上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
昨日はお客さんがひっきりなしだった、ここ星野家も(やち代への弟子からのあいさつがほとんど)2日の今日は静かにゆっくりお正月満喫中だ。
そんなおり、午後3時を回った頃に初詣帰りの佑介と栞が顔を出した。


「わざわざこっちにも来てくれてありがとう。ふたりともホントによく似合ってるわよ」
玄関で出迎えた咲子は、ふたりをみなのいる居間へと案内しながら言う。
「しおちゃんかわいいし、ゆうちゃんはかっこいいの♪」
ちゃっかり芙美もついて来ていた。
「ありがと、ふーちゃん(^^)」
「芙美ちゃんも、七五三で着たその着物、とってもよく似合っててかわいいよ」
栞と佑介は芙美ににこっと笑いかけた。

芙美の着物は、母方の祖母である真穂が用意してくれたもので、山吹色の地色にかわいらしい手鞠の刺繍や梅や桜などの花が染め抜かれた柄であった。
普通3歳ならば七五三の時は帯は締めず上に被布を着るものだが、芙美は被布は着ないで、作り帯ではあったが黒地に菊などの文様が金糸で織り込まれているものを締めたのだ。ゆえに今日もそのように着付けていた。
ちなみに咲子は丁子色に白のよろけ縞と梅が描かれている小紋を海松色地に七宝文様が刺繍されている帯をお太鼓に締め、すっきりと着こなしていた。


居間に入り、挨拶も済んで落ち着いたころにやち代が唐突にこんなことを言った。
「ところで、坊の羽裏は何にしたんだい、咲子」
佑介の着ている着物は咲子が縫ったものだ。
ついでに言えば、芙美の着物以外はすべてそうなのだが。
そんなやち代の着物は黒柿色の大島紬。博多献上の細帯できりっと貝の口を結んでいる。
「確か・・・・」
咲子が思案していると。
「とらさんだよ!」
芙美がにこやかに言った。
「そうそう。中国山水画風の竹林と白虎だったわ」
咲子は芙美の言葉にうなづいた。
芙美の笑顔を見ながら、佑介はそういえばそうだったと思いつつ栞と顔を見合わせる。
咲子は確か、ハクのことは知らないはずだけど・・・・。
「ふーちゃんがえらんだんだよ♪」
にこっと芙美が笑う。
どうやら、佑介の家に行った時に猫の姿のハクに芙美はなにか話しかけていたのだ。
すでにハクの本来の姿を知っている芙美は、その姿をイメージしたようだ。

「・・・・絋次さんのはどんなやつなんですか?」
せっかくだから・・・と佑介は、自分以外の羽裏はどんな柄か尋ねてみた。
「俺か?俺のは毘沙門天だったかな」
そう言って羽織を脱いで裏を見せる。
絋次の着物は濃紺の結城紬。銀鼠色の角帯を浪人結びにしていた。
「毘沙門天を背負うってなんだかすごいですね(^^;)」
甲冑姿の猛々しい武将神の絵柄に圧倒される。
「まあ、ここの氏神だしな。・・・・すごいというなら、じーさんのヤツの方がすごいぞ(笑)」
「こーさんってば;;」
絋次は人の悪そうな笑みを浮かべている。咲子はちょっとあきれ気味だ。
「?」
佑介にはなんのことだかよくわからないので、不思議そうな表情をしていた。
「坊には刺激が強すぎるんじゃあないかね」
「平気さ」
「おまえさんとはちがうだろ」
「そう育てたのはやち代さんじゃないか」
「ひとのせいにするんじゃあないよ、まったく。・・・・・ま、いい勉強かね」
やち代と絋次はいつもの調子で話を勝手に進めている(笑)
そしてやち代は書斎におこもり中(休み明けそうそうに国文学専門誌の原稿の締め切りがあるらしい)の史隆を呼びにいった。

