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ネタ提供は、いつものようにワタクシの剣道のお師匠・ままさん剣士Kさんです。
「これってネタになる~?(笑)」と画像添付のメールを下さいました。

ええ、がっつりネタになりましてよ(爆)

今回は「お笑い」バージョン。

つづきをよむからどうぞ。


(いてっ・・・・)

制服に着替えるため、パジャマを脱いだ時に鈍い痛みが走った。
左側の鎖骨の下5㎝あたりに出来た痣。昨夜は触れば痛みを感じたが、今朝はからだを動かす度に痛む。痣の見た目もほんのり赤くなっていたのが、今は赤紫色になっていた。
佑介は昨日の稽古での出来事を思い出した。



「うわ、悪い佑介」
「いや、俺も上手く捌けなかったから」

互角稽古をしていた佑介と航。
お互いにコテメンを仕掛け、コテを打った直後メンを狙って竹刀を上げ、打たれまいとからだを捌いたタイミングがどうにも上手くなかったようで、航の竹刀の剣先が佑介の面の顎と胴胸の間に入り、鎖骨の下あたりの胸元に突きを打った形になってしまったのだ。

「痛かった・・・・よな?」
佑介に近づき面越しに航は問いかけた。
「大丈夫だよ、気にすんなって。稽古中にはよくあることだろ」
「まあ、そうだけどさ」
「だろ?・・・・さ、まだまだ時間はあるんだし、行くぜ」
けして痛くないわけではないが、自分の体捌きがまずかったからこうなったのだ。なので佑介はさっさと竹刀を構える。
「・・・・よっしゃ。じゃあ、遠慮なく」
もちろん航自身も自分の捌き方と打突のタイミングが悪かったのは承知していた。だが確かに稽古中にはよくあること。
佑介から離れて下がり、竹刀をすっと構えた。


稽古が終わるなり航は素早く小手と面をはずして佑介のそばに行った。
「な、さっきのところ痣になってないか?」
やはり気になっていたのだ。
「なってるだろうけど、たいしたことないよ」
と佑介はあっさり返すが、航は見せてみろとかなり強引に佑介の胴をとり、稽古着の襟を開いた。
「お、おい、航;;」
航と佑介に背中を向けて防具をはずしていた月人、佑介のいつにないうろたえた声にあわてて振り向いた。
「航くん、なにやってるのさ!」
佑介の稽古着の襟元を掴んで開いている航の行動に目を見張り、月人はふたりの間に割って入ろうとした。
「さっき僕が佑介のこと突いちゃったから、怪我してないか確かめるだけだよ。・・・・・なあに想像してるんだ?つっきーってば」
月人にむかってにっと笑う。
「~~~~。航くんのばかっ」
月人は真っ赤になって言葉に詰まってしまった。

「あ、やっぱり赤く痣になってるなあ」
まじまじと眺める航。
「そりゃ痣にはなるだろうけど、大丈夫だから;;・・・・もう、襟を放せよ」
襟を開いて胸元を覗き込んでいる航に佑介は言う。
「・・・・いい筋肉ついてるよな、佑介は」
「は?」
「やっぱり弓道もやってるからかな。それともあの砂入り一升瓶での素振りの効果かな」
「航?;;」
胸元を見られてぶつぶつ言われるのは、どうにも変な気分だ。
「僕ももう少しがんばってみよう。・・・・それよりも、なあ~んか誤解されそうな色具合だね」
勝手に航は自己完結してしまったようだ。
・・・・って、誤解?
「どういうことだよ、それ」
怪訝そうな顔の佑介。
「え?ここで言ってもいいわけ?」
航はにんまりと笑う。
「言うも何も;;ただの痣に何を誤解するんだよ」
佑介にはわけがわからない。
「鈍いなあ、佑介は」
あきれたように航は言い、そして佑介の耳元に口を寄せ。
「キス・マークだよ。・・・・栞ちゃんにつけたりしてるんじゃないの?で、栞ちゃんからもね♪」
小声で楽しそうに囁いた。途端、佑介の顔は赤くなり。
「!/////航っっ!!」
航を掴まえようとしたが、それよりもはやくぱっと航は佑介から離れた。
「図星かな。ま、明日学校で気をつけた方がいいよ」
ひらひらと手を振り、呆然としている月人の腕を掴んで航は道場から退散したのだった。



(まったく航のヤツ;;あれ以来すぐああやってからかうんだから)
制服のネクタイを締めながら、溜息が漏れる。
確かに栞にその「しるし」をつけてしまってはいた。
初めてのとき、もう無我夢中で余裕もなくて、そこにつけたら見えてしまうなんて思いも及ばなかったのだ。
実はそれが仇になった。

そうなった日の翌日。部活も終わった下校途中に栞は、同じように部活を終えた筒井衣里那に会った。
衣里那は部活での佑介の様子がいつもと違ってどこかおかしく、栞と喧嘩でもしたのではないか、なにかあったのではないかと聞いてきた。
もちろん「なにか」はあったのだが、そんなことは言える筈もなく、「喧嘩はしていない」と否定するのが精一杯で、あとは黙って俯いていたのだけれど。
そこへ、春特有の突風が吹いた。
ふわりとめくりあがるスカート。乱れる髪。
それらを直していた時にふと垣間見えた栞の首筋にあった紅い「しるし」。
「虫に刺されたの?」なんて言う古典的な言葉をかけるまでもなく、栞の様子でそれが何を示すのか衣里那にはわかってしまった。

