今日の更新は「学園祭」ではなく、またもやちょっとしたささいな出来事のお話です。
ま、期末試験が近いのでそのお勉強会ですわ(笑)

ちなみに航くんは超スパルタです笑)

ではではつづきをよむからどうぞ♪


12月に入り、そろそろ期末試験も近づきつつあるこの頃。
苦手な理数系を少しでも克服しようと、今日は都内でもトップクラスの進学校に通う航に勉強会を開いてもらうことになった。
勉強会の場所は佑介の家でも良かったのだが、栞の小学校時代の友人で今は翠嵐女子に通う都も栞からこのことをメールで知り、自分もあまり理数は得意な方ではないから教えて欲しいと参加表明をしたので、ならば「うちでどうかな?」と栞が提案し、草壁家で行うことになったのだ。
ちなみに、都は航のことは知らない仲ではない。
小学校時代は草壁家によく遊びに来ていた都は、その際尚壽館に通ってきていた航の姿をよく見かけていたからだ。

居間である八畳の和室を陣取り、勉強会はそれなりにさくさくと進んだのだった。
そろそろ休憩を取ろうか・・・・・と言っている時に、タイミングよく栞の姉の咲子が飲み物とお菓子を運んできた。
咲子の夫の祖母・やち代からのお歳暮を届けに来たのだが、玄関に入りそこにある靴の多さに驚けば、「今日はうちで勉強会をしているのよ」と真穂がさらりと言う。
ならば休憩時間にお菓子と飲み物でもを出してあげようと用意しておいたのだった。



疲れた頭には甘いものを・・・・とみなで補給中。
とはいえ甘いものが苦手な佑介は、ひとりみかんを食べている。
休憩しながらも、出てくる話題はもうすぐ行われる試験のことや進路の話題などだった。
高校二年の後半ともなれば、避けられない話題ではある。

「・・・・航は東大だよな」
先ほど、佑介にはかなりのスパルタで(笑)物理を教えつつ、航自身は数Ⅲの問題集を解いていた姿を見ていたので、何の疑問も持たずにそう言った。
「・・・・まあね。僕の高校から私大に進む方が稀だし。一応、一ツ橋と京大も受けようかと思ってるよ」
その前にセンター試験があるのだが、航は全く問題にしていないようだ。
「うへ。レベルがちがうな;;」
航の優秀さは重々承知しているが、それでも驚いてしまう。
「わたしは、早稲田かな」
都はきっぱりと迷いのない笑顔で答えた。
「そういえば早稲田って都ちゃんの尊敬するスケーターの出身大学だもんね」
栞はその都が尊敬しているスケーターの顔を思い浮かべているようだ。
「そう。それにスケート部も実力者揃いだしね。・・・・・栞ちゃんは?」
「う~ん、歴史が好きだから史学部に進みたいけど・・・・」
「・・・・・土御門くんと同じ大学に行きたいし?」
都はいたづらっこの顔をして先を続けた。
「都ちゃん////;;」
栞はほんのり赤くなる。
「そういう佑介くんは進路決めてるの?」
今まで黙っていた咲子が口を開く。どうやら運んできたまま下がらずにちゃっかりと居座っていたようだ(笑)
「具体的にはまだ・・・・・」
漠然と教師なんかいいかなと思いつつ、大学ではもっと本格的に剣道をやろう・・・・ということは考えているのだが、みなのようにどこの大学に行きたいとまではまだ正直なところ考えていなかった。
「そう。・・・・まあ、大学には進学するでしょうけど、出来るだけ国公立を目指しなさいね」
「・・・へ?」
「私大はお金がかかるのよ。小都子おばさんに負担をかけちゃいけないわ」
「あ」
幼い頃に大黒柱である父が亡くなり、その後女手一つで(祖母もいるが)育ててきてくれた母だった。
亡くなった父・祐孝がそこそこの資産を残してくれていたので、小都子がパートに出るくらいで日々の生活に困ることはなかったし、これまでずっと公立校に通っていたからそういう面でも負担はなかった。
だが私立に進むとなれば、入学金も授業料も半端なく高くかかるのだ。
「でも佑くんなら、剣道の腕前で特待生として入れるんじゃないの?」
「それはあまりおすすめしないな」
「私もよ」
航と咲子が即答する。
「どうして?」
「成績がコンスタントに出せているうちはいいけど、低迷したりまたは怪我をしてその競技に復帰できなくなったりしたら、ひどいところでは「はい、さようなら」よ?」
「そこまではなくても、いずらくなったりするね」
シビアな現実を淡々と語る。
「う~ん、確かに。・・・・私も特待生で入れなくはないんだけど、初めから一般入試でちゃんと受験するつもりだし」
フィギュアスケートのジュニア女子で強化選手にもなっている都でさえ、そのように言うのだ。
ただ都の場合、先ほど話題に出た尊敬する先輩スケーターが一般入試で進学しているということも、きちんと受験しようと思った動機のひとつだった。
「そろそろ将来のこともちゃんと考えないといけないんだな・・・・・」
ぽつりと佑介はつぶやいた。
「あら。それは決まっているじゃない」
「そうそう」
「あ、そうだね」
咲子、航、都は佑介と栞を見て意味深に笑う。
「?」
見られている当のふたりは疑問符を頭に浮かべるばかりだ。
そんなふたりに咲子は。
「だって、佑介くんには尚壽館を継いでもらうんだから、『将来』はばっちりよ♪」
さらに、にんまりと笑った。
佑介と栞のふたりは、途端真っ赤になったのだった。