「・・・・なんですか、やち代さん。夕食まで呼ばないでくださいと・・・・おや?栞ちゃんかい?」
ぶつぶつと文句を言いながら史隆は居間に入ってくると、そこに栞の姿を認めた。
「はい(^^)おおじいちゃま、あけましておめでとうございます」
にこっと栞は笑い、挨拶をする。
「はいおめでとう。・・・・で、そちらは?」
史隆は鷹揚に返し、栞の隣に座る佑介を見て誰だかたずねた。
やち代はそんな史隆のぼんやりぶりにあきれ。
「・・・・・ったく、これだから。おまいさんが会いたがっていた土御門の坊さね」
と、佑介を紹介する。
「ご挨拶がおくれました。はじめまして、土御門佑介です」
あらためて佑介は史隆に挨拶をした。
それまでどこかぽややんとして史隆が、急に身を乗り出した。
「その『土御門』は『安倍晴明』と関係あるんですかね?」
「え?」
史隆の唐突な質問に戸惑う佑介。
「その通りなの、おおじいちゃま。晴明さまは佑くんちのご先祖さまなの」
戸惑う佑介にかわって栞が答えた。
「ほう。・・・・なにか残ってますかね、文献類とか・・・・・」
史隆の目が「学者」の目に変わった。
「祖母の福井の実家にはあるようですが」
「やっぱり、福井なんですね。それはそれは。それとですね・・・・・」
うんうんとうなづき、さらに質問をしようとした史隆に。
「いいかげんにしとくれ。これだから学者先生は」
いいながら、やち代は史隆の耳たぶをぎゅうとつねった。
「これ、いたいですよ、やち代さん;;」
「いたくしてんだから当たり前さ。・・・・・ほら、ちょいと羽織脱いどくれ」
史隆の抗議など意に介せずに、羽織の紐をほどき始めるやち代。
「・・・・・なんでですか」
史隆には当然やち代の行動が理解出来ないでいる。
疑問符を頭に浮かべているようなので、絋次が。
「羽裏をちょっと、見せてやろうかと。・・・・佑介くんに」
と、言えば。
「・・・・・あまり感心しませんねえ。これはおとなの楽しみですよ」
史隆はその柔和な顔を顰めた。
「これからのための勉強なんだからいいんだよ。さ、とっとと・・・・」
「あ、やち代さん、そんな強引に;;」
だが、やち代はまったくきかず、強引に脱がせてしまったのだ。
そして現れた柄は・・・・・・。

「//////;;え~と;;」
「//////;」
赤くなりながら苦笑いの佑介と手で真っ赤になった顔を覆っている栞。

・・・・そう、史隆の羽裏はいわゆる浮世絵の『春画』。
着物の裾や襟元を乱してからみあう男女の生々しい図柄だった。

「ほら、みなさい。お見せするようなものじゃないんですよ」
佑介と栞の様子を見て、史隆は羽織をすぐに取り戻した。
「なに言ってんだい。これしなきゃあ、こどもも生まれてこないんだよ。神聖なものさね」
「確かにな」
やち代と絋次は平然としている。
「・・・・・・・;;それはそうだけど。もう、この人たちは;;」
咲子ひとりが、あきれ返っていた。

事の成り行きを見ていた芙美が唐突に。
「あ!このえ。おおじいちゃまのおへやのほんにあったよ」
そう言ったので、全員の視線が芙美に集中した。
芙美は無邪気に笑っている。
「おおじいちゃま、見るなとはいいませんからせめて棚にしまっておいてください;;」
史隆の書斎は、咲子でもうかつに入れないので片付けられないのだ。
「おおかた忘れていたんだろうさ」
やち代はやはり、意に介さない。
「・・・・あとで俺も見てみるかな」
「こーさん!」
「ま、俺はおまえが一番だけど」
「!//////。もう;;」
さらりと言われ、咲子の頬が朱に染まる。
「おかあさん、またおねつでちゃった?おかおまっかだよ」
かわいい娘は、そんな母親を心配するのだった。


「なんというか、ほんと、にぎやかだな(^^;)」
「そうだね。一緒にいるだけで楽しいかな(笑)」
咲子たち星野家の丁々発止なやりとりを佑介と栞はふたりで笑いながら見ていた。

このあと遅くなってきたので帰るというふたりに、「せっかくだから、お夕飯食べておいき」とやち代がひきとめたので、それぞれ自宅に連絡をいれ、栞と佑介はまた、にぎやかであたたかな夕食をともにしたのだった。

************************************

毬さんちのSSをうけて出来上がったお話です(笑)
実はコメントで書いていたんですけど、妙に長くなってしまったものだから。
ま、星野家はいつもこんな感じです(爆)

あ、史隆じーさんの着物はやはり結城紬で色は茶です。帯は黒の兵児帯。



2009.01.03 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://mizuhohagiri.blog35.fc2.com/tb.php/126-abcfeaca
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。