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やっと4話目ですが、今回も試合開始に至りませんでした(--;)
すみません~;;
試合だけじゃなく、キャラの心情もきちんと追っていきたいな~と思ったら・・・・・;;

つ、次こそは(爆)

と、いうことでつづきをよむからどうぞ(^^;)

一回戦は、実にあっさりと勝負がついてしまった。
不戦勝で2勝2本、相手にくれてやっていたのだけれど。
3人全員、相手に1本も与えない2本勝ちでの3勝だった。

「・・・・なんだか試合したって感覚がないよ。せっかく個人戦の前の手ならしのつもりだったのにさ」
礼をして試合場から出るなり、航はぼやく。この後個人の方の初戦だった。
「まあ、それはね」
苦笑する佑介。
どうやら対戦相手は「3人編成のチームなんて」とタカをくくっていたようなのだが、垂れに書かれた名前を見て、先鋒の佑介が昨年の区民大会個人の部の優勝者で、大将の航は昨日の東京都インターハイ予選で準優勝した代表選手だとわかり、早々に戦意喪失してしまったらしいのだ。
だから、試合らしい試合が出来なかった。
「次はもう少しじっくり戦いたいね。・・・・お。今試合してるの近衛たちのチームだ」
次に当たるであろうチームの確認と試合開始時間を確かめるため、トーナメント表を見ていた航。振り仰いで試合場を見れば、佑介と月人もそれに倣う。
高校生団体の部は16チームほど出場しており、二面を使って順々に試合を消化している。
「げ~。斎姫ってば女子に出てないで、こっちに出てる;;」
小声ではあったが、ものすご~く嫌そうな月人の声音だ。
視線を見やった試合場では、今まさに斎姫が戦っていたのだ。------男子相手に。
団体戦で、男子が女子の試合に出場することは出来ないが、女子が男子の試合に出場することは可能だった。ただし、竹刀の計量をきちんと測る大規模な大会では難しいであろうが。
わあっと歓声が上がる。
小柄な斎姫が、体格のいい男子相手に見事な返し胴を決めたのだ。
「さすがだね。あのメンツの中ででも、一番最初に二段に昇段したのは斎姫だったし」
ふと思い出しながら、航は感心する。
「・・・・・ホント、負けず嫌いで気が強いよ。男子相手にさ」
月人はとことん素っ気ない。
「ただ気が強いだけじゃ男子に勝てないよ、月人」
「それは・・・・」
静かにそう佑介に言われ、月人は口ごもる。
佑介は続けて。
「・・・・・彼女は相手の動きをよく見ているし、返しも速い。力負けしそうなところを、逆に相手の力を利用して技に繋いでいるから」
「そうそう。さっき決めた返し胴なんてその通りだし。見事だよ」
航が引き受けた。

「・・・・次に当たるのは近衛たちのチームになりそうだな」
しばらく斎姫の試合を見ていた佑介がさらりと言う。
「確かに。この相手にあいつらが負けるとは思えないしね」
今は尚壽館での稽古日が違うとはいえ、高校にあがるまではずっと共に切磋琢磨してきたのだから、彼らの実力はよくわかっていた。
「え、じゃあもしかして、俺、斎姫と当たる・・・・・?;;」
月人は目をぱちくりさせている。
斎姫たちのチームのオーダーを見れば、『先鋒・有迫、次鋒・榊、中堅・卯之原、副将・菅野、大将・嶋瀬』と書いてある。
「の、ようだね。がんばれよ、つっきー(笑)」
航は、面白そうに笑った。



「・・・・なんだ。俺、不戦勝になっちゃうんだ。つまんねーの」
一回戦を佑介らの予想通り勝ち抜いた近衛たち。次に当たる佑介や航たちは3人編成なので、次鋒の近衛は実質的な試合がない。
「近衛~、俺と変わろうよ。俺、千葉さんとやりたくない;;なんでインターハイ代表になるような人が区民大会に出てるんだか」
ぼやく彰生。
区民大会ではオーダーの途中変更は許されていなかった。それがわかっていても、ついつい口から出てしまう。
「・・・・千葉さんだって、常に勝てるわけじゃないんだから勝機はあるだろ」
ぽつりとそう言うのは数道。
「そりゃそうだけどさ。・・・・数道だって土御門さんとやるの、やじゃないのか」
佑介は、中学の頃から実力が際立っており、尚壽館ででも中学の部活ででも目の当たりにしていたのだ。
「むしろ楽しみだよ、俺は」
「・・・・変人」
「あのな(^^;)」
数道は苦笑する。
強い人と勝負するのは恐さもあるが、わくわくする気持ちもあるのだ。
「試合が出来るだけ、いいじゃねーか。俺もやりたい!」
実につまらなそうな近衛だ。
「あたしは月人に勝つんだから、3勝でこっちの勝ちじゃない。そしたら次の試合があるよ、近衛」
自分より頭ひとつ分以上大きい近衛を見上げて、にっこり笑って言う斎姫。
「斎姫、おまえ・・・・」
近衛が何か言おうと口を開いたが。
「そういや次にあたるチームって、おまえらが通っている道場と一緒のやつらだよな?」
唯一の2年生・菅野に挟まれた。
「そうですよ。ひとりは中学の先輩でしたし」
「同い年のやつもいるし」
数道と彰生が答える。
「だったら、部の方じゃなくそっちで出りゃあよかったのに(^^;)わざわざ俺を引っ張り出さなくても」
副将になんてしてもらったけど、おまえらよりずっと弱いんだから、と菅野は苦笑した。

