連日アップ最終日は、日夏里の友人でもあり、栞ちゃんの小学校時代からの友人でもある徳成 都ちゃんのお話です。

都ちゃんはフィギュアスケートのジュニアの強化選手でもあります。
全日本ジュニアで3位に入り、特別推薦でシニアの全日本への出場が決まりました。

全日本女子フィギュアフリーの日の今日に合わせてのアップです。
つづきをよむからどうぞ。

橘家@TVの前

日夏里「おかあさん、始まっちゃうよ。最終グループ」
すみれ「まだ6分間練習でしょ?それ終わってからでも間に合うから」
日夏里「あ、都ちゃん映った!わあ~、衣装素敵vまさに『古事記』だ」
すみれ「ここまでイメージ合わせて衣装作るのもめずらしいわね」
七星「どれどれ。・・・・最近のスポーツ選手はレベル高いな~」
雪也「そういうこと言うからふられるんだよ、七。わかってる?女の子はみんなかわいくて素敵なんだよ」
七星「るせー。・・・・お、都ちゃんいい表情」
すみれ「ジュニアの子がシニアの大会の最終グループに残ってるのってすごいことなんだからね」 ←すみれままは大のフィギュア・ファン
日夏里「そうだよね。昨日の都ちゃんノーミスだったし♪今日もがんばってほしいな」
すみれ「都ちゃんもルッツとフリップが入ればもっと得点が上がるんだけどね。でもすべりは綺麗だしスピードもあるから、見ていて心地よいのよ」


都のショート・プログラムは昨季からの持ち越しで『サラバンド』。
ジャンプ構成はトリプルトゥループートリプルトゥループ、トリプルループ、ダブルアクセルと難度はそんなに高くないが、一蹴りの伸びが良いのでスパイラルも見ていて爽快だし、どんどん速くなる曲調に合わせたステップは距離の長いサーペンタインをすべる。これもスピードがあって深いエッジワークでもなめらかなすべりが出来る都だからこそだ。
最後のスピンは得意のドーナツ。
昨日、シニアの選手を押さえてSP6位に入り、キス&クライで驚きとともに満面の笑みを浮かべていたのだ。


草壁家@TVの前

「うわ~、あたしがどきどきしちゃう。都ちゃん、がんばって」
佑介「俺、彼女が滑ってるの初めて見るよ。・・・・・というより、フィギュアの選手だったってことも最近知ったばかりだしな(^^;)」 ←今日は草壁家で夕食のようです(笑)
「佑くんは都ちゃんと同じクラスになってないものね。でも結構有名だったよ?」
真穂「佑介くんは、栞以外関心ないからねえ(笑)」
佑介「真穂先生~;;/////」
「///////。おかあさんたら」
直哉「・・・・・真穂もあまりからかうもんじゃないよ(笑)・・・・この全日本という場に出場すること自体大変なことなんだろう?」


「全日本」という大会に出場するには、どのスポーツでも大変だ。
剣道だって、各地区連盟の推薦を受けた者が県予選に出ることが出来、その県予選を勝ち抜かなければ出場はかなわないのだから。


「うん。今回はジュニアの方で3位になったから特別推薦で出られるって言ってた」
介「そのジュニアだって、予選とかあるんだろうな」
「都ちゃんは強化選手だし、昨年も5位に入ってるから予選は免除だったみたいだけどね」 ←都にいろいろ聞いたようです。
佑介「何はともあれ、全ての力を出し切ってがんばってほしいよな」
「うん」


6分間練習も終わり、女子シングルフリーの最終グループの決戦が始まった。
今、TVの画面では2番滑走の選手の演技が終わり、キス&クライで得点を待っている。
3番滑走の都はもう、リンクに出ていた。
都のフリープログラムは『古事記』。衣装もそのイメージにあわせ、髪も高く結い上げていた。


日夏里「いよいよだよ、おかあさん。都ちゃん大丈夫かなあ」
すみれ「ひーから話を聞いているけど、都ちゃんがすごく練習熱心なのわかるから、きっと大丈夫よ。・・・・・『練習は裏切らない』!」
日夏里「・・・・・・あたしはいつも上手く行かないよ(--;)」
すみれ「大丈夫。ちゃんと実になってるから。花咲くまでに時間がかかっているだけ」
雪也「ひーのいいところは何があってもあきらめないとこだよ」
七星「そうそう。いつも前向きなとこな」
日夏里「おにいちゃんたち、ありがと。・・・・・あ、始まるよ」
 

前の演技者の得点がボードに映し出されると、都は一度リンクサイドのコーチの元に戻り、二度三度うなづいたあとまたふたたび演技を始めるためリンク中央へ戻った。
2、3回その場でくるくると回り、深呼吸をひとつして、始まりのポーズを取った。

(出来る限りの練習はしてきたんだもの。大丈夫。・・・・・絶対、跳ぶ!)

