昨日アップしました「大事なことです・Step2」の続き・・・というか、ラスト方でさらっと書いておいた、

佑介は航に「洗いざらい白状するまで帰さない」と、とっつかまり、栞との・・・・を告白するはめになってしまった。

の部分のお話です(笑)
お年頃の、オトコノコたちの会話はどんなものでしょう(^^;)

つづきをよむからどうぞ。

休憩後の稽古が始まる直前に。

「あ、佑介」
防具をつけ始めた佑介を航は掴まえた。そして。
「稽古が終わった後、しっかり話を聞かせてもらうからな」
“しっかり”を強調して言う航。
「・・・・話って。なんの?;;」
と、佑介は一応とぼけてはみるが。
「・・・・そんな下手くそなとぼけ方して」
「へたくそって;;」
「逃げるなよ」
「・・・・・・;;」
「わかってるよね、佑介」
絶対逃がすものかと言わんばかりに、航の目は据わっている。

佑介に「先を越されて」しまった・・・・・なこと。
航はなんとしてでも佑介の口を割ろうと思っていた。


そして稽古が終わり、航は真穂となにやら話をしている。
佑介はその間にさっさと家に帰ってしまおうと、防具もはずさず、竹刀の鍔だけ素早くはずして竹刀袋に入れ、防具袋とともに手に持ち、そろりそろりと道場の出口へむかった。

どうやら気が付かれずにすんだとふうっと一息ついたところに。
「・・・・・僕から逃げられると思っていたわけ?甘いよ」
背後から聞こえる声。
「航~;;」
航・佑介

つい先ほどまで真穂と話をしていたというのに。
航は真穂と話をしていても、ちゃんと視界の隅に佑介の姿をとらえていたのだ。
「ふたりで居残り稽古するんですって?」
そんなふたりの横を真穂が擦り抜ける。
「え?;;」
「熱心なのはいいけど、ほどほどにね」
佑介の戸惑いをよそに、真穂はにこやかに笑いながら道場から出て行った。
航が真穂に話していたのはこういうことかと、佑介は悟る。
・・・・なんて、用意周到な。
「洗いざらい、きっちり吐いてもらうまで帰さないからな」
腕組みをして仁王立ちをしている航。
「・・・・マジかよ;;」
佑介はがっくりとうなだれたのだった。


航はずるずるとなかば引き摺るように佑介を道場の隅まで引っ張ってきた。
観念・・・・・はしたくないけど、せざるを得ないこの状況。航はこうと決めたら梃子でも動かない。とにかく何か話さないことにはここから解放してくれないだろう。
(だからってなあ;;)
人に話すようなことではないと思う。
取りあえず気持ちを落ち着けようと、佑介は胴などの防具をはずし(当然居残り稽古などやる筈がない)家から持ってきていたスポーツドリンクを口に含む。

「で、いつだったわけ?」

ぶっ;;

含んだスポーツドリンクを吹き出しそうになる佑介。あわてて口を拭う。
なんて直球ストレート。
「わ、わたる~;;」
「さっきの会話から察するに、そんな前じゃなさそうだよね」
佑介のあわてぶりなどまったく意に介せずだ。
「・・・・先週かな、もしかして。稽古も休みで、しかも佑介は誕生日だったし。・・・・あやしいなあ」
ちらりと佑介を見ると。
「う;;」
佑介の顔は朱に染まっていた。航はにんまりと笑う。
「ビンゴ、だね。・・・・さあ、観念しなよね。ゆ・う・す・け」
「勘弁してくれよ;;」
隠し事が出来ない損な性分の己が恨めしい佑介だった。


「でも、いいよな。自分の誕生日になんてさ。一生忘れられないじゃないか」
「まあ・・・・////;;」
そう返事した佑介の表情はとても幸せそうで。
「果報者」
ぽつりと航はつぶやく。
「え?」
「・・・・なんでもないよ。で、場所はどこ?どっちかの部屋?それとも・・・・」
「どこでだっていいじゃないか;;」
航の言葉を遮って、質問をやめさせたいが。
「僕と七海じゃ、七海の部屋では絶対無理だから」
航の彼女・清水七海は大物政治家の孫娘だ。付き合い始めて二年ほどになるが、七海の家の中にはこれまでに一度しか入ったことがない航だ。(“入れなかった”というのが正しいかもしれない)
「それは・・・・」
七海の家のことは佑介も航から聞いて知っている。
「そうなると、僕の部屋かそういうとこに行くしかないわけだし」
「・・・・・」