近衛らの通う高校の剣道部は、現在3年生は男子3人女子1人しかおらず、すでに幽霊部員と化していた。2年生は今回副将を務める菅野ただ1人。4月に入った新入生もこの4人(近衛・斎姫・数道・彰生)のみだったのだ。
それゆえに、部として出られる様々な大会においては最初から団体戦は登録せずに、個人戦にのみ出場していたが、団体戦は団体戦の面白さがある。
区民大会なら女子の斎姫をメンバーに加えて出場可能だろうということで今に至るのだった。

「いいんです。今は稽古日も違うから全然かかわりないので」
「あ、まあ、俺は構わないんだけどさ・・・」
斎姫の強い口調に、菅野は圧倒された。

「斎姫。肩の力、抜けよ」
ぽんと背後から両肩をかるく叩かれ、斎姫は振り向いた。数道が立っている。
「剣道は平常心が大事。・・・・・それに、以前は確かに月人より斎姫の方が強かったけど、今もそうだとは限らないんだから、舐めてかかっちゃだめだ」
「!」
「・・・・俺は、土御門さんと斎姫や近衛たちの間で何があったか知らない。でも、人はかわるし時間も流れるんだからさ」
「数道・・・」
「いつまでも、立ち止まってるなよ」
斎姫は瞳を見開く。
数道はしゃべりつかれたとばかりに、大きく一息つく。本来の数道は無口な男なのだ。



「航、疲れてないか?」
背中の紅いたすきを結びなおしてくれている航に、佑介は小声で話しかける。
航は個人戦にも出場しており、その一回戦がさきほど終わったばかりだった。
「まさか。悪いけど、大和田ごとき瞬殺だよ(笑)」
言葉通り、あっという間に2本取った航を目の前で見たけれど、なるべくなら航に負担はかけたくないと思う佑介だ。
「・・・・それに、インターハイはこんなものじゃないんだからさ。勝ち進んでいったら6試合はするんだしね。ましてや真夏の大阪で。熱気も篭って大変な暑さだよ。だから、この程度でへばってたら、とても戦えないね」
航は、インターハイでだって、優勝を狙っているのだろう。
『僕』という一人称とやさしげな面輪からはあまり想像できないが、航はものすごく負けず嫌いなのだ。
「そう、だな。愚問だったよ。・・・・インターハイは応援に行くから」
航の瞳が一瞬見開く。そして。
「栞ちゃんとふたりで?」
にっと笑う。
「航;;・・・・・月人も一緒にだよ」
頬に少しばかり朱を走らせて答える佑介。
「ふ~ん。・・・・ま、おこさまな月人に刺激の強いもの見せないようにしなよ」
「わたるっ/////!!」
「冗談、冗談。・・・・ありがとな。応援に応えられるよう、がんばるから」
笑いをおさめて、一呼吸置き。
「まずは目の前の試合に集中。先鋒、切り込み隊長よろしくな。数道に、今の佑介を存分に見せてやんなよ」
「!」
そして、ばんっと背中を叩いた。
航は、真穂が近衛たちの名前を出した時の佑介の様子が気になっていた。
佑介と中学の後輩である近衛たちとの間に何があったのかわからないが、以前の佑介は自身の能力のこともあって、壁を作って人と接していたのだ。だからきっと今の佑介を見れば-----接すれば、以前とまったく違うことに気がつくだろう。そうすれば、なにか誤解があったとしたならば、それも解ける筈だ。
「・・・・ああ。・・・・航、ありがとな」
何もきかない航の心遣いが嬉しかった。


今度の試合は一回戦のようにはいかないだろう。
いよいよどこか因縁めいた、二回戦が始まる。



2009.07.20 / Top↑
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