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「天上大風」にて、話題にのぼっていた区民大会団体戦出場。
どうやら決定のようです。
どんな組み合わせになったのやら。

つづきをよむからどうぞ。


5/21、微妙に修正(^^;)


稽古終了後、そのまま道場内で団体戦のことについて話をしようと思っていた佑介たちだったが、真穂から母屋の方でゆっくり話せばいいと言われ、一度は辞退したものの、「遠慮は無用よ」とどこか有無を言わせぬ口調で言われたため(穏やかににっこりと微笑まれて言われたのであるが)、素直にその言葉に従うことにした。



「・・・・こっちにお邪魔するのなんて、何年ぶりかなあ」
変わらぬ、純和風の家の中をしみじみ見ながらつぶやく航。
「俺は初めてかも;;・・・・外観もすごいけど、中もすごいんだね」
八畳の居間に通され、その居間には書院つくりの棚、床の間に欄間に雪見障子・・・・と、今の住宅ではとてもお目にかかれない部屋の造りに、ただただ瞳を見開いて月人は驚いていた。
「確かに今ではなかなかお目にかかれないよな。こういう家には」
そんな月人の様子を苦笑まじりで佑介は見ている。
「まあ、あんまり長々お邪魔するのも申し訳ないから、さくさく話を進めるよ」
航は佑介と月人に向かってそう言った。

「で、簡潔に言えば、3人でもOK。ようは5人制に3人で出るわけ。副将と次鋒欠場の、先鋒・中堅・大将というオーダーで」
防具袋の中から、区民大会参加要綱を取り出し、座卓の上に置く航。
「それって、きつくない;;」
「まあね」
月人の科白を航はあっさり流す。
「・・・・そうなると、最初から相手に不戦勝で2勝4本くれてやるってことか」
腕を組みつつ、座卓の上の用紙を佑介は見つめる。
「そういうこと。だから3人全勝するか、2勝を2本勝ちして1引き分けで代表戦に持ち込み、そこで一本勝負に勝つしかないんだよね」
「えっ;;・・・・そんな航くんと佑介くんはいいけど、俺には無理だよ;;」
「勝負をする前から投げちゃだめだ、月人」
途端、月人の弱気虫で『のび太』な面が現れ、佑介は嗜めた。
「それはわかってるけど・・・・」
月人の声は段々小さくなり、うつむいてしまう。

「・・・・先鋒は俺がやるから」
はっと月人の顔が上がった。
不安な表情の月人を力づけるように、佑介はにこっと笑ってそう言った。
「先鋒は『切り込み隊長』なんだよな、航」
「まあね。とにかく初戦に勝って、チームに勢いをつけるのが役目だし」
「でも・・・・」
まだ言い募る月人。
「俺は絶対勝ってくるから恐れるな。負けてもいいんだから。・・・・・とにかく、やる前から勝負を投げるのだけは絶対にだめだ」
月人の本当の実力を佑介は信じているのだ。
「そうだね。佑介の言うとおりだよ、月人」
航ももちろん月人を信じている。だから。
「・・・あのさ、そもそも勝つことが目的じゃないからさ」
「え?」
「学校がそれぞれ違う僕らが一緒に試合に出られる機会なんて、こんな時しかないんだよ。まずは楽しまないと。楽しんで、試合経験が増やせたら最高だろ?」
「航くん・・・・」
「優勝はね、僕が個人で獲るからさ。・・・・ふたりは僕のツマってことで」
にっと航は笑う。
佑介と月人は一瞬顔を見合わせ、そして。
「航~」
「航くんてば」
3人、大笑いとなった。


「で、オーダーを決めないと」
まだ残る笑顔で、航は区民大会参加要綱に添付されている団体戦参加者の記入表を見つつ言う。
「決めるも何も、先鋒が俺で中堅が月人なら大将は航しかいないだろ(笑)」
佑介も苦笑まじりだ。
「ホントに僕でいいわけ?」
佑介と月人それぞれの顔を見る。
「うん」
素直にうなづく月人。
「俺も依存はないよ。・・・・でもまあ5人制に3人で出る場合は、そもそも駆け引きもへったくれもなく、ただ全勝あるのみで、オーダーって正直なところ関係ないのかもな」
確かに佑介の言う通りなのかもしれない。

通常通り5人編成で次鋒がいれば、その次鋒は先鋒が負けた場合はとにかく勝って勝負をドローに戻し、勝った場合には更に勢いをつけるため、やはり勝つことが求められる。それゆえに、一番実力のある選手を次鋒に持ってくることが多々あるのだ。
中堅以降は相手との取得本数差も計算に入れて戦わなければいけなくなり、特に大将、副将らは、勢いよりは冷静さが求められた。
インターハイなどでは1回戦、2回戦でオーダー変更も可能だが、区民大会ではたいていオーダー変更は不可となっていた。

