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・・・・・つの字がちょっと暴走気味です;;
おかしい。こんなキャラじゃなかったはずなのに;;

すっかり私の手から離れていってしまったように感じます。

それと。
わたしはとことんシリアスな話は書けないんだと悟りました(^^;)
やっぱり明るいコメディが好きです。
だから、ふたりの未来も明るいのです。
多くの山を乗り越えなくてはいけないとしても。

つづきをよむからどうぞ。



と、いうことで、病院から歩いて数分の老舗のホテルに向かった。少々敷居は高いが、ゆっくり落ち着いて話が出来るだろうと思ってのことだ。
ロビーにある喫茶室に入り、それぞれに飲み物を注文した。


「あらためて、退院おめでとう」
佑介と栞が言う。
「・・・・ありがとう」
ふたりは事情を知らないのだから、次子は素直にその言葉を受け取ることにした。
「あ、これささやかだけどあたしと佑くんからの退院のお祝いなの。どうぞ」
そう言ってにこっと笑い、小さな包みを栞は次子に差し出す。
次子はまさかここまでしてもらえるとは思っていなかったので、かなり驚いた。
「・・・・言葉だけで、じゅうぶんだから」
そしてやんわり断る。
「迷惑もかけたし」
「俺は迷惑かけられたなんてまったく思ってないけどな」
「あたしも」
即座にふたりに言われてしまう。
「つーさん、ふたりの気持ちだもん。いただいときなよ。ね?」
「そうはいっても・・・・」
「じゃあ、誕生日のプレゼント!決まり」
あくまでも躊躇う次子に、日夏里は栞の手からその小さな包みを受け取り、次子の前に置いた。
「日夏里・・・・;;」
なかばあきれ気味の次子だ。
「いただけるものは、いただいておいた方がいいんだよ?」
日夏里はなかなか現実的だ。
佑介と栞は顔を見合わせ苦笑していた。

「誕生日のプレゼントって、晴田さん今日がお誕生日なの?」
栞が尋ねる。
「ううん、違うよ。ホントは6日でね」
と、日夏里が代わりに答えると、栞がちょっと驚いたような表情をした。
「草壁さん?」
「あ、ごめんね。そうなんだ。晴田さん、6日なんだ」
「そんな驚くことかな?めずらしい日でもないと思うよ」
栞の様子を日夏里は不思議そうにながめている。
「5日なら『清明』で、8日なら『潅仏会』だけど」
と、付け足す。
佑介は日夏里のその発想に思わずぷっと吹き出した。

「えとね、その5日が佑くんのお誕生日なの。それで・・・・」
この日に起きたことが、栞の頭の隅をちらりと掠める。
忘れられない日。
ほんの少しだけ、栞は赤くなった。日夏里はそんな栞をじっと見ている。
「そっか。土御門さん、5日なんだ。・・・・だからなのかな。なんとなくつーさんと土御門さんの雰囲気が似てるのって」
なんとはなしに佑介と次子は視線を合わせた。
「ただそんな風に感じるのはあたしだけだと思うけど・・・・」
とつぶやき。
「でも、お誕生日に素敵なことがあったみたいだね♪」
日夏里はにこっと笑った。
-----今度は何故か佑介も赤くなった。


日夏里は特に佑介と栞が赤くなったことについてはふれず、佑介が剣道の道具を持っていたので、剣道の話題を振った。
佑介は、実は今日は警視庁での稽古の帰りだと話す。
そうなると、何故警視庁に行くことになったかということになり、そこから区民大会のことにまで派生する。
それから、いつから剣道を習っているのか、どこで習っているのかという基本的な話になり、どうして学校の部活は弓道なのかという質問になったりした。
佑介は日夏里がいやに剣道にくわしいので、そのことを日夏里に話せば、日夏里は、二番目の兄の七星がやはり幼い頃からずっと剣道を習ってよく話を聞くからと答えた。
その七星は大学でもやっていて今は四段である。

次子は、日夏里の隣で話を黙って聞いていた。
しばらくの間佑介を撮ることは出来なくなる。
だがそう遠くない将来に、佑介はきっと剣道の大きな大会で名をあげることになるだろうと思った。
だから自分もこれからのことを乗り越えて、必ずカメラの道へ進み、その時の佑介の姿を写し撮ろうと誓ったのだった。


「草壁さんにお願いがあるんだけど」
二杯目の飲み物が運ばれて来た頃に、日夏里は栞に言う。
「あたしに?」
言われた栞はなんだろうと思う。
「うん。・・・・あのね。あたしも都ちゃんと同じように草壁さんのこと“栞ちゃん”って名前で呼んでもいい?」
何故か手は握りこぶしのファイティングポーズの日夏里だ。
栞の瞳が見開く。
「あ、だめならいいよ。まだそんな回数会ってるわけじゃないし。やっぱり図々しいとも思うし」
「そんなことないよ。・・・じゃあ、あたしも橘さんのこと“日夏里ちゃん”って呼ぶね」
日夏里の言葉をやさしく遮り、栞は笑顔でそう言った。
「ありがとう、栞ちゃん」
少し照れながら、日夏里も笑顔で答えた。

