今日もまたもや「学園祭」じゃありませ~ん(爆)
・・・・・ごめんなさいです。

前回アップした、「大事なことです」のアンサーSSというか、対になるお話です。
佑介くんの疑問をやっと解消させてあげることが出来ました。

これで蔵出し完了です(笑)
さ~、「学園祭」と溜まっているネタを(Kさん、ごめんです)さくさく消化せねば。

と、いうことで、つづきをよむからどうぞ♪


「佑介くん、ちょっといい?」
「あ、咲子さん」
いつもの尚壽館での稽古が始まる前に、咲子は佑介を道場の外に連れ出した。

「なんでしょう?」
「え~と、あのね」
「?」
いつもはっきりきっぱりとストレートに物事を言う咲子にしては、めづらしく言い淀んでいた。
「・・・・・先日は、その、こーさんがごめんなさい」
「・・・・?」
「ヘンなもの・・・・というか、トンデモないもの渡して」
「・・・・ああ!」
最初に咲子から謝られた時には何のことかとぴんとこなかったが、ここでようやく合点がいった。
咲子の顔は心なしか赤い。
佑介も絋次からプレゼントされてしまった「ブツ」を思い出してしまい、こちらも赤くなる。
「もう、ほんとに、なんというか。・・・・ごめんなさいね」
「いえ、その。びっくりしましたけど、咲子さんが謝ることじゃ・・・・」
・・・・・もちろんびっくりはしたけれど、別にもらって困るものではなかったわけで(笑)
ただし、とりあえず当分使用の予定はない(筈)なので、しっかりと机の引き出しの奥のほうに閉まってはある。
「うっかりしてたわ。まさかあんな物持ち出すとは思わなかったから」
「ははは;;」
「なにかね、どうにもこうにも佑介くんのこと構いたくなっちゃってるみたいで」
それは佑介自身も感じていた。
以前の絋次とは会えばそれなりに話はしたけれど、それでおしまいだった。
だが、区民大会以来絋次から積極的に自分に話しかけてくるし、佑介が道満との死闘で重傷を負い入院した際にも、営業という仕事にかこつけてお見舞いに来ていた。(10分くらい顔を出す、といった感じだったが)
そして会話の中にプラスαな何かを感じていたし、それはけっしていやなものではなかった。
そう、咲子や真穂などに感じている「身内的な親しさ」とでも言えばいいのだろうか。

「・・・・・区民大会からそうだけど、こーさんの態度が変わってちょっと困ってない?」
「困ってはいませんよ。戸惑ってはいますけど」
「そうよねえ、戸惑うわよね」
咲子はここで一旦言葉を切る。そして。
「・・・ふふ。あのね、こーさん、嬉しくて仕方ないの」
にっこりと笑う。
「嬉しい?」
なにが嬉しいのだろうか。
「『弟』が出来たみたいでね」
「?」
佑介の頭の中は疑問符が一杯だ。
・・・・・栞をこの先自分のもとから離すつもりはないので、いずれ栞と一緒になったら「義理」の弟にはなるけれど。
でも、それはかなり先のことではあるし。
「もう半年にもなるけど、佑介くん、区民大会の前あたりちょっとヘンだったでしょ」
「ああ、はい」

父の日を目前にして、佑介は以前より気になっていた父・祐孝の死のことを母と祖母から話してもらったのだった。
話の内容は、ある程度予想は出来ていたものの(母と祖母がずっと言葉を濁し、口をつぐんでいたから)その死が自分の特殊な能力のせいであり、しかもこの力があったにもかかわらず父を助けることが出来なかった、という事実が佑介の心を重くした。
ゆえに、この能力を疎み、受け入れられなかった頃の自分に戻ってしまっていた。
・・・・・人当たりはいいが、ふとしたことで壁を作りある一定以上の部分からは踏み込ませないという・・・・・。
佑介のそんな様子を見て、母や祖母をはじめ、栞やもちろん目の前にいる咲子にもかなりの心配をかけた。

「親として当たり前のこと」「佑介が悪いのではない」といくら言われても納得することが出来ずに投げやりな態度でいる佑介に、今は佑介の守護のために常に傍らにある神霊・安倍晴明が説得を試みるが、それでも効かず、ついには晴明が冥界から祐孝を連れてきてくれて、祐孝自身の口から「佑介が悪いんじゃない、佑介を守ることが出来たのだから、少しも後悔していない」と聞き、なんとかやっと気持ちの折り合いをつけることが出来たのだった。
その後に剣道の稽古に赴いた時には、師匠である真穂に心底ほっとした顔をされたし、休憩時に様子を伺いに来た咲子には泣かれてしまい、どれだけ自分が周囲に思われているか大事にされているかを感じ取ったのだった。