航の表情を見れば、興味本位だけで聞いているわけではないということは察せられた。

大切な、かけがえのない存在が航にもいる。
「どんなことが起ころうと、自分が絶対守る」と宣言し、ふたりで会う時は護衛をはずさせているほどなのだ。
七海の門限は午後6時で、週末も習い事がびっしりと詰まっており、会える時間は少ない。
わずかな時間の中でもたがいの気持ちを確かめ合い、こころはしっかりと繋がっているが、それゆえに、からだも結ばれたいと思う。・・・・それは自然なことだろう。

航の気持ちもわからなくもないので、いいかげん腹をくくるしかないと佑介は悟った。

なので。
「・・・・俺の部屋で、だよ」
正直に答えた。
航はあれこれ聞き出したからといって他の人に話すような性格では絶対ないし、自分と同じように様々な葛藤もあるのだろう。
「あ、そうだったんだ・・・・」
佑介の様子が変わったので、航の態度も軟化した。
「そんなつもりは、全然なかったんだけどさ」
「それって、どういう・・・・」

そして佑介は、どうしてそうなったのかを話したのだった。
・・・・航にならいいだろうと、そう思ったからだ。

「・・・・そっか・・・・。佑介もいろいろ大変だったんだね」
話を聞き終わって、航はしみじみと言う。
「いや、それは別に。むしろ大変だったのは栞の方で・・・・」
「え?」
佑介はしまったとばかりに口をつぐむ。
「栞ちゃんが・・・・なに?」
「なんでもない;;なんでも/////;;」
顔から引いていた赤味がふたたび佑介に戻る。
「ばかだなあ。僕だって女の子の方が大変なことくらいわかってるよ」
あせる佑介に、航はやさしく言う。
「航・・・・・」
と、なんとなくしんみりしたが。

「でも、それはおいといて。・・・・・その、やっぱり、・・・・・気持ちよかったわけ?」

またもや変化球なしの直球勝負。
とはいえ、言った航の顔も赤くて。だけど佑介の顔は火が出そうなくらいに赤くて。
そして、黙りこんでしまった。
そんな佑介を見て。
「あ~、も~、うらやましいヤツだな。こーしてやる、覚悟しろ!」
笑いながら航は佑介を押し倒す。
「わ;;何すんだよ。ばか、やめろって;;」
そんな航を佑介は必死に押し戻そうと抵抗する。
「今の自分の顔をみてみろよ。にやついて見られたもんじゃないんだから」
「んなのわかるか;;」
まあ、その通りだ。
「まったく、やんなっちゃうよ。告白するまでにあれだけかかったくせして、いつの間にやらおいしくいただいてるんだもんな」
佑介の上にまたがり、首をすくめて航は言う。
「わーたーるーっっ!!」
下から航の道着の襟を掴む佑介だ。


「・・・あの、そろそろ上がった方がいいかもってお母さんが・・・・」
「栞;;」
「栞ちゃん;;」
声の方に顔を向ければ、道場の出入り口に赤い顔の栞が立っていた。
航は素早く佑介からどき、自分の防具袋と竹刀袋を手に持つと。
「・・・・僕、先に帰るからさ。あと、よろしく~;;」
脱兎の如く、逃げ出してしまった。

「よろしくって・・・航のヤツ;;」
赤い顔をして佇んでいる栞。いったいどの辺りから話をきいてしまったのやら。
(来週の互角稽古、覚えてろよ)
佑介はゆっくりと立ち上がり、栞の元へ歩いて行った。

「栞・・・」
「・・・・なんでみんなにわかっちゃうのかな/////;;」
恥ずかしさにうつむいている栞。
午前中に深川の曾祖母伊佐子に呼ばれ会いに行ってきたが、ちょうど出かける時に稽古にやってきた姉の咲子(と芙美)にばったりあい・・・・・その咲子に、しっかりわかられてしまった。

佑介も栞と同じように感じてはいた。
確かに2、3日は恥ずかしくてどことなくぎこちなかったが、さすがに今は普通・・・・・だと思っている。自分達としては特に変わったとは思えないのだ。
佑介はふわっと抱え込むように栞を抱き締めた。
「ごめんな・・・・」
「佑くんがあやまることじゃないよ」
そっと佑介の胸に頬を寄せる栞。
「・・・・汗くさいから・・・・」
「ううん、そんなことない。・・・・佑くんの汗だもの。平気・・・・」
佑介の鼓動が跳ね上がった。否応なしに、一週間前の栞の姿が脳裏をちらつく。
(・・・・・うわっ、俺のばか;;・・・ま、まずい;;)
ここはまた、数学の公式と物理の法則、もしくは般若心経にでも頼るしかないか。
そんな佑介のオトコの葛藤など栞にわかるはずもなく。
腕の中の栞は甘い香りを漂わせながら、安心して身をゆだねている。

(・・・・これって、ある種の拷問だよな;;)栞・佑介


佑介の悩ましい煩悶はまだまだ続くようであった。
ご愁傷様(笑)
2009.04.13 / Top↑
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