厨房に入る者もいたが、ほとんどがウェイター・ウェイトレスをやることとなった。
もちろんその面子の中には、2年生の咲子と絋次も入っている。
咲子は口さえ開かなければ「清楚で美人のお嬢さま」風であるし、一方絋次は寡黙で無愛想だが「男前度」は部内一と言われていたので、部長の倉田 臣(くらた おみ)はしてやったりと思っていた。・・・・・これなら客が来るだろうと。
絋次はそんな倉田の思惑に気がついたのか、「客寄せパンダなんぞごめんですよ」と憮然とした顔で抗議したが、
「そばで見張ってないと、草壁さん大変なことになるよ?」
の一言で、絋次に否やはなくなってしまった。
(・・・・・倉田さんが出入り口に立っていればいいんだよ;;)
コーヒーを淹れる腕は玄人はだしゆえに厨房に徹するらしいが、この倉田とていわゆる「イケメン」だったりするのだった。

開始早々にいかにもナンパな男達に声をかけられている咲子。
背中に山ほど「猫」を背負い、仮面のような笑顔でそれをあしらっている。
(・・・・・ほかにすることないのかしら、この人たち)
小さく溜息をつき、注文されたコーヒーをテーブルに置いた。
男の一人が立ち去ろうとしたその手を捉え。
「何時に終わるの?一緒に回ってよ」
何人もの女をおとしてきた、と本人が自慢に思っている表情で咲子にそう言う。
咲子は捉えられた手をすっと抜き取り全身に走る嫌悪感に堪えつつ、だがそんなことはおくびにもださずに多少ひきつる笑顔で断りの言葉を告げるが、その男はかなりしつこかった。

「あ、咲子ちゃん早速つかまってるわ」
厨房の倉田は注文されたコーヒーを取りに来たウェイターの一人にカップを渡そうとしたときに、咲子が難儀している様子が見えたようだ。
「草壁さんはあの通り、美人でナイスバディですからねえ(笑)・・・・・でも大丈夫ですよ、ほら(笑)」
とそのウェイターが指差す先には、咲子の騎士(ボディ・ガード?)である恋人の絋次が向かっていた。
周囲に不穏な空気を撒き散らしながら(笑)

そのテーブルに絋次が辿りついた途端、テーブルの男達は何故か注文したコーヒーも飲まずに立ち去ってしまった。
「まったく、わかりやすいヤツだな(^^;)・・・・でもそんな怖い顔されてたら客が逃げるじゃないか」
絋次の表情が見えたわけではないが、多分そうだろうと(その通りであるが)思いつつぶつくさと倉田は文句を言う。
「・・・・部長~、どっちか引っ込めませんかね;;」
このままでは絶対平穏無事には終わらないように感じた後輩の一人が告げた。
去年のことを思い出しているのかもしれなかった。
が、倉田は。
「いや、このまま行く。とりあえず、星野に怖い顔は止めろといって来い」
と無情なことをさらりと言う。
「勘弁してください。それは無理です」
きっぱりと返事。
「・・・・咲子ちゃんになだめさせるしかないか」
「それも無謀です;;」
「わかったよ。じゃあ、俺がちょっくら言ってくる」
そう言うと倉田は厨房から出て、絋次のもとへと行った。
「星野って、上の言うことは割合素直にきくんだよな」
「そういや、そうだ。・・・・ま、草壁さんがからまなきゃだけどね(^^;)」
・・・・好き勝手言っている同級生たちだった。



「まったく、あいつは手がかかる!変に老成しているかと思えば、ああやって子供っぽい面も出すし」
とりあえず笑顔は作らなくていいから、普通にしてろと倉田は絋次にいいきかせて厨房に戻ってきた。
「そうねえ(^^;)・・・・星野くんはなかなか複雑な人よね。咲子ちゃんにはほんと感心するわ」
食器洗いを担当している、倉田の彼女で女子部部長の水無月綾(みなづき あや)も溜息をつきつつ答える。
「ほんとだよ。・・・・高校時代からあいつらのことみてきたけど、つくづく咲子ちゃんの懐の深さに感謝するね。ま、もっともくっつくまでには随分時間がかかったけどな(笑)」
「確かにね(笑)大学に来てもまだだったものね。・・・・意地っ張り同士だったから」
「だからなんとかしてやろうと思ったのに、それには全くこたえてくれんで勝手にくっついてからなあ。何がふたりの間にあったのかしらんが・・・・・」
「いろいろあったんでしょ(笑)・・・・って臣、『手がお留守』よ!」
注文を告げる後輩を見つけ、綾は倉田をつつく。
「あ、わりい。ちょっと待て。すぐにこっちのが・・・・・。って、おい、星野のヤツ・・・・;;」
倉田が途中で言葉を切ったので、どうしたのかと綾は顔をあげた。そこには・・・・。
「あ~、も~。しょうがないなあ(^^;)」