音楽が鳴り始める。
最初の強い音楽でうつむいていた顔をきっと上げ、そのまますうーっと滑り出す。スパイラルステップシークエンスから始まるめづらしい構成だ。でもこれも一蹴りが良く伸びる都のスケーティング技術があってこそなのだ。今はインサイド、アウトサイドエッジで6秒間キープしないとレベルが取れない。
力強いがゆっくり始まる音楽に合わせ、バレエのアラベスクのポーズでインサイド、エッジをアウトサイドに変えて左手で右足を持ち、カーブを描きながら滑る。
一度足を下ろし、今度はY字バランスで滑っていった。
曲調が徐々に大きく強くなり、それに合わせて加速する都。
予定している最初のジャンプは、得意のトリプルループ。・・・・でも滑っていく軌道が違う。

(跳んでみせる。・・・・・そして絶対着氷する)


すみれ「・・・・都ちゃん、ここループの筈」
日夏里「なにがちがうの?」
すみれ「入り方が違うのよ。・・・・・あ、ルッツ跳んだわ!」


強い決意を持って、都はテイク・オフした。-------そう、今都は苦手なルッツジャンプを跳んだのだ。
三回綺麗にまわり着氷。わあっと歓声があがった。


すみれ「すごいわ、都ちゃん!ルッツ跳べなかったのに」
日夏里「わ、次のコンビーネーションも決まったよ」


ショートでも成功した、トリプルトゥループートリプルトゥループのコンビネーションも成功。
曲にあわせ、エッジに乗って滑っていく。
スピンが終わると曲調ががらりと変わった。
やわらかい曲調になり、しなやかで深いエッジワークでリンクを疾走する。
得意のループからのふたつ目のコンビネーションはダブルトゥループと合わせた。

(・・・・悔いを残したくない。あんな悔しい思いはもう味わいたくない・・・・!)

そして次のジャンプは、やはりいままで跳んでいなかったフリップに果敢にチャレンジしたのだ。
ダブルになってしまったが、着氷は出来た。

・・・・全日本ジュニア、わずかな点差での3位。
世界ジュニアの切符は二枚しかなかった。

悔しかった。
ジュニアグランプリシリーズも二戦目は体調が悪く、棄権してしまっており、あと世界で戦えるのは世界ジュニアしかなかったのだ。
ジャンプひとつ成功していれば・・・・・。

そんな思いがずっと心に渦巻いていた。
都のコーチはその悔しい思いを、特別枠で出られる全日本にぶつけろと言ったのだ。
来年の1月に高校スケート選手権はあるが、全日本で上位進出を果たし、あっといわせろと。
それからの都は、今まで苦手だからと避け逃げ続けていた、高難度ジャンプであるルッツとフリップの練習を重点的にこなした。
もちろん、他のスピンやステップも密度濃く練習したのだった。


佑介「・・・・なんだか、こんな言い方変かもしれないけど、気迫を感じるよ。画面からでも」
「うん。・・・・都ちゃんの気持ちが伝わってくるみたい」


笛の音を中心とした浮き立つような曲調にまた変化し、終盤にさしかかる。
最後の3連続ジャンプも決め、にこっと笑うとリンクの端まですべり、目一杯ためを作ってから最後のストレートラインステップに入った。

踊るように、跳ねるように。
右へ左へ、止まって滑って。
会場の手拍子に合わせ、スピードに乗って都は滑っていく。

対角線まで滑りきったときには歓声もあがり、両手をひろげた花開くようなレイバックスピンではさらにその声は大きくなって、最後のポーズを取ると大きな拍手が都をつつんだ。
スタンディングオべーションもあちこちで起きていた。花束もたくさんリンクに投げ込まれる。


日夏里「おかあさん・・・・」
すみれ「・・・・都ちゃん、素敵だったわね」
七星「会心の演技だったんじゃないか。・・・・すっごいな」
雪也「がんばったんだよ。素敵な笑顔だ」


都はにっこりと笑って、前後左右と観客席に向かい、レベランスをする。
手を振り、歓声に応えながらコーチのいるリンクサイドへ向かった。
リンクからあがる都をコーチは思いっきり抱きしめる。そして肩をたたきながらキス&クライへ。
得点を待つ間も都は手を振り続けている。
そして、得点がボードに映し出されると、都の笑顔は泣き顔に変わったのだ。
シーズンベスト更新。さらに順位は現在2位で、残る4人がすべて都の上の順位に来ても、総合5位でショートからさらに順位が上がるのだ。

「都ちゃん、泣いてる」
佑介「緊張が解けてほっとしたのと嬉しいのとじゃないか、きっと。・・・・スケートをほとんど見たことがない俺にだってすごかったなって思えたよ」
「あたしも嬉しい。・・・・・都ちゃん、おめでとう」


都はまだ涙を残しながらも、懸命に笑顔で歓声に応えていた。
最終結果はSP6位、FP4位で総合5位入賞を果たし、翌日のエキシビジョンへの出場も決まったのだった。


すみれ「トップ3の選手はもちろんすごかったんだけど、一番印象に残ったのは都ちゃんの演技ね。本当に素敵だったわ」
日夏里「明日のエキシビ、何を滑るんだろ~。楽しみだな♪」



リンクにたったひとり立つ。
これからはじまる4分間。
それは孤独な戦いではあるけれど、音楽と、氷と一体になれたときの確かな心地よさ。
持てる全てを出し切って、演技が終わったときに見えるものは。
この場所に立てた喜び。
また、その喜びを味わいたくて今日もきっと、リンクに立つのだ。


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私のフィギュア好きが全面に出ちゃいました(笑)
都ちゃんの曲構成は、今季フリーで「古事記」を使っている無良選手のものでイメージしております。
過去に「古事記」は何回か使われていて、どのプログラムもみんな素敵ですので、機会がありましたらぜひ見てみてくださいね。

2008.12.27 / Top↑
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