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Cafe Chocolat Holic

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姉から妹へ

  1. 2009/04/09(木) 15:45:11_
  2. 短編小説
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
姉妹の会話、パート3です。

「お初(爆)」後に、姉の咲子とついに会ってしまった栞ちゃん。
咲子の反応は?

つづきをよむからどうぞ。


*お話の中は、尚壽館の稽古日である「日曜日」です。
 


咲子と芙美が剣道の稽古のために草壁家に到着し、門をくぐって庭を横切り玄関へ向かうと、ちょうどその玄関から栞が出てきた。

「しーちゃん。おはよう」
「あ。咲ちゃん、ふーちゃんおはよう」
咲子から声をかけると、栞も気がつき挨拶を返す。
(あれ・・・?)
そこはかとない、違和感。
今までとは違う雰囲気を、妹の栞が身にまとっていた。
「しおちゃんおはよう♪」
芙美は母親の咲子の手を離し、栞に抱きつきにこっと笑う。
「今日も、元気だね。・・・佑くん、もう来てたかな」
くりくりとした大きな瞳で見上げられ、栞にもやわらかな笑みが浮かぶ。
道場を覗いた訳ではないが、佑介は早めに来て素振りなどをし、からだをほぐしているのが常だからだ。
(・・・・・どこがどうとはいえないんだけど・・・・)
まじまじと栞を見る咲子。
「?;;・・・なに、咲ちゃん」
咲子にじーっと見つめられ、内心のあせりは隠しつつ、栞は答える。
「こんな早くからどこに行くのかと思って。先週の稽古は休みで、佑介くんの誕生日だったから当然デートしたんでしょ?だったら、今日は違うかな・・・・って、しーちゃん?!」
“佑介の誕生日”にどうやら栞は反応してしまったようだ。
かーっと、その艶やかな頬に朱をのぼらせていた。
「あの、その//////;;」
栞のこの過剰なほどの反応。そして、身にまとう雰囲気の変化。
「しーちゃん、まさか・・・・・佑介くんと・・・・・?」
その先の言葉を咲子は飲み込んだ。
栞がこくんと小さくうなづいていたからだ。

咲子は芙美に「先に行っててね」と言い母屋に入らすと、今が盛りと白い可愛らしい花を咲かせている満天星躑躅の植え込みのところまで栞を引っ張っていった。
「咲ちゃん;;」
「あ、ごめんね」
少し強く掴んでしまった栞の腕を放す。そして。
「まずはおめでとうよね。・・・・おめでとう、しーちゃん。良かったわね」
にっこりと咲子は微笑んだ。
「・・・・咲ちゃん・・・・」
その微笑みに、栞の瞳が潤みだす。
「やだ、なに泣いてるの。ホントに良かったって思ってるのよ;;」
涙を浮かべる栞に咲子は驚く。
「だって・・・・、なんだか胸がつまっちゃって・・・・」
「もう、ばかねえ。この世で一番大好きな人と結ばれたのに泣くなんて。贅沢よ」
そっと栞を咲子は抱き寄せた。
「でも・・・・」
咲子の肩の辺りに顔をうずめる栞。咲子は栞の頭をゆっくりとやさしく撫でる。
「この一週間、ちょっと緊張気味だったのかな。佑介くんはもちろん、まわりの人の顔もなかなか見られなかったでしょうしね」
「・・・・」
「・・・・わたしもそうだったわ。こーさんの顔をしばらくまともに見られなかったもの」
そう。
自分のすべてをさしだした、その相手の眼差しが何もかもを見つめ、唇が肌をすべり刻印を落としていったのだから。
とても正視なんて出来なかった。

「・・・・佑介くんは、やさしかった・・・・?」
恥ずかしそうに栞がうなづく。

壊れ物のように、宝物のように。・・・・・大切にそっと自分にふれた佑介。
最後まで栞のからだをいたわり気遣ってくれていた。
すべてが終わって、たくましい腕の中に抱き締められた時、あまりの幸福感に目眩を覚えたくらいだった。

「聞くだけ、野暮だったな(笑)」
くすりと咲子は笑う。
これまでの佑介の栞に対する想いや行動を見ていれば至極当然で、簡単にわかることだった。
「なんにせよ、本当におめでとう。これからも仲良くね」
「咲ちゃん」
栞が顔をあげた。その瞳は泣いて赤かったが、きらきらと輝いていた。
そんな栞の表情に、咲子は満足気に微笑むが・・・・。
「・・・・からだの方はもう大丈夫?・・・・多分、もう異物感はないと思うんだけど・・・・」
「咲ちゃんっ//////;;」
奥手な栞でも意味がわかったようだ。そして、悪戯な表情で。
「次もまだ痛いと思うのよね。・・・・無理しちゃだめよ?」
と、さらりと言う。
栞は絶句し、なんとか。
「~~~~~咲ちゃんのばかっ;;」
と、咲子に言った。


そろそろ行かないと、というので咲子は栞を開放した。
これから深川の曾祖母・伊佐子(いさこ)のところへ行くという。どうも伊佐子が栞を呼んだらしかった。めずらしいこともあるものだ・・・・と咲子は思いつつ、栞を見送った。

栞の姿が視界から消えて、咲子もまた門をくぐり母屋へ向かう。剣道の稽古のために着替えないとだし、芙美が待っているだろう。

(とうとう、というべきか。やっと、というべきか)

幼い頃からずっと見守ってきたふたり。大切な大切なふたり。
幼馴染として過ごすその間に、佑介の方が先に栞への想いを自覚した。佑介は栞の気持ちを最優先し、自分の想いはずっと胸に秘めたまま年月を重ねた。
だが栞も、佑介を「異性」として自覚していなかっただけで、佑介への想いはちゃんとこころのなかにはぐくまれていたのだ。
それゆえ、想いが通じ合ってからふたりがたがいを強く求め合うことは、なんの不思議もなかった。
自然に、寄り添うように、ふたりは結ばれたのだ。

(嬉しいけど。・・・・やっぱり、少し寂しいかな)

少女の殻を脱ぎ捨てた栞。
自分の庇護下から旅立ってしまった、愛しい妹。

これからもっと佑介に想われて愛されて、素敵な女性へなっていくのだろう。

(構うの、いいかげんやめないとね)

年の離れた妹の栞を溺愛している自覚はじゅうぶんある。
「妹離れ」しなくてはいけないと思う咲子だった。
テーマ : 自作小説    ジャンル : 小説・文学

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