「・・・・そういえば、咲ちゃんはなんで法学部選んだの?」
まだほんのりと赤い頬をした栞がふと尋ねた。
「え、咲子さん法学部だったんですか?」
「そうよ。・・・・・・ん~、弁護士か検事になろうかな~と思っていたのよね、実は」
「・・・・似合いすぎ(ーー;)」
ぼそっとつぶやく佑介。
「今からでも目指したらどうですか?もったいないですよ」
とは航。東大、一ツ橋・・・・とまではいかないが、咲子の出身大学も法曹界では多い方だった。
「そうそう。ママさん弁護士なんて素敵かも」
と、都はにっこり。そんなふたりに。
「今からじゃ相当勉強しないとでしょうねえ;;・・・・取り合えず世話の掛かる人がいるから無理かな(笑)」
「咲ちゃんてば(^^;)」
ちなみに咲子が言っている「世話の掛かる人」は娘の芙美の事ではないのがすぐにわかり、栞は苦笑いだ。
「・・・・・え~と、星野さんも同じ法学部だったんですか?」
佑介も苦笑していた。
「こーさんは、政経」
あっさりと咲子は言う。
「あ、学部は違ってたんですね」
「目指すものが違っていたから。・・・・こーさんは高校時代から学年で3番から落ちたことがなかっただけあって、大学も学内選抜奨学生だったし、卒業生総代も務めたわよ」
「卒業生総代・・・・・・。お義兄さんって、ホント頭いいんだ」
絋次が中高大と成績優秀だった、という話はこれまでにも度々耳にしていた。
「まあね。・・・・おかげでわたしはかなり勉強しないといけなかったけど」
「・・・・咲ちゃん、高校も翠嵐から大橋に進路変更して大変だったって、前に言ってたよね?」
「あ、そうね」
「もしかして、大学もそうだったの?・・・・・絋次お義兄さんがそこに行くから、あんなに勉強してたの?」
咲子の顔がほのかに赤く染まった。
咲子が受験生の頃栞はまだ小学三年生だったが、咲子が夜遅くまで勉強していたのはぼんやりと覚えていた。
「・・・・それって星野さんを追いかけたってことですか?」
佑介もここぞとばかりに追い討ちをかける。
「ち、ちがうわよ;;ワンランク上げないと弓道部も強いとこがなかったのよ;;」
言葉は否定しているが、赤い顔が全てを物語っていた。
「・・・・・あたし、絋次お義兄さんが咲ちゃんにメロメロなのはわかってたけど、実は咲ちゃんもなんだね。あてられちゃうな」
「しーちゃ~ん//////;;」
「だって、弓道だってお義兄さんの射る姿を見てやるの決めたって言ってたし」
さらにとどめの一言(笑)。
「一目惚れですか?もしかして」
「うわ~、素敵」
みんなにやいのやいの言われて咲子はもう、二の句が告げない。
「もう!大人をからかって!・・・・休憩はおしまい;;」
そう言ってカップやお菓子をのせたお皿を片付け始めた。

すると。
「おかあさん、ここだよ♪」
声と同時に襖があいた。
「芙美・・・・・・にこーさん」
娘の芙美と手をつないだ、咲子の夫絋次が立っていた。
みなの視線が一斉にそちらへとむく。
「どうして?」
「---今日は取引先から直帰だと昨夜話したら、こっちに(草壁家)来てくれといったのはおまえだろう」
「それはそうなんだけど、思っていたよりも早かったから」
「・・・・・あっさりと話に決着がついたんでね。都竹さんなんかそのまま稽古に行ったくらいさ」
言いながら部屋へと入ってくる。
芙美はすでにちゃっかりと佑介の傍に座っていた。
「都竹さんらしいわね(笑)・・・・・あ、コーヒーでも飲む?」
「とりあえず、コーヒーよりこっちが先だな」
立ち上がりかけた咲子の腕を掴み、自分の方へ引き寄せた。
「ちょ、ちょっと、こーさん;;」
絋次が何をしようとしているのか気がついた佑介と栞は、あわてて航と都に回れ右を即した。ふたりは?マークを頭に浮かべつつも言うとおりにしたのだった。
娘の芙美は毎日のことなので、平然としていた。
「少しはTPOも考えて・・・・・んっ・・・・」
腕の中でもがく咲子をものともせずに、いつものようにキスをする絋次。
何をしているのか気配でわかってしまった都はわずかに顔を赤くしていた。