「勝ちに行くならそうだろうね」
佑介の言葉にうなづく航。
「・・・・とにかく勝負は投げないで、勝てる試合は勝つ。それで行こう」


区民大会の参加申し込みは、大会開催1ヶ月前までだ。今年は6月28日の日曜日に開かれる。

「そういやそろそろインターハイの地区予選じゃなかったか」
申込書を記入している航に問いかける佑介。
地区予選を突破すれば、次は東京都代表をかけた予選会に出場となる。実は区民大会の前日の土曜日がその日だったりするのだ。
「あ、そうそう。だから坊主にしないとかなあって思ってるんだけどね」
「坊主に?」
佑介は一瞬瞳を見開く。
「一応、僕は主将だし。ま、別に強制ではないんだけどさ。・・・・月人はどうすんの?」
航の髪の長さならそのままで特に問題はなさそうである。だが月人は。
「え、俺?;;」
月人の髪は長めの部類だ。
「短くしろって言われてない?」
「・・・・言われてなくはないけど、どうせインターハイなんて出られないから関係ないよ」
月人の高校の剣道部は数年前まではかなり強かったのだが、ここ最近は下降線を辿っている。地区予選だって勝てるかどうかもわからないのだから、正直なところ髪の長さなんてどうでもいいと思う月人だった。
「・・・・初めから勝負は捨てるなって、さっきも言ったぞ?」
佑介は月人の言葉に引っかかった。
「・・・・別に捨ててないよ。でも佑介くんは、剣道の地区予選は出ないじゃないか」
どこか拗ねたように返され、佑介は言葉に詰まってしまった。佑介の高校の部活は弓道部だ。剣道部には所属していないから、当然この地区予選には出場出来ない。
「仕方ないだろ、月人。拗ねない、拗ねない」
航とて、佑介が出場出来たらと思う。だがそれはもはや叶わぬことだ。

しばしの沈黙。・・・・そして。
「じゃ、ふたりにつきあって俺も坊主になるから。・・・・それで勘弁してくれよな」
ふたりの気持ちがわかる佑介はそう言った。
「・・・・佑介が坊主?」
航の書く手が止まる。
「ああ。俺は別に坊主になることには抵抗ないしな」

以前、東都学園の高野龍が毎年修行に行く高野山へ誘ってくれたことがあり、その時も坊主にしなくてはいけないのならそうすると佑介は言っていたのだ。(厳密には五分刈り)だが、特にそれは強制ではなかったのもあって、そのままで修行に同行したのだ。
ちなみにその高野龍は、友人から坊主頭にすることを阻止されていた。本人は佑介同様、全然頓着しないタイプだった。

「栞ちゃんがいやがると思うよ;;」
あまりにもあっさりと言う佑介に航の方がたじろぐ。
「大丈夫だろ。俺は俺なんだし」
それは確かにそうだけど、乙女心としては複雑なのでは(笑)
「え?なんで栞ちゃんがいやがるの?」
月人にはふたりの会話が見えない。
「あ、そか。月人はまだ知らないんだ」
「知らないって?」
首をかしげる月人。
「わたる~;;」
佑介は航を止めようとするが。
「栞ちゃんは、今は佑介の恋人なんだよ」
「!・・・・そうなんだ~」
まじまじと佑介の顔を月人は見る。
「いちいち報告することでもないし;;」
見られている佑介は、なんだか落ち着かなかった。

「そういえば、今日栞ちゃんは?」
ふたたび用紙に記入する手を動かし始めた航。
「最近よく深川のひいおばあさんのところに行ってるみたいだから、多分今日もそうだと思うけど・・・・って、俺だってそんな栞の予定を把握してるわけじゃないぞ;;」
「嘘つけ」
「嘘つけって、なんなんだよ、航;;」
「・・・把握してなきゃ二回目の予定だって立てられないだろ。・・・・あ、もう済んだのか」
そう言って航はにっと笑う。
「!~~~~~わたるっ//////!!」
途端、佑介は赤くなった。
「何が二回目なの?」
素朴な疑問の月人だ。
「それは・・・・、むぐっ」
人差し指をたてて真面目な顔をして答えようとする航の口を、佑介はすかさず塞いだ。そして。
「なんでもないから」
月人にはそう言い、それからじたばたと暴れる航の口からて手を離し、小声で。
「月人に余計なこと言うなっ;;」
「・・・・ひとりだけ先に進むからだよ」
じとっと航は佑介を睨む。
だから、先とか後とかいう問題ではないのと思うのだが。
「僕と七海がそうなるまで、ずっと言ってやるからな」
と、アカンベをする。
「航っ!!」


結局のところ、じゃれあっているにすぎなく。
とりあえずは、区民大会団体戦、出場決定となったのだった。
2009.05.20 / Top↑
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