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なんとかやっとの2話目です。
ちょっとまとまりがついてないかなあ;;

つづきをよむからどうぞ。


9/5追記
あちこち修正;;さらにちょっと追加。
・・・・校正もしないでアップしちゃいけませんね(^^;)

作中のある会話についてのことは、おいおいSSで書きますので。
お待ちくださりませ>Aさま

とはいえその後は、佑介がいささか拍子抜けするくらいに、なごやかに時間が過ぎていった。
さすがに雪也としてもいくら妹が心配だからといって、25歳にもなった大人が取る態度ではなかったなと思ったようだ。
それに母親のすみれに逆らっても無駄な抵抗だということも、これまでの経験からじゅうぶんに理解していた。
ゆえに、雪也は基本的には口は挟まず、話を振られた時にのみ返事をするというスタンスでその場にいることにした。
・・・・・あらためて出かける気はまったくもってない雪也であった。


「・・・・・ひーの試合、ちゃんと見に行ったのだけど。なんで気が付かなかったのかしら?」
右頬に手を添えて、ふうと溜息をつき呟くすみれ。
日夏里と佑介が知り合うきっかけとなった翠嵐の学園祭での対抗試合。
すみれは、週末は必ず帰ってくる単身赴任中の夫の周(あまね)と仲良く娘の学園祭に足を運び、当然この対抗試合もしっかり観戦していた。
だが、、これだけ男前の佑介のことになんで気が付かなかったのかと言うのだ。
そんなすみれに、佑介は苦笑いを浮かべつつ。
「いや、俺は裏方でしたから。・・・・観戦席から見える場所にはいなかったんですよ」
「あら、そうなの?それでもアンテナくらい立つものなんだけど」
『イケメンアンテナ』が常に立つと自負しているすみれは、至極真面目な顔で言う。
「お母さんてば;;・・・・土御門さんは、それどころじゃなかったの」
と、あきれ顔で日夏里が言えば。
「僕は模擬試験があったから七海のいる写真部の展示だけしか見られなかったけど、それどころじゃないようなことって、いったい何があったんだよ」
すかさず航がつっこんだ。
「別にたいしたことじゃないよ。・・・・ま、ただいろいろ」
とぼける佑介だ。隣の栞はほんのりと赤くなっていた。
そして七海はある程度のことは知っていたが、先輩である日夏里と次子----晴田次子から口止めをされたのでいまでも沈黙を守っていた。

(晴田さん、元気なのかな)
ふと、七海は思う。
次子は七海の所属する写真部の先輩だった。
『だった』というのは、その次子は半年ほど前に自宅で倒れ、2ヶ月あまりの入院生活の後関西の方へ転院すると、そのまま休学していた学校に戻ることなく転校してしまったから。
七海は次子と仲の良い日夏里からある程度の事情は聞いていたが、やはり寂しさは募った。そもそも七海が写真部に入部したのも、中学一年の時に学園祭で見た次子の写真に心が惹かれたからだ。
入部はしたものの写真のことについて何も知らない七海に、一から懇切丁寧に教えてくれたのは次子だった。そして七海の家の事情もきちんと理解し、撮影旅行や合宿などを考慮してくれたのもそうだったのだ。
そんな次子を七海は慕い、寡黙で人交わりの苦手な次子も自分とはよく話をしてくれた。だから次子の変化も間近で見ていた。
どうして次子が「変わった」のかは、日夏里と会ってみてわかった七海だ。
・・・・そして日夏里とは、実は少なからず『縁(えにし)』があることもわかったのだった。

「・・・・七海?なーなーみ?」
「あ、わ、航ちゃん」
自分を覗き込むように見ている航に、驚く。心配げな表情だ。
「黙っちゃって、どうした?具合が悪かったりじゃないよね」
「ううん、大丈夫。ちょっと考え事してて。・・・心配してくれてありがとう」
七海は安心させるように、にこっと笑った。
「うふふ、らぶらぶね。はやくひーちゃんもそうなるといいのに」
微笑ましいふたりの様子にすみれはそんなことを言う。
「お母さん?!」
「かあさんっ!いつ、ひーにそんなやつが!」
日夏里と雪也の声が同時に上がった。
「あら、ふたりして。お母さんはただ、ひーちゃんにも七海ちゃんや栞ちゃんのように素敵な彼氏が出来たらなあと思っただけよ。・・・・もちろん『イケメン』のね」
「・・・・・あたしは今のトコ、いらないから」
ちょっと口をとがらす日夏里だ。次子とのことは、今の段階では何も言えないのでこう答えるしかない。
「そうそう。ひーにはまだいらないね。僕と七がいるし」
「・・・・・でも、おにーちゃんたちはしっかり彼女作ってるよ?」
「それは『おとなの事情』ってやつだから」
そう言って、雪也の方に振り向いた日夏里ににっこりと笑みを浮かべた。