名前で呼び合うことになったからか、日夏里と栞はすっかり打ち解け、『オンナノコ』の話に花を咲かせている。次子はやはり会話には加わらず、ただ穏やかな瞳で日夏里を見ていた。自然、佑介も黙る。

(橘さんに『異性』は感じないんだけど、それは晴田さんにもなんだよな)
ふと佑介は思う。
日夏里に対するのは、芙美に対するのに似た「妹」のような感覚だ。だが、次子にはそれは当然ない。ないのだが、「女性」を感じさせないのだ。外見もかなりボーイッシュではあるが、醸し出す雰囲気というか、受ける印象そのもが女性的じゃないのだ。
(・・・・・確信は出来ない。でも、もしかすると)
佑介の持つ能力は、時に相手の本質も読み取ってしまうことがある。

入院してからしばらくは穏やかだった次子の波動が大きくぶれた時があった。
強い感情の波が押し寄せたのだ。

絶望。そして、あきらめと切ない想い。

自分の感情を抑え、相手の気持ちを優先的に考える次子。
あそこまで精神的に追い詰められ病院から抜け出してしまったのは何故だったのか。

(いつか、わかることだ。・・・・今は、忘れよう)

きっと、話してくれると思うから。
今はただ、日夏里と次子のふたりの幸せを祈りたい。
ひたすらに、そう思う佑介だった。



さすがに三杯目の飲み物は遠慮し、退院したばかりの次子にあまり負担はかけてはいけないことでもあり、名残を惜しみつつ喫茶室を出た。
日夏里と栞が化粧室に向かったので、次子と佑介はロビーの一角で待つことになった。

「あのさ。これからもいつでも力になるから。なにかあれば、遠慮なく言ってくれよな」
佑介は次子を見ながらゆっくりと口を開いた。
「土御門さん・・・・」
次子は佑介の真摯な態度に、すべてを話すことは出来なくても、これだけは話しておかないといけないと思った。
深呼吸ひとつ。視線をはずさず、きちんと佑介を見て。
「・・・・実は、転校するんです。翠嵐から」
きっぱりと告げた。
佑介の瞳が見開いた。
「・・・・転校?」
「しばらくは休学という形を取るけど。それから」
「それは・・・・・」
戸惑いながらも佑介は、漠然と自分が感じていたことが当たってしまったのだと思った。
考え込む佑介をしばらく見つめ、そして。
「時期がきたら、話せると思う。・・・・だから、今はこれ以上きかないでほしい」
そう言って、次子は瞳を伏せた。
もとより、佑介は他人のプライベートに口を突っ込む方ではない。だから。
「わかった」
と、ただ一言返事をした。
「ありがとう。・・・・土御門さんには、すごく、感謝してます」
次子はやわらかい笑みを浮かべた。
「・・・・ところで、『敬語はなし』じゃなかったっけ?」
悪戯な表情で、おどけて佑介は言う。
「それも、時期がきたら」
次子も同じように返した。


いつかその時まで。
そっと心の奥にしまっておこう。



再会を約束して、日夏里と次子は佑介と栞と別れた。
次子が二人に会えるのは当分先のことなのだが、これからの励みにしたいと思ったから約束をした。
そして、日夏里と次子はある場所に向かっていた。


「こんな近くだったんだ」
辿り着いた場所は、次子が病院から抜け出して佑介に見つけられた神社だ。
あの日は周りを見る余裕がほとんどなかったが、かなり多くの木々に囲まれた空間であった。
その緑の中へ迷い込むように、歩いて行く。
「・・・・からだがいうこときかなくて、遠くまで行けなかったから。それに・・・・」
どこへ行ったとしても、あの焦がれるような切ない想いは胸の中から消えなかっただろうから。
「それに?」
次子が口をつぐんだので、先を日夏里は促すが。
「・・・・・なんでもないよ」
ふっと微笑んで、それ以上は言わなかった。

今日ここで別れたら、しばらく次子とは会えなくなることを日夏里は知っていた。
次子は、「ほんとう」を取り戻すために旅立ってしまうのだ。
明日、はやくに。

まだまだ話したいことはたくさんある。
-----いや、話さなくてもいい。
ただ、そばにいられたら。
ずっと、ずっと、そばにいられたら。

「日夏里・・・」
日夏里の歩みが止まった。
「・・・ごめ・・・んね。・・・・笑って・・・・ちゃんと笑って、・・・・さよならって、言う・・・つもり・・・だったのに」
日夏里の大きな瞳から涙の粒が零れ落ちる。
ひとつ、またひとつと。
「永遠に、会えない・・・わけじゃ・・・ないのに。・・・また、会える・・・・のに。・・・・いなくなっちゃうわけじゃ・・・・」