絋次が咲子にキスをしていた。・・・・喫茶室のど真ん中で。

「・・・・テーブルに座っているのが女性客、ということは、星野に逆ナンかけたんだな」
「で、断ってもしつこいから、咲子ちゃんを呼んで見せつけたと」
「ま、そんなとこだろうな」
「それに、咲子ちゃんにコナかけてくる野郎どもへの牽制でもあるわね」
「あ~、ありえるな」
倉田と綾は妙に冷静に事の次第を分析していた。
そもそもこの倉田 臣と水無月綾は、高校時代に絋次と咲子が所属していた弓道部の部長・副部長だった。
さきほどふたりが話していたように、咲子と絋次が互いに憎からず思いあっているのに、意地を張ってなかなか素直になれずにいたのをはたで見てきていた。
大学に入学してきてもまだ、気持ちが通じておらずどうなることかと思っていたが、今年の夏休み前辺りにやっと「恋人」になったのだ。
それはそれで倉田と綾にしてみればとても微笑ましく思ったのだが(ふたりをくっつけてやろうと思ったくらいだし)、どうも「星野絋次」という人物はその寡黙で無愛想な態度とは裏腹に、恋人である咲子には所かまわず照れもなく、最大限に愛情を表現できる人間であったのだ。
もちろん、極普通の感性の持ち主である咲子は、恥ずかしくてその度毎に思いっきり絋次をしばき倒していたのだが、絋次が懲りる様子は全くなかった。

「おいおい。いつまでやってる気だ、あいつ;;」
「あ、終わったみたい(笑)・・・・って咲子ちゃん大丈夫かな;;」

絋次の唇からやっと解放された咲子は、がくっと膝から力が抜けてしまっていた。
そんな咲子をしっかりと腕の中に抱きとめ、平然と絋次は立っている。
いたたまれなくなったのか、テーブルの女性客は立ち去っていた。

「こら、星野!いいかげんにしろ」
再度厨房から出て、なかばあきれ気味で倉田は抗議した。
「・・・・・・抜けますんで、あとお願いします」
「はあ?」
倉田の抗議などどこ吹く風で、しれっとした態度で言う絋次。
倉田は思わず目が点になる。
そんな倉田のことは意に介せず、絋次は咲子を抱き上げすたすたと歩き出した。
「おい、ちょっと待て」
はっとわれにかえる。
「咲子を介抱してきますから」
まったく聞かず、何事もなったかのように絋次は出て行った。

「ほんとにしょうがないわねえ(^^;)なんの介抱をするのやら(笑)・・・・臣、あきらめなさい」
いつの間にか倉田の横に立っていた綾もあきらめ顔だ。
「も、やってらんねーよ。俺は知らん;;」
お手上げとばかりに両手を軽くあげる。
「・・・・あのふたりは裏方がいいわね。戻ってきたら厨房にまわしましょ」
「・・・・・戻ってくんのかよ(--;)」
「咲子ちゃんの目が覚めれば大丈夫でしょ」
綾は苦笑いを浮かべつつ、倉田をなぐさめる。
「そう思いたいよ。・・・・しかしキスひとつで腰抜かさせるなんてなあ(^^;)星野のヤツ;;」
「ヘンなとこに感心しないの、臣ってば」
「いや、気になるじゃないか。俺もそれくらいのこと綾にしてやりたいし」
「なにばか言ってるのよ;;・・・・ほら、注文溜まってるし。厨房戻りましょ」
そう言って綾は、ほのかに赤くなった顔をしながら倉田の背中をたたいて即した。

(男って、みんなこどもね)
しみじみ思う綾だった。
2008.11.21
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