「なんでそうだったのかは今更もう聞かないけど、母から佑介くんの様子がおかしいって電話をもらった時にこーさんもいたのよ」
「・・・・」
区民大会まで来ないと言っていた咲子(と芙美)が来たのはやはり自分を心配してだったのだ、とあらためて悟る佑介。
「でね、もちろんこーさんも心配してて。佑介くんと会った後にもどうだったって聞かれたのね」
「・・・・あの時は本当に心配をかけました」
「いいのよ、もう。今はちゃんと元気なんだし、思いがけず佑介くんの本音も聞けたから」
「あ;;」
咲子に泣かれてしまったことに動揺し、「またこんなことになったら栞をお嫁にあげない」と言われ「それは困る」と咄嗟に口からでてしまったのだ。
「それに、やっと『恋人同士』にもなってくれたしね」
「ええ、まあ////」
いまだ、その『恋人同士』という単語に慣れない佑介は、かすかに顔を朱に染める。
とはいえ、その『恋人同士』になったがゆえに、あんなトンデモプレゼントをもらってしまったのだが。
「それでね話を戻すと、こーさんから『佑介くんは常になにかに迷っているような戸惑っているような印象を受ける』って言われて。で、話しちゃったの」
「話しちゃったって、何をですか?」
以前は絋次とはそんなに深く話をしてたわけでもないのに、自分のことをそんな風に見ていたとは佑介には驚きだった。
「・・・・・佑介くんの能力のこと」
「え・・・?」
今、咲子はなんと言ったか。
「佑介くんの、その特殊な能力のことを話したの、こーさんに」
「うそ、でしょう?」
咄嗟には信じられない佑介。
「どうして嘘つく必要があるのよ」
咲子は苦笑する。
「だって・・・・・」
咲子や栞のように、幼い時からずっと一緒にいて自分を受け入れてきてくれた人ならいざしらず、大抵の人は疎ましく思うものだ。
・・・・もちろん、光一郎や和樹などのように「能力も佑介の一部」と受け入れてくれた人たちもいたけれど。
でもまずは驚くし、しかも絋次の場合は以前より「親しく」なっているのだ。
「・・・信じられない?」
「いや、だって、普通は気味悪く思うから・・・・・」
受け入れてくれた人たちはいたけれど、それ以上にいやな目にたくさんあってきた。
・・・・・栞をはじめとした草壁家の人々と身内の祖母と母くらいにしか、ずっと心をひらくことが出来ないでいた佑介なのだ。にわかには信じられない思いでいても仕方なかった。
たとえそれが、幼い頃から何かあると自分を庇い護ってくれていた咲子の夫の絋次であってもだ。
「じゃあね、こーさんがなんていったのか教えてあげる」
そう言って、咲子は佑介の能力のことやそれによって受けてきた今までの痛みを全て話したあとで、絋次が咲子に告げた言葉を一言一句違えずに佑介に話したのだった。


「どう?信じてくれる?」
「・・・・・っ」
佑介は不覚にも涙が出そうだった。あわてて顔をそむける。
「・・・・絋次さんは、わたしが選んだひとよ」
「咲子さん・・・・」
誇らしげににっこりと咲子は微笑んだ。


「・・・・区民大会の時は、本当にびっくりしたんですよ」
「ふふっ。あの時はまだこーさんもちょっと自分の気持ちを持て余していたみたいだけどね。でも今はなんだかすごくかわいくなってるみたいなの」
「かわいくですか;;」
「かわいくよ(笑)だって、ほら。こーさんもひとりっ子だから」
「・・・・そういえばご両親いませんよね」
春休みに咲子の家を訪問した際、仏壇に飾られていた若い男女の写真を目にしていた。
絋次の両親は早くに亡くなっていると栞から聞いていたので、多分あの写真のふたりがそうなんだろうと思ったのだった。
「こーさんが二歳の時に事故で亡くなっているのよ」
「そんなにはやく」
「・・・・だからよけいに佑介くんに親近感がわくのかな」
兄弟もなく、親もない。(佑介には母が健在であるが)なにか通ずるものがあるのだろうか。
「これからもとんでもないこと言ったりしたりするかもしれないけど、許してあげてね」
それは「愛情」という名のスパイスをまぶしたゆえだから。
「許すも何も、怒ってませんよ別に」
戸惑いと驚きしか自分のなかにはない。
「・・・・あんなものもらっても?」
「咲子さん;;」
「そっか。いつかは使うかもしれないんだものね♪」
「~~~~~~咲子さんっっ!!」
楽しそうに笑う咲子。対する佑介は真っ赤だ。

「しーちゃんのこと、よろしくね。・・・・ずっと、よ」
「・・・・はい」
咲子の栞に対する愛情をしっかりと受け止め、佑介は返事をした。
ずっと・・・・・。
そう、一生離すつもりはない。長く長く自分の思いを押し隠してきてやっと通じ合い、大事な栞を自分の腕の中にかき抱くことが出来たのだから。

「あ、おかあさん、ゆうちゃんとはなしてる~。ずる~い」
「芙美」
「芙美ちゃん」
母である咲子と佑介の姿が見えなくなったので、探しに来たようだ。
「ずるくないわよ。大事なお話をしてたの」
「だいじな?」
「そうよ。・・・・もう終ったし、そろそろ行こうと思ってたわ」
「ほんと?」
そう言って、母親の咲子と佑介の顔を交互に見る芙美。
佑介は苦笑しつつ、芙美をひょいと抱き上げた。
「本当だよ、芙美ちゃん」
「うん!」
佑介の首にきゅっと芙美は抱きついた。


咲子と芙美は先に道場へ戻った。
残った佑介は、咲子が話してくれた絋次の言った言葉を反芻していた。

嬉しかった。
すごくすごく、嬉しかった。
自分の能力のことを聞いたなんておくびにも出さず、このことをきいたあとで一歩も二歩も近づいてくれた。
自分には兄はいないけれど、「兄」のように思っていいんだろうか。咲子を姉のように思っているのと同じに。
心の中がほんわりとあたたかくなった佑介だった。
2008.12.12 / Top↑
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