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またもや一ヶ月ぶりの「学園祭」でございます;;
そろそろテンポアップして、終わらせないとですわ。

今回はこのみ姫の憧れの君、登場です。
「意見クールビューティ」(毬さん命名<笑>)なこのみ姫がかなり舞い上がっております。

ではではつづきをよむからどうぞ♪
(もうそろそろ交替の時間ね)
西門近くの受付テントにいるこのみは腕時計をかるく見た。
クラス委員のこのみは学園祭の時には受付係を務め、受験の下見も兼ねて来校する者や在学生徒の保護者が自分の子供の展示がどこなのかを聞かれたりするので、その案内もしていたのだった。

色が透き通るように白く、くっきりとした二重まぶたに形のよい鼻、小さな赤い唇の整った造作に、烏の濡羽色のような漆黒のストレートロングヘアのこのみは、ただそこに立っているだけで華がある。
あの手この手でなんとかチケットを入手した他校の男子生徒たちが、受付後、振り返り振り返りちらちらとこのみを見ているが、見られているこのみ自身はその手の輩には一切合財興味がなかった。
・・・・むしろ迷惑としか思っていないのだ。


「涼原さん」
横にいる神谷しのがこのみをつつく。

神谷しのは現生徒会副会長で、来年の会長候補のひとりだ。
小柄だがなかなかパワフルで、誰に対しても公平正大で信頼が厚い。
とはいってもかたいところは全くなく、どこかとぼけているのだ。

「なにかしら?」
「どうやら葵さまがいらしたようだよ」
まだ、その姿は遠くの方ではあるのだが、遠視気味しのにはよく見えるらしい。このみにはまだはっきりとは見えないが、葵の存在感は感じ取っていた。
「しかも、オ・ト・コ・連・れ」
なんだかしのは楽しそうだ。
「・・・・お付き合いしていらっしゃる殿方じゃないのかしら」
「う~ん、そんな感じじゃなさそうだよ」
このみとしのがテントの中でそんな会話を交わしていることなぞ、当の葵は知る由もない。
どうやら周囲の在学生たちも葵のことに気が付き始めたようで、「いらっしゃいませ」「おはようございます」などと声をかけていた。葵はそのそれぞれににこやかに答えている。

『葵さま』こと伏見葵はここ翠嵐の卒業生だが、在校時学園中知らないものがいないくらいの有名人だった。
保守的な翠嵐にはめずらしい「改革派」で、風儀委員長を務めた時にそれまであったある意味「ばからしい」校則のいくつかを撤廃・改善させた立役者なのだ。
大学生になった今は髪を長く伸ばしているが、中学高校の頃はすっきりとしたショートヘアの背もすらりと高い目元の涼やかな美人で、性格もきさくでさっぱりとしており、とにかく絶大な人気を誇っていた。
・・・・・・バレンタインには大量のチョコレート、誕生日にはこれまたたくさんのプレゼント。あげく、卒業時には見送る在校生たちの人垣が靴箱のある地下一階を上がったところから門までずらりとできたくらいなのだ。
そのくらいすごかったのである。

(葵さまなら、受付する必要はないわよね。先生方だってみんなご存知ですもの)
今でも後輩達に慕われている葵のもとには大量のチケットが届いたようだが、葵なら顔パスOKである。
(交替したらすぐに弓道場に向かって日夏里の試合を見て。その後は体育館へ移動して翔子の演技を見ましょ。・・・・満実とつーさんの展示は午後に)
眼前で繰り広げられる光景にこのみの関心はもうなかった。ただ自身の腕時計を見ながら、これからのスケジュールを考えていた。
受付係の仕事は今日はもう入っていない。
自分の所属する美術部での受付が午後遅くにあるだけで、あとは自由であった。
(うふふ、どれもみんな楽しみだわ)

