つの字が入院してしまって、そろそろ二週間近く経とうとしています。
そんなつの字に「励ましの手紙を・・・・」とクラス委員のあきらは提案します。

つづきをよむからどうぞ。




<追記>
某Aさま(笑)、拍手コメントありがとですv(一周年、おめでとうございます♪)
つの字はねえ、真面目で不器用で賢いから、あれこれ考えすぎちゃうんですわ。
・・・・入院は、長期になります。理由はおいおいと。
日夏里とつの字を見守ってやってくださりませ。



(つまんないな・・・・)

食事の済んだ昼休み。
いつもの日夏里であれば、図書室へ行っている時間だった。
だが次子が入院してしまってから、大好きな読書もほとんど進まず、昨日やっと次子の入院前に借りていた本を読み終えて返却したところであった。これには借りた翌日には読み終わって次の本・・・・というのがつねであった日夏里ゆえに、司書の教諭や顔見知りの図書委員にえらく驚かれたのだった。

自分の机にぺたっと頬をくっつけ、クラスの様子をぼーと眺める日夏里。
(・・・なんでここにつーさんがいないんだろ?)
入院してしまったのだからいないのは当たり前なのだが、いつもいるはずの場所に大好きな人がいないというのことが、ここまで寂しく心の中がぽっかりとあいた気持ちになってしまうとは思ってもいなかった。

「日夏里」
「あ、このみ姫、お帰り」
むくっと日夏里は起き上がる。このみが隣に座る。
「・・・・そういえばあきらさんとどこに行ってたの?」
昼食は一緒に食べており、そのあとこのみはあきらといなくなったのだ。
「樫野先生のところよ」
「樫野さんとこ?・・・・そう・・・・」
あきらもこのみもE組のクラス委員だ。そのふたりが担任のところに行くのはめづらしいことではないので、日夏里はさしたる興味を示さなかった。

「ちょっと、いい?今、クラスに全員いる?」
あきらの声だ。何事かとクラス中の視線があきらに注がれ。
「なにー?あきら?」
「どしたの。重大事?」
そしてあちらこちらから、教壇に立つあきらに声がかかる。
「・・・・重大事、じゃないけど、全員にいてほしいんだわ」
「多分いるんじゃない?もう昼休みも終わるしね」
あきらはクラス内を見回した。
「じゃあ、いるという前提で。・・・・ええとね。晴田次子女史が入院してそろそろ二週間になるんだけど・・・・」
「そんなになる?」
「なるよ。それでまあ、樫野さんにちょっと聞いてきたんだけど、まだ退院できる目処はたってないっていうんだよね」

(つーさん、いつ退院できるんだろ・・・・)
あきらの言葉に日夏里は、毎日放課後に顔を合わせている次子の様子と重ね合わせる。
顔色はだいぶよくなったが、すっかり痩せてしまったからだつきはまだそのままだ。次子の母の織依に会った時、相変わらず食が細いとぼやいていたのを思い出した。

あきらの言葉は続く。
「・・・・だから、励ましの手紙を書いて渡そうかと思ってさ。・・・・どうかな?」
そして、みなの意見を待つ。

「賛成」
「いいと思うよ。入院生活なんて、きっとつまんないだろうしね」
「そうそう。お見舞いに行かれなくても、手紙くらいなら」

次々と上がる声に、日夏里は瞳を見開いていた。
「・・・・みんなつーさんが心配なのよ」
「このみ姫・・・・」
そっと日夏里の頭を撫でるこのみ。
自分だけじゃない。クラスのみんなが次子のことを忘れずに心配してくれているのだ。
「日夏里ちゃん、あんまり落ち込んじゃだめだよ」
前の席に座る桃子も、いつも明るい元気娘の日夏里がどことなくしょんぼりしているので心配していた。
「ありがと、桃ちゃん」
「あたしもしっかり手紙書くからね。・・・・あ、お見舞いも行きたいな。今度一緒に行ってもいい?」
「もちろん。・・・・つーさん、驚くよ。きっと」
そう言って、日夏里は笑った。

教壇にいるあきら。
「じゃ、明後日に次子女史のとこへ届けるから、書けたらあたしか涼原のところへ持ってきて。・・・・みんな、よろしく」
ぺこっと最後に頭を下げた。

「・・・・このみ姫、つーさんにお手紙って誰が決めたの?」
素朴な疑問。
「あきらさんよ。彼女、樫野先生からつーさんの入院が長引きそうだって聞いたらしくて。それでわたしに話を振ってきて、ふたりで先生に相談しに行ったのよ」
「そうだったんだ・・・・」
クラスメイトから何やらいろいろ質問されている教壇上にいるあきらを見つめる日夏里。
そんな日夏里の頭をかるく2,3回ぽんぽんとたたいて。
「日夏里もちゃんと書くのよ?」
にこっとこのみは笑う
「・・・・あたし、毎日会いに行ってるよ」
「クラスのみんなが書いてて、日夏里の手紙だけなかったら、つーさんがっかりするんじゃなくて」
「・・・・書く」
上目遣いにこのみを見る日夏里。
「うふふ。熱烈なの書いちゃいなさいね。口じゃ言えないようなことを」
あでやかにウィンクひとつ。日夏里はぷっと吹き出した。
「このみ姫ってば~」

いつまでもくよくよしてちゃいけない。
大変なのは、つらいのは、入院している次子の方なのだ。

一日でもはやく元気になって、またこの風景にとけ込んでくれるように。
朝学校に来たら、一番最初に「おはよう」って言ってもらえるように。
そう願いながら、便箋に思いを綴った。


翌々日。
あきらとこのみ、そして日夏里は放課後次子の入院先へ向かう。
クラス全員の手紙を持って。
みんなの気持ちが次子に届くようにと願いながら。
2009.03.05 / Top↑
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