(かわいくて仕方ないって表情だ。きっと橘さんがどんなに立派な人を連れてきても反対するんだろうな。・・・・・晴田さん、苦労しそうだ)
雪也と日夏里のやり取りを見ながら、佑介はそんなことを考える。
日夏里の様子を見れば、次子が元気で過ごしているということは容易に察せられるが、果たしてこちらに戻ってきてからどうなるのか。
日夏里以外にはすぐには会うことはないだろうが、いずれは真実を知ることになる。
ただ、これまでは『親友』という立場にいた次子が、今度は『恋人』という存在になって現れることになるのだが。
・・・・ふたりには、ただ幸せになってほしい。
出来ることなら、周囲からあたたかく迎え入れてもらって。

佑介のそのような想いを察したのか、日夏里に対して感じている親愛の情にも気が付いたのだろうか。
目が合った雪也から強くきつい、威嚇とも取れるような視線を返された。
ほんの一瞬ではあったけれど。
------大事な妹を傷つけたら、けして許さない。
そんな意思のこもった視線。
(・・・・・守護者(ガーディアン)は彼女らだけじゃないんだな)
自分もそのうちのひとりになりつつあることを、佑介はまだ気が付いてないようだ。
そっと小さく溜息をついた。

「・・・なんの事情かしらね。ま、いいわ。雪のことなんか。そもそも今日は出かける筈だったのに居座って邪魔してるんだから」
さりげなく嫌味を言うすみれに、雪也はちょっとばかり顔をしかめる。
「お母さんはまた;;・・・・えっと、それより雪にーちゃん、彼女さんのこと大丈夫なの?ドタキャンしちゃって」
「大丈夫だよ。ひーが気にするようなことじゃないからね」
日夏里には笑顔を返す雪也だ。
「まったくほんとに・・・・・。もうそんなことより、佑介くんと栞ちゃんのなれそめをききたいわ」
「え?」
雪也のどうしようもないバカ兄振りはほっとくことにして、すみれはにっこりと笑顔で佑介と栞に話を振った。唐突さに戸惑う佑介と栞だ。
「七海ちゃんと航くんのなれそめはね、知ってるの。七海ちゃんから以前聞いたし。だから、佑介くんと栞ちゃんのをね」
航のこともすでに名前で呼んでいるすみれであった。
「どこで知り合ったのかしら。・・・・学校で?それともかわいい栞ちゃんに思わず声をかけちゃった?」
「いえ、その。・・・・俺達は家が近所の幼馴染なんですよ。だからその、傍にいるのが当たり前でした」
と佑介が苦笑しながら答えれば、隣の栞もうなづく。
「あら。傍にいるのが当たり前なんて、さらっと言えちゃうのね。でも、家が近所の幼馴染って雪と風子ちゃんみたいだわ」
「・・・かあさん」
小さくかすれた声の雪也。その表情はどこか強張っているようだ。
「雪にもね、ずっと幼稚園の頃からの幼馴染がいるのよ」
すみれは気が付いているのかいないのか。
(あれ、その名前って・・・・)
アイスショーでばったり会った時の、日夏里とすみれの会話を佑介は思い出す。
(幼馴染だったんだな)
そして日夏里に視線を向ければ、わかっちゃった?というような表情だ。佑介は小さく頷いた。
「でも、ふたりみたいに恋人にまでは発展しなかったの。残念だったわ。風子ちゃんのこと、お母さん大好きなのに」
ふうといささかわざとらしく溜息をつくすみれ。