その次の日の衣里那は一日佑介のことをなんとも言えない複雑な表情で見ていた。佑介にしても、登校時に栞から衣里那にばれてしまったと話されてはいたけれど、正直なところ、どういうリアクションを取るべきなのか困ったものだった。
が、衣里那は特に何も言わなかったし、言っても来なかったので、その件はスルーということでケリがついたようだった。(多分衣里那は栞のためを思って、黙ることにしたのだろう)

とりあえずそれ以来、見えてしまうようなところへはつけないように注意している。
一応。
まだまだ栞とのそれに余裕なんてもてない佑介にとっては、かなり大変なことではあるのだが。



学校へ行けば、いつもの平和な日常風景。
とりあえず本日の日課には体育はなく、運動用のジャージに着替えることもなかったので、佑介自身は航が昨日言い置いた言葉のことは忘れかかっていた。
放課後の部活の前にちらと痣を見てみたが、赤い色から紫の強い、所謂「青痣」になりつつあったから、これはもう変な誤解をされたりするようなことはないだろうと思った。
だがそれは、浅はかで大きな間違いであったことにすぐ気付かされることになった。


部室での着替えの際から、それについて静かに会話は交わされていた。

「あれってさ・・・・」
「そうだよね?」

それら全体をきちんと見れば、青黒いところや紫色のところもあるので、すぐに痣とわかるのだが、着替え中に一瞬ちらりと見えただけでは、どうにも違うものに見えてしまうようだった。


練習が始まり、佑介は後輩達を指導しながら、もちろん自身も弓を射た。
その弓を射る際に、弓道着の合わせがかるく浮いて、ちらちらと垣間見える赤い痕。そしてマンツーマンで指導する際にも、ほのかに見えた赤い痕。
後輩達は先ほどの着替えの時のことも相俟って、それが「ソレ」であるのか気になって仕方がない。
となれば、寄せ集まってひそひそ話だ。

「やっぱり、そうなのかな;;」
「じゃないの~?なんといっても恋人同士なんだし」
「え、なんの話?」
と女子部員も寄ってきて、さらに喧しくなるわけだ。


(なんだ?)
佑介は視線を感じて振り返る。
振り返れば、自分を見ていたらしい後輩達は、さっと視線を逸らす。

あやしい。

つかつかと後輩らの集まる場所に歩いて行き。
「こんなとこでたむろして、なにをこそこそ話してるんだ?」
腕を組んで、かる~く睨みつける。
「な、なんでもないです;;」
「なんでもなくは、ないと思うが?」
「その、佑先輩の射姿はかっこいいな~って」
「そうそう」
慌ててみなは頷き合う。
「・・・・嘘つけ」
呆れたような佑介。
「う、嘘じゃないですよ。・・・そんな佑先輩の赤い痕が気になるなんて・・・・むぐ;;」
「莫迦っ!」
ぽろっと漏らした人物の口を咄嗟に塞ぐ。
「赤い痕?」
ほんの一瞬考え込みそして。
「・・・・・これは剣道の稽古でついた痣だぞ?」
「またまた~。いいんですよ。誤魔化さなくたって」
「そうですよ。佑先輩と草壁さんはなんといっても公認のカップルなんですし」
------なんですぐに話をそっちに持っていくんだか。
「俺と栞のことは置いといて。とにかくこれはただの痣だ;;」
「わかってますって。黙ってますから」
わかってない;;
「最近は、ホント、いい雰囲気ですもんね~」
「佑先輩もミョーに色っぽいし♪」
「あのなあ;;」

後輩達は、矢継ぎ早にあれやこれやときゃいきゃい言っている。最早佑介の否定の言葉など誰も信じちゃいなかった。
(勘弁してくれよ;;)
大仰に、溜息ひとつ。もう勝手に言わせとけ、という投げやりな気分になっていたところへ。

「・・・・佑先輩も、草壁さんにつけちゃったりしてるんじゃないですか~?」

「今は気をつけてるから、そんなことな・・・・」
しまった;;
はっと口を噤む佑介。全員の視線が自分に注がれている。
「『今は』、『気をつけている』んですね?」
「じゃあ、前はそうじゃなかった?」
「うわ~、それって1回や2回じゃないってことですよね」
「佑先輩、おっとな~」
口々にわあわあと言う後輩達。
「あ~、もう、いい加減にしろっ!インターハイの東京都予選はもうすぐだぞ。さっさと練習に戻れ!」
「は~い♪」
佑介に怒られて、蜘蛛の子を散らすようにその場からいなくなる後輩達。何故か嬉しそうな表情なのは気のせいではないように思う。
そんな彼らの後姿を見つつ、またもや大きく息を吐く。


「・・・・・佑介」
「わ;;・・・・・や、梁河;;」
蜘蛛の子が居なくなったあとに残ったのは親蜘蛛か?
いや、どこか呆然としている弓道部主将の梁河康一だ。
「今のは・・・・」
自分の耳に聞こえてきたことは、事実なんだろうか。
「聞かなかったことにしてくれ;;」
これ以上もう、そのことについて佑介は語りたくない。
「聞かなかったって、おい;;」
「ノー・コメント」
耳を塞ぎながら、すたすたと歩き出す。
「佑介!」
追いかける梁河。
「黙秘権、行使;;」
「それですまされると思ってるのか~」
「・・・・・;;」
己の自爆癖が恨めしい。
佑介は口をへの字にして黙り込んだ。


果たして、梁河は佑介からそれについて聞き出すことが出来たのか。
真相は闇の中・・・・。



と、いうことにしておこう。
2009.06.03 / Top↑
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