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ままさん剣士Kさんからいただいたネタの「あだると」バージョンです。

「あだると」、ということは、いつものうちのふたりです(爆)
ま、今回はかるめです(笑)
うちにしては(爆)

とはいえ、OKな方のみ、つづきをよむからどうぞ。



「痛々しいな」
「・・・・え?」
甘くやさしいくちづけにうっとりとしていた咲子は、絋次が何のことを言っているのか咄嗟に理解が出来なかった。
「この紅い痣のことさ」
咲子の浴衣のゆるめられた襟元からのぞく、肌理細かな白く透き通るような肌に刻印のように紅く色づいているそれ。うっすらと紫色に染まっている部分もあった。
絋次はそこへ、そっと唇を這わす。
「・・・・っ」
わずかばかり、咲子のからだが強張る。
「痛むのか?」
「少し・・・・」
かるくふれるだけのものだったのに、痛みが走った。

10何年ぶりに剣道の稽古を再開し、しばらくは自分が思っているような動きが出来ずに打ち身の痣をよく作っていたものだが、近頃はからだも慣れてきたようで、そのようなことはあまりなかった。

「・・・・防具をつけていただろうに」
言いながら、その痣の周りにふれるだけのくちづけを落とす。
「ん・・・・」
吐息が堪え切れずに漏れる。
絋次の手はゆるやかに咲子のからだをまさぐっていた。
「なんだかキスマークみたいだな」
くすりと笑った。
「それ・・・、帰り際に、お母さんにも言われたわ・・・」
閉じていた瞳を開きほんのりと頬を薄桃色に染めて、咲子は自分を見下ろす絋次に言う。
「お義母さんが?」
絋次の目が面白そうに細められた。
「・・・・服に着替えたら、なんだか紅くなった部分が見え隠れしちゃって。それで・・・・」



「咲子それで帰るの?」
奇妙な笑みを浮かべながら自分を見ている母親の真穂。
「それでって・・・・?」
「こ・れ」
真穂は「それ」を視線で示した。
その示す先に視線を落とせば、今日の稽古で出来た痣が見つかる。
咲子も区民大会の婦人の部・団体に出場することになり稽古に励んでいたが、月人の母親小枝との試合稽古の際、互いの体捌きと打突のタイミングが悪く、小枝の竹刀が咲子の面の顎と胴胸の間に------右側の鎖骨の下あたりに突きのように入ってしまったのだった。
少し擦れて紅くなっている。
「・・・・ただの痣じゃない」
怪訝そうな表情で咲子は真穂を見る。
真穂は瞳を見開いて一瞬の間の後、ぷっと吹き出した。
「鈍い子ねえ。そんな風に意味深にちらちら見えたら、別のモノを連想するってことよ」
「別のものって・・・・・。あ///;;」
真穂の意味することに気がつき、咲子はかっと赤くなった。
「ま、絋次さんに誤解されないようにね。・・・・あ、もっと増えちゃうかな」
あざやかに、ウィンクひとつ。
「お母さんてば!;;」
咲子は二の句が告げなかった。



「別に誤解はしないが・・・・」
なんというのか、真穂は娘をふたり持つ母親にしては実にさばけているのだ。
苦笑いの絋次はふっと咲子と初めて結ばれた日のことを思い出した。



初めてである咲子の緊張を解きながら丹念に愛し、そのあとふたりとも寝入ってしまったこともあって、10時までの帰宅という咲子の門限時間ぎりぎりになってしまった。
絋次は自分が引き止めたからこんなに遅くなってしまったのだ、咲子は悪くないと説明しようと思い、いつもなら門のところで見送って帰るのを、玄関までついていった。
幸いというべきか、この日父親の直哉は期末が近いこともあって残業でまだ帰宅していなかった。
玄関でふたりを迎えた真穂はそれぞれをまじまじと眺めたが、特に何を言うこともなく、絋次を残して先に部屋へ戻るよう咲子をうながした。咲子は後ろ髪を引かれる様に自室へ向かったが、終始落ち着かない気分であった。
残された絋次ももちろん内心はけして落ち着いてなどいなかったのだが、なんとかいつも通りのしれっとした表情で、その瞳だけに咲子への愛しさをにじませながら、名残惜しそうに部屋へと戻る咲子の後姿を見送った。
帰ろうと思い、玄関の引き戸の取っ手を掴んだときに。
「・・・・『おめでとう』というべきかしらね?星野くん」
「!/////;;」
にっこりと笑みを浮かべながら真穂にそう言われ、絋次のポーカーフェイスがくずれた。
みるみるうちに、顔に朱をのぼらす。
「あの、その。・・・・すみません」
咄嗟についてでたのはそんな言葉。
「あら、やあねえ。謝らなくたっていいのよ。避妊さえきちんとしてくれればね」
「・・・・;;」
返事の仕様がない。
もちろん男側の当然の配慮として、それはちゃんとしていたが。
「ま、その辺りは心配してないわ。星野くんのことだし。・・・・ただ万が一ってこともあるから」
「そうなったら、ちゃんと責任とります」
即座に答えた。
咲子と結ばれたということは、咲子のすべてを受け入れ守り、その将来に責任を持つことだと思っている。
それに絋次は、咲子を他の男に渡すつもりなどまったく考えていなかった。
「それもわかっているわ」
絋次の真剣な表情に、真穂の笑みがやわらかくなる。
「でもね、卒業まで2年ちょっとよ?ほんの少しの辛抱なんだから」