「あの、すみません」
下を向いていたところに声がかかる。
「-----失礼いたしました。この度は当校の学園祭に足を運んでいただきましてありがとうございます」
このみは型通りの挨拶をして、「チケットの確認をさせていただきます」とすっと顔をあげた。
「か、馨さま・・・・!」
目の前に、このみの憧れの君・伏見馨が立っていた。
どうやら葵が連れてきていたのは都内の有名男子校・東都学院に通う高校二年生の弟の馨だったのだ。
「?・・・・私のこと知ってるの?」
人差し指を優雅に頬に添え、女性にも見まがうほどの美しくて優しげな面輪を少し傾けて、馨はこのみに微笑みかけた。
「あ、はい。・・・・わたし、お舞台をいつも拝見させていただいてて・・・・・。日舞も習ってますし、・・・その、後援会にも・・・・・」
不覚にも、かあっと頬が熱くなる。
「わあ、ありがとう。・・・・私のおっかけっておば様方が多いから、同年代の女の子が見に来てくれているなんて嬉しいな。今度楽屋へおいでよ」
さらににっこりと微笑まれ、このみの頬はますます赤くなり、すっかりかたまってしまった(笑)
「あの、その、ありがとうございます。・・・でもそんな図々しいこと・・・・」
なんとか返事はするが、しどろもどろだ。
「平気平気。いつでもOKだから。・・・・あ、これチケットね。姉さまに送られきたやつだから、ちゃんとしたのだよ」
今度は茶目っ気たっぷりに笑って、馨はチケットをこのみに差し出した。瞬間、手がふれあい、あわててこのみは手を引っ込める。
不思議そうにこのみを見る馨。
(やだわ、わたしらしくない。落ち着かなきゃ)
このみはゆっくりと息を吸って深呼吸をし、差し出されたチケットを両手で恭しく受け取った。
「・・・・申し訳ございませんでした。・・・・それではどうぞゆっくりご覧くださりませ」
どきどきとウルサイ心臓の鼓動を感じつつ、なんとか笑みを浮かべる。
「ありがとう。・・・・そうだ、弓道場ってどこかな?」
「弓道場ですか?」
(馨さまも東都ですものね。朱雀の方たちと交流があるのかしら)
東都学院と朱雀高校が弓道の交流試合を行ったことは、ここ翠嵐の生徒で知らぬ者はいないので、このみはすぐにそう考えた。
「そう。場所を教えてもらえたら」
馨にそう言われ、このみが弓道場までの行き方を説明しようとすると、それまで黙って横に座っていたしのがにやにや笑いながら。
「もうすぐ交替の時間だからあがっちゃいないよ。で、弓道場まで案内を、ね」
とこのみに向かって言う。
いつも男性に対して冷めた意見しか言わず、ほとんど興味を持っていないという態度のこのみが真っ赤になって落ち着かない様子でいるのが、しのには面白いようだ。
「・・・そんなわけにはいかないわ」
その申し出はとても魅力的ではあったけれど、与えられた仕事は最後までこなさないといけないと思うこのみである。
「いいっていいって!あと10分もないんだから。それに涼原さんだって弓道場に行くんでしょ?橘さんの応援しに」
しのは躊躇するこのみの背中をぐいと押し、テントの外へ追い出した。
「でもまだ次の人来てなくてよ」
「大丈夫だって」
それでもまだ気にしてしのを見るこのみに、ウィンクひとつ。そして。
「え~、ウチの生徒に案内させますので」
馨の方を見て、そう告げた。
「・・・・神谷さん;;」
「さ、行った行った。・・・・ま、あとでくわしく話は聞かせてもらうからね♪」

「・・・・では、僭越ながらご案内いたします」
このみが馨にそう言うと、馨は後輩達に囲まれ談笑している姉の葵に「またあとで」と言い残し、歩き出したこのみの横に並んだ。
強引にしのに追い出されたこのみの頬の赤みは消えたけど、心臓はいまだ飛び出しそうにどきどきしている。おっかけまでしている憧れの君がすぐ隣を歩いているのだから、いくら普段は冷静なこのみであっても無理はなかった。


受付から弓道場まではそんなに長い距離ではない。
なにか会話を・・・・・とは思ったが、このみの口は上手く動かなかった。そしてこころなしか速くなってしまった足取りゆえあっという間に弓道場に着いてしまったのだった。

「こちらです。・・・どうぞゆっくり観戦なさってくださりませ」
このみも日夏里の応援をしたいので弓道場に用はあるのだが、これ以上馨と一緒にいたら心臓がもたないのではないかと思い、弓道場の扉の前で別れようとした。
「・・・・どうもありがとう(^^)あ、ちょっと待って」
立ち去ろうとしたこのみを馨は呼び止め、振り返ったこのみの右手をそっと取り持ち上げ、その甲へキスをした。
「か、かおる、さま?!//////;;」
あわてて右手を引っ込めて、キスされた甲の部分を左手で覆う。このみの頬はせっかく引っ込んだというのに、またみるみる赤くなったのだった。
「案内してくれたお礼。また舞台、見に来てね」
鮮やかに、艶やかににっこりと微笑む馨。
「は、はい」
50センチと離れていない距離で、これはもはや反則だ。
(どうしよう。もう、この手洗えないわ)
道場の中へと入っていく馨を呆然と見送りながら、このみはぐるぐるとそんなことを考えていた。
2009.01.09 / Top↑
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