「・・・・・栞ちゃん、あれってもしかしていつものこと?」
横に座る栞に小声で聞く都。
「・・・・うん;;」
「すごいね~。あたし、スケートの試合でしょっちゅう海外に行ってるから外国の人が挨拶でキスするのは当たり前のように見てるけど、日本の男性でそれが出来る人はそうそういないよね。しかも他の人がいる前で」
都は変なところに感心していた。
「都ちゃ~ん(^^;)」
始終その現場を目の当たりしてしまう方にはたまったものではない。
「・・・・そのうち佑介も感化されるんじゃないのかな」
にっと航は笑う。
「航っ;;」
「あ、もうすでにその兆候はあるんだっけ。・・・・聞いてるよ、翠嵐でやった数々の出来事(笑)」
航の彼女は翠嵐女子に通うひとつ年下の女の子だ。
「なんだよ、それ」
「言ってもいいの?」
「・・・・・いや、それは勘弁してくれ」
一応、どんなことをしたかはちゃんとわかっている。
佑介の場合、感化・・・・というよりは今まで抑えていた分が表面に出てきただけではないだろうか。

「おとうさん、ゆうちゃんたちこまってるよ」
日常の出来事なので、あくまでも芙美は動じない(笑)。
「・・・・そうか。じゃ、ここまでな。・・・・・続きは夜にでも」
娘に言われたからか存分に咲子の甘やかなくちびるを味わったからか、ようようくちづけから解放したのだった。-------最後の一言は、咲子にだけ聞こえるように耳元でそっとささやいたものだ。
しばしぼうっとしていた咲子だが、そのささやきで我に返ったようで。
「もう、こーさんのばかっっ!!」
これもまたいつものごとく、思いっきり、しばき倒したのだった。
なんとも懲りない絋次ではある。

咲子は片付けもそこそこに赤い顔をしたまま、台所に下がっていってしまったようだ。
「さ、俺も戻るか」
残された絋次は、栞や佑介らのなんとも言えない視線を受けてはいたが、全く意に介していない。
「ふーちゃんはここにいる」
「そうか。邪魔にならないようにな」
「うん♪」
にっこりと笑う芙美。
娘の様子に満足し、絋次は栞と佑介を見た。
「・・・・話は咲子から聞いたよ。・・・ま、ふたりの邪魔はしないつもりだから」
そこで、あざやかに片目をつぶる。佑介と栞はふたり同時に赤くなった。都や航にはなんのことかわからないので、不思議そうな表情をしていた。
「・・・・邪魔したね」
最後にさらりとそう言ってのけ、絋次は部屋から出て行った。

「・・・・いや、なんというか。オトナだね」
最初に口を開いたのは航だった。
「ホント~。・・・・・でも男前だから、何をしてもすっごく決まるね~」
航もそうだが、都もあまり動じてないようだ。
「・・・・なんでそんなフツーなんだよ、ふたりとも;;」
・・・・自分は初めてコレ(笑)に遭遇した時、かなり驚いたというのに。
「驚いてないわけじゃないけど、別にキスくらい。僕だって七海としてるし。佑介だって栞ちゃんにするだろ?」
あっさりとそう言う航。栞の顔はさらに赤くなっていた。
「う;;」
確かにその通りなので二の句が告げない。
「こらこら。一人身の前であんまり惚気ないでくれない?刺激が強すぎるんだけど(笑)」
学園祭以来、気になる人はいるのだが、まだ恋と言うには遠いらしい都は、ちょっと呆れ気味だ。
「ま、土御門くんの手が早いのはわかってるし。学園祭でのことも知ってるし。今更なんだけど」
「都ちゃんっ;;」
栞から佑介に告白された状況がどんな風だったか白状させていたので、都はこんなことを言うのだ。
「俺の手が早いって・・・・・?;;」
いったい、都は何をいいだすつもりなんだろうか。
「まったくね~。いくら栞ちゃんが信じてくれなかったからって、キスしなくても方法はあったと思うけど。よっぽど我慢してたんだ」
そう言ってちらっと佑介を見る都。
「!徳成さんっ/////;;」
「へえ、そうだったんだ。・・・・じゃ、その先も早いのかな」
航もにやにや笑っている。
「その先って・・・・・!わーたーるーっ!!」
「あはは。佑介、カオ真っ赤だよ♪」
「ほんと、ほんと」
都も大笑いをしていた。


すっかり勉強のことなど忘れているようだ。
咲子だけでなく航や都からもからかわれてしまうとは、佑介も思ってもいなかっただろう。
クリスマスに泊まりで栞と大阪(USJ)に行くなどと知られたら(咲子たちも一緒だが)、何を言われるのやら。
少しはそっとしておいてほしい・・・・と願う佑介と栞だった。
2008.12.08 / Top↑
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