かたんと音がして。
「・・・・部屋に戻るから」
雪也はそう言うと、静かにリビングから出て行ってしまった。
「雪にーちゃんてば、やっぱり風子ちゃんのこと・・・・」
と日夏里が呟けば。
「こんなことくらいで逃げ出すなんて、ヘタレにもほどがあるわ。情けない」
母のすみれはきつい一言。
佑介たちはもう何も言えなかった。


「あ、えとね。・・・・先週、実はつーさんに会ったんだ」
気まずい空気を払拭したくて、日夏里は次子と会ったとこを話すことにした。くわしくは話せないけれど、会ったということくらい話しても次子は怒らないだろうから。
すみれは、洗濯物を片付けてくると言って席をはずした。・・・・娘の日夏里にぽつりと「ごめんね」と言い置いて。

「晴田さんにですか?」
七海が一番に反応した。
「うん。ちょっとこっちに出てくるって連絡が来て。それで」
「じゃあ、もう退院されたんですね。よかった」
にこっと安堵の笑みを浮かべる七海に、日夏里の胸は痛んだ。
次子は転院という形を取ってはいたが、あちらで入院をずっとしていたわけじゃなかったから。それに本当は、9月からこちらに戻ってきて新しい学校に通うことが決まっている。だがそのことを七海には言えないのだ。

・・・・・次子は変わってしまったから。もう以前の次子ではないから。
七海が次子をとても慕っているのは日夏里もわかっている。わかっているけど、このことは今はまだ言えなかった。

「・・・・元気なんだね」
佑介が、やさしく微笑みながら尋ねる。・・・・確信を持って。
「うん。とっても、とは言えないけど。でも、元気だったよ」
佑介の笑みに日夏里も自然と表情がほころぶ。
「よかったね、日夏里ちゃん」
栞にも笑みが浮んだ。
(・・・・前に佑介が言ってた七海の先輩だった子のことか)
皆の会話を聴きながら、航は思い至る。
(佑介は、僕が思っていた以上にこの橘さんに関わっているんだな・・・・)
佑介の表情にそんなことを感じた航だった。

にゃあという鳴き声が聴こえた。
「ヒメ?」
日夏里が呼ぶと、もう一度にゃあと泣き、ヒメは悠然とリビングに入ってきた。そして佑介の足元まで行くと立ち止まり、綺麗な水色の瞳でじっと佑介を見つめる。
「やっぱりここがいいんだね」
苦笑しながら佑介がソファからどくと、ヒメは「そこはもともとわたしの場所だったんだから」とでも言いそうな態度で至極当然とばかりにソファに上がり、ごろんと寝転んだ。
「ヒメ~;;」
名前のつけかたがまずかったんだろうか。ヒメはその名の通りの性格に育っていた。
「いいよ、橘さん。ヒメちゃんの場所を占領していたのは俺の方なんだから」
ソファの背もたれ側にまわって、そっとヒメを撫でながら佑介は言う。ヒメは気持ち良さそうにごろごろと喉を鳴らし始めた。
「猫にももてるんだな、佑介は」
同じように立ち上がって背もたれ側にきた航は、にっと笑って、七海の後ろのあたりに手をついて屈みこみんだ。
「猫にもって・・・、あのなあ;;」
佑介は抗議するが。
「あ、それわかるな。さっき人見知りするジュリですら土御門さんには平気で撫でさせてたもん」
そこへ、その当のジュリがやってきて、佑介の足元に擦り寄る。ヒコも後ろからついてきた。
「ほら」
にっこり笑う日夏里だ。
「佑くん、動物が好きだから寄ってくるんだよ」
そんな栞には、ヒコが足元に擦り寄っていた。
「ヒコ~。ジュリ以外のオンナノコにすりすりするとジュリがヤキモチ焼くよ?」
「・・・・土御門さんにジュリちゃんが擦り寄ってるから、ヒコちゃんも草壁さんのとこに行っちゃったんじゃないですか」
日夏里が呆れ顔でヒコに言えば、くすくすと笑いながら七海がそんなことを言う。
「そうかも~」
「・・・・ということは、このヒコちゃんは男の子?」
ヒコの頭を撫でながら栞は尋ねる。
「そう。ヒメとは兄妹なんだ。で、ジュリはお嫁さん」
「じゃあ、これは双方『浮気』ってことになるわけだ」
おどけて航が言うと、一瞬の沈黙の後、いっせいにみな笑い出した。
2009.09.04
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