咲子と恋人として付き合い始めた頃に、絋次はぽろっと、卒業したら咲子と一緒になりたいということを真穂にもらしてしまっていた。
・・・・咲子にはそれらしいことは一言も言ってなかったのにもかかわらず、だ。
その言葉を聞いた真穂はにこりと笑って、「星野くんが息子になるのは嬉しいわね」とだけ言ったけれど。
幼い頃に不慮の事故で両親を失った絋次に、その両親の記憶はほとんど残っていない。時折頭を掠めるのは、綺麗な長い黒髪を日本髪に結った着物姿の母。祖母のやち代と同じように、芸妓だったという母の葉月。
真穂も美しい黒髪をゆるやかに結いあげて、常に着物で過ごしている。そんな真穂と接していると、ほんのわずかな母の記憶がふっと蘇るのだ。
そして、「母」とはこうなのかと思いを馳せることが出来た。

絋次は、素直に「はい」と頷いていたのだった。



「お義母さんにはかなわないな」
どこか嬉しそうな絋次だ。
「こーさん・・・・」

両親が、妹の栞の幼馴染で恋人の佑介とは違った意味で、絋次のことを気に入り大事にしてくれていることは咲子もよくわかっている。
絋次の複雑な生い立ちのことや、今は縁が切れていると聞いている厄介なことの何もかもをすべて承知の上でだ。
・・・・父の直哉の仕事のことを考えたら、もしかすると後々影響が無いとは言い切れないのに。
絋次もそれらがわかっているから、直哉と真穂を本当の親のように慕っている。

(・・・・・なにかしら、このざわめき)
漠然としたなにかが咲子の中で騒ぎ、落ち着かない。それが顔に出たのだろうか。
「咲子。どうした?」
咲子の頬に大きな手をそっとそえて、心配げに自分を見下ろす絋次だ。
「なんでもないわ」
小さな不安をかき消すように微笑み、手を伸ばして絋次の首に腕をまわした。
「・・・好きよ」
言いながら、引き寄せささやく。
「俺もだよ」
咲子を見つめ、くちづける。それはかるくふれただけで離れた。
そして。
「・・・・お義母さんが言ってたことを実践するか」
「え?」
咲子の戸惑いをよそに、絋次の唇は咲子のからだを彷徨い始める。

「実践って、なんのこと;;」
「もう、黙れ」
・・・・黙る以外に、なかった。



「なんだい。その暑苦しい格好は」
台所で朝食の支度をしている咲子を見て、あきれたようにやち代は言った。
ハイネックのカットソーに薄手だが長袖のカーディガン、そして踝まで隠れるようなフレアのロングスカートといったいでたちの咲子。
梅雨入り宣言の出された東京は、雨こそ降っていなかったが湿度が高くて朝から蒸している。
そんなやち代は、すっきりと白地に鉄線柄の綿紅梅の浴衣にお気に入りの博多献上の細帯を貝の口に締めていた。
「・・・・風邪気味なんです;;」
そうとでも言うしかない。
咲子とて、出来ればやち代のように木綿の単の着物でも着たかったのだが、着物では首筋やうなじが見えてしまうので、それでは意味がなかったのだ。
「へえ、そうかい。布団をかける暇もなかったのかい」
「やち代さん;;」
「それとも、そこの大きな困った虫に、刺されでもしたかねえ」
やち代はちらりと居間に座って新聞を読んでいる絋次を見る。
咲子の顔はもう真っ赤であった。
「ま、仲がいいのは悪いことじゃあないよ。・・・・どれ、ちょいと芙美と散歩でも行ってくるさね」
そう言って、絋次の横でお絵かきをしている芙美に声をかけた。

(もう、こーさんのばか;;)
やち代と芙美が出かけるのを見送り、咲子は大きく溜息をつく。
初夏だというのに、なんでこんな格好をしなければならなくなったのか。
以前にもからだのあちこちに、それをつけられて苦労した覚えがあるが、今回はさらにもっと多くのそれ----紅い「しるし」をからだの至るところに刻まれてしまったのだ。
原因である夫の絋次はしれ~としたものだ。
(午後から、お母さんと出かけるのに;;)
何を言われることになるのやら。
今から気が重い咲子だった。
2009.06.10 / Top↑
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