上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
2-E@被服室


休み明けの木曜日。1,2時間目は『被服』の時間にあたっていた。向かいに立つ第五館の被服室へ移動しての授業だ。
後期の課題は「エプロン・ドレス」。決められた型紙を使い、それに自分達で好きなようにリボンやフリルを付け足したりして作るのだ。10月から作り始めて、今はもう2月の半ば。どの生徒達も8割がた完成していたのだった。

日夏里(・・・・また、つーさん遅刻だ。先週は遅刻も欠席もなかったのに)

裾周りに同じ布でフリルを足そうと思い、しつけをしながらぼんやりと考え込んでいる。

日夏里(夏以降から、どんどんやせちゃうし。やっぱりどこか悪いのかな・・・・)

手元が少しも動かない。

桃子「日夏里ちゃん、待ち針一本貸してくれる?」
日夏里「あ、桃ちゃん。・・・いいよ」

そう言って、待ち針の刺さった針山を差し出す。
被服室などの特別教室では名簿順と座席が決められているので、桃子とは同じ班であった。

桃子「・・・・次子女史、最近お休み多いね」
日夏里「うん」

どこか元気のない日夏里に桃子はにこっと笑いかけた。

桃子「大丈夫だよ。ちょっと疲れてるだけとかだよ。次子女史って真面目だから。・・・・・日夏里ちゃんの元気パワーをわけてあげなよ、ね?」
日夏里「うん。・・・・桃ちゃん、ありがと」

桃子の優しい笑顔に、日夏里も笑顔で返した。

あきら「・・・・まったく。どう見ても彼氏を心配する女の子にしか見えないね、今の橘は」
桃子「あきらさんてば~(^^;)」

あきらも、日夏里や桃子と同じ班だ。

あきら「時々、次子女史が同性なの忘れるよ。男っぽいわけじゃないのにさ」
桃子「・・・・確かに、すごく中性的だけど;;」
あきら「・・・・・そのくらい、違和感ないんだってば。橘と次子女史のふたりが一緒にいるのって」
桃子「それは言えるかな。次子女史も日夏里ちゃんと一緒だと雰囲気やわらかくなるしね」
日夏里「え・・・・?」

ぼんやりと桃子とあきらの会話を聞いていた日夏里だったが、桃子の言葉に意識を向けられた。

日夏里(・・・・つーさんそんなとんがってないと思うけどな)

このみ「それは、当然よ。つーさんの心を開いたのは日夏里ですもの」
日夏里「このみ姫・・・・」
このみ「日夏里がいなかったら、きっと今でも『私は他人(ひと)とは関わりたくない』オーラをいかんなく発揮していたでしょうね」
あきら「・・・・・涼原は時々、すっごくきつくない?;;」
このみ「あら。今頃気付いたの?(笑)」
あきら(・・・・敵に回したくないタイプだ;;)

にっこりとあきらに微笑みかけるこのみ。こんなふたりはE組のクラス委員だ。
桃子はただ苦笑するだけ。
ちなみにこのみも同じ班である。被服室では4人でひとつの大きな机(ミシンつき)を使うのだった。
名簿順は、涼原・竹坂・橘・弦巻となっている。

このみ「・・・・アイロン台、空いたから。使うんでしょう?日夏里」
日夏里「あ、うん」

目の前に広がった生地を掴み、立ち上がる日夏里。

このみ「・・・・竹坂さんの言う通りよ。日夏里がつーさんに元気をわけてあげないとね」

ぎゅっと日夏里を抱きしめ、それから頭を「大丈夫」とばかりに撫でてから離した。

桃子「・・・涼原さんは、日夏里ちゃんの『お姉ちゃん』だね」
あきら「それも、超猫っかわいがり;;」
このみ「・・・・悪い?」
あきら「いいえ(--;)悪くありません」
日夏里「このみ姫、あきらさんをいじめちゃだめだよ」
あきら「橘~、もっと言ってやって」
このみ「こんなこと、全然いじめてるうちに入らなくてよ」

またもやにーっこり笑うこのみ。あきらは絶対敵に回すまいと心に誓った(笑)

日夏里(今日は、2月なのにあったかい。梅の花もあんなに開いちゃった・・・・)

アイロン台は窓際に沿って作り付けになっていた。旧三館と記念館、そしてこの第五館の特別教室棟に挟まれた小広場が眼下に見えるのだ。

日夏里(・・・・・あれ?)

その小広場を横切って、地下一階の靴箱に向かう人影。

日夏里(まさか、つーさん・・・・?)

日夏里はじっと目を凝らす。日夏里の視力は両目とも2.0。

日夏里(でもあっちからいつも来ないよね)

ここを歩いている、ということは正門から来たことになる。
そんなことを考えていると、その人影は自分を見つめる視線に気がついたのか、ふと立ち止まり見上げたのだった。

日夏里「・・・つーさん」

そう、やはりその人影は次子だった。日夏里の大きな瞳が見開いた。

日夏里「つーさんだあ」

日夏里の驚いた表情がよく見えたのか、次子は手を上げて少し苦笑気味であるが笑いかけた。
「おはよう」と言っているかのように。

日夏里「おはよう、つーさん」

聴こえる筈もないのに、自然と声が出てしまう。

このみ「・・・・日夏里ったら。アイロンのスイッチ切らないと危ないわよ。・・・・あら、つーさんね」

アイロンそっちのけで窓の外を見て何やら言っている日夏里に注意しようと傍に来て、このみも窓の外の眼下にいる次子に気がついた。

日夏里「あたし、下に行って来るーっ」

駆け出す日夏里。

このみ「え?・・・だめよ、日夏里。まだ授業中よ」

このみの静止する声はもう届いていなかった。

このみ「仕方ないわね・・・・」
あきら「どう見ても、恋する乙女だね」
桃子「あそこまで一途だと、自然に応援したくなっちゃうかな」

このみが苦笑している横にあきらと桃子がやってきた。
そして、1時間目終了のチャイムが鳴る。
10分間の休み時間となり、教室中がパタパタとし始めたのだった。


このみ「・・・・・・一途すぎて、見ていてつらいのよ」

ぽつりとつぶやいたこのみの言葉は、休み時間の喧騒の中に埋もれてしまった。

***************************************

ええと、8割くらいノン・フィクションです(爆)
つの字のモデルのTちゃん、ほんとにワタクシに気がついて手を振ってくれましたの(大爆)
びっくりしましたわ~。・・・・・嬉しかったけど(笑)

またもや、遅刻なつの字です。
・・・・・スケート、行かれるの?

2009.02.12 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://mizuhohagiri.blog35.fc2.com/tb.php/139-35543bd7
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。