うつむいて、必死に涙をこらえる日夏里が愛しくて。
震える肩が切なくて。

引き寄せて腕の中に閉じ込めた。

「泣かせてばかりで、ごめん」
もう泣かさないと決めたのに。笑顔だけが見たいと誓ったのに。
「出来るだけ連絡するから」
もっと、大切な言葉がある筈。

抱き締める力をもう少し強めて、伝えなければいけない言葉を紡ぐ。
「・・・・土御門さんからは、勇気をもらった。・・・・すべてを受け入れる勇気を」
「・・・・?」
「日夏里からは、いつも元気を。そして素直になる大切さをもらったから」
「つー・・・さん・・・」
「日夏里がいなかったら、私はからだだけじゃなく、きっとこころも欠陥のある人間のままだった」
自分を好きになれず、人交わりを嫌い、壁を作ってその中にずっと蹲っていただろう。
「そんなことないよ」
日夏里はうつむいていた顔をぱっとあげた。
「そんなこと、絶対ないから。つーさんはあんまり話さないけど、でもすっごくあったかくて、やさしくて、気遣いができる、そんな素敵な人だから」
泣いていたことなどすっかり忘れて力説する日夏里。
「だから、そんなこといっちゃだめ」
次子はやさしく微笑んでいる。
「ありがとう」
日夏里の頬に手がそえられる。
「えと、あの/////」
途端、日夏里の顔は真っ赤になった。
「・・・・大好きだよ。ずっと・・・・」
すっと次子の顔が近づいてきた。
(つーさん、なんかいつもと違うよ?;;・・・・ちょっと、待って;;)
日夏里の心臓は早鐘のようになっていた。
からだは自然と強張ってしまい、目はぎゅっと閉じてしまう。

(日夏里・・・・)
その強張りに、次子は気がついた。
自制をしなければと自分で決めた筈なのに、日夏里の涙とあの言葉で理性は飛んでしまっていた。
これ以上は、いけないと思う。
・・・・わかってはいるけれど、感情がからだを支配する。
(・・・・今は、ここまで)
唇のすぐ横の頬に、かるくふれるだけのキスをして、次子は顔を離した。

近くに感じた体温が感じられなくなり、日夏里はそっと目を開けた。
次子がちょっと困ったようなそんな表情をして自分を見下ろしていた。
「・・・・・ごめん」
それしか言いようがなく。
言われた日夏里は。
「ごめんはききたくないの。・・・・つーさんのばか!」
さらに赤くなって次子の胸に顔を埋めた。
「日夏里?;;」
めずらしく、次子がうろたえている。
「・・・・・あやまんなくて、いいの!」
「?;;」
女性として17年間一応育ってきた筈なのだが、どうにも次子には乙女心は理解できないようだ。
「・・・・恥ずかしかっただけだもん。・・・・いやじゃ、ないからね」
そうなのだ。
あまりに突然で、こころの準備が出来ていなかっただけなのだ。
だから謝ることなどないのだ。
・・・・謝ってほしくないのだ。

「・・・・つーさん?」
次子の反応がない。
おそるおそる顔を上げてみれば。
「・・・・・・//////;;」
多分初めて見るであろう、次子の真っ赤な顔。

次子は、はっきり自覚したのだ。
自分は「男」なんだと。
からだはまだ中途半端かもしれないが、行動や感情はどう考えても男性のものであると。
反則すれすれの日夏里の科白に、くらくらしてしまう。
(まいった・・・・;;)
こんなにも日夏里にふれたくなるとは。
------腕の中に抱き締めて、離したくなるとは思わなかった。

「・・・・つーさんの、えっち」
赤い顔の次子にぽつりという日夏里。
「ひーかーりー;;」
兄がふたりいるだけあって、実は耳年増な日夏里は、そういうところは何故か変に聡く。
そして半分は図星だったりするから、次子は言葉を返せない。
「・・・・でも、大好き」
そして背伸びをして、次子の頬にキスをした。
「///////;;」
次子はこれ以上は赤くなれないと思えるほどに、赤かった。
もちろん、キスをした日夏里も。


「あのね、たくさん“つーさん”を充電できたからもう大丈夫。寂しいけど、待ってるね」
にこっと日夏里は笑う。
初めて会った時から、変わらない笑顔。
この笑顔に何度救われたことか。
「・・・・・ありがとう。・・・本当に」
次子も笑みを返した。



ふたりは、手をつないで歩き出す。
未来にむかって。
2009.04.24 / Top↑
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