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Aさま、お待たせしました(^^;)
やっと仕上がった日夏里とつの字の再会話です。

なんというか、前半部がなかなか書けなくて;;
後半は、書いててむずがゆくなって(爆)
しかも、つの字は暴走気味(大爆)

お話の中は、まだ「夏休み」です(大爆)

え~、つづきをよむからどうぞ;;

“8月20日(木)AM11:00 みなとみらい線(東横線)横浜駅ホーム 後方で”

二日前に届いたメールを確認し、日夏里は携帯を閉じた。
久しぶりにやりとりをしたメールは、実に簡潔明瞭で用件のみの内容だった。
ずっと手紙で互いの消息を伝えあっていたので、なんだかデジタルな「メール」というものにすごく違和感がわいてしまったのだ。
電話でもよかったのが、もうすぐ会えるのだからそれまでは声を聴くのもやめようと思ったのだ。
顔を見て、話したい。声を聴きたい。
・・・・そばにいたい。
そんな風に思ったから。

どきどきと逸る心臓の音。
地上を走っていた電車は、この先の別路線のために(すべて繋がっていて乗換無しであるのだが)地下へと潜って行く。
次に止まる駅が、次子との待ち合わせの駅・・・・横浜駅だ。
次子はもう来ているのだろうか。
 
背が伸びた・・・・と手紙には書かれていた。今は172cmあるという。声もほんの少し低くなったらしい。
(・・・・前よりもっと見上げちゃうんだ)
今までだって次子は自分よりずっと背が高かったが、なんだか想像しづらかった。
・・・・・そんなことを考えている間に、電車は駅のホームへ滑り込んでいた。


扉が開き、人の波にのまれながら降りる。次子はどこだろうかと周囲を見渡せば。
「日夏里」
後ろから声がかかる。
もともと女性にしては低めのアルトだったが、確かに以前よりはもう少し低くなっている感じだ。
「日夏里?」
もう一度名を呼ばれ、ゆっくりと振り返った。
「つーさん!」
「久しぶり・・・・っていうのは、ヘンかな」
にこりと笑う。やさしい穏やかな笑顔だ。
「ううん、ヘンじゃないよ。だって本当に久しぶりだもん」
日夏里も笑顔を返す。いつものお日さまの笑顔で。
「・・・・元気そうだ」
「つーさんもね。あ、みんなも元気だよ」
「そう・・・・」
ふっと遠い目をする次子。

翠嵐から転校することが決まった時点で、日夏里にこのみ達には自分の「真実(ほんとう)」を話していいと手紙に書いた。日夏里からは、みんな驚いたけど「つーさんはつーさんだしね」って言ってたよとの返事をもらっていた。
だが、今の時点で日夏里以外に会う勇気は持てなかった。変わりつつある自分を見せたくなったのだ。
みんなに会うのは、すべてが終わってからにしようと思っていた。

「ね、もうすぐお昼だし中華街に行こうよ。あたし、ジャンボ豚まんが食べたい♪」
「日夏里・・・・・」
相手の気持ちに聡い日夏里。自分が重苦しい考えに落ちそうになっていたのがわかったのだろう。
「それとね、杏仁豆腐とかマンゴージュースも」
「・・・・おなかこわすよ」
「大丈夫♪つーさんもしっかり食べてね」
にっこりと笑った。


夏休みの中華街は人でごった返していたけれど、さほど待つことなく希望通りのものを食すことが出来た。
一息ついて雑貨店をのぞき、それから山下公園まで歩いた。

「久しぶりに来たな、山下公園」
「私もそうかな」
多くの家族連れやカップルが楽しそうにそこここでくつろいでいた。
自分達もカップルに見えるのかな・・・・と次子を見つめながら日夏里は思ったりする。
         
       日夏里・次子

ほんの4ヶ月前までは「親友」だった。
自分は友人以上の気持ちをずっと抱いていたけれど、それは自分だけの想いだと思っていた。
・・・・・でもそうじゃなかった。次子もずっと自分を想ってくれていたのだ。
嬉しかった。すごくすごく、嬉しかった。
------嬉しかったけれど、次子が今のようになっていなかったら自分にはけして告げてはくれなかっただろうとも思う。
それでも自分は次子が大好きなのだからいいのだが。

「・・・・でも、全然変わってない。相変わらずくらげはぷかぷか浮いてるし」
「お盆すぎてるからね」
「違うよ。いつでも浮いてるの、このくらげちゃんたちは」
「そうだったかな」
「うん」
日夏里がきっぱりそう言うと、くすりと次子は笑った。
他愛のない会話が嬉しく、日夏里のこころはほっこりとあたたかくなっていく。
次子がいた毎日はいつもこんな風だったのだ。

「これからどうしようか?このまま公園に居てもいいけど、駅に戻ってみなとみらい線に乗ってクィーンズ・スクウェアにでも行く方がいいかな。いろいろお店があるようだし。本屋もあるかもしれないよ」
次子の提案に日夏里はふるふると首を振った。
もちろん日夏里は本が好きだし、それをわかって次子はこういってくれたのだと思う。
でも日夏里は、ただただふたりでゆっくり過ごせればいいのだ。会えなかったこの数ヶ月を埋められれば。
-----日夏里はじっと次子を見つめる。
ためらいがちに。
「・・・・うちに来る?なにも、ないけど」
次子はゆっくりと言った。
日夏里は一言、「うん」と返事した。



次子が“うち”と言ったのは、町田の家のことではなく、9月から新しく通う学校の近くに貸りたマンションのことだった。
そのマンションは7階建てのオートロック完備の小規模なもので、次子の部屋は5階にあった。

「・・・・2DK?」
中に入って部屋を見回し、日夏里はぽつりと言う。
「そう。・・・・ひとりだっていうのにね」
苦笑する次子。
シンプルなキッチンとダイニングに部屋がふたつ。リビングに相当する部屋には家具らしきものがほとんど見当たらなかった。
どうやら奥の少し狭い方の部屋をメインに使っているらしく、ベッドや机、パソコンなどがちらりと見えた。
「なにもないけど、お茶くらいは出すよ。・・・そこに座ってて」
そう言って、次子は二人用のダイニングテーブルを示す。
「え。あたしがやるよ」
キッチンに入ろうとすれば。
「いいって。・・・・・日夏里はうちにきた、初めてのお客さまなんだから」
にこっと笑い、ちょっとおどけてそう言うので、日夏里はとりあえず座ることにした。

あらためて日夏里はくるりと室内を見回す。
胸がきゅうっと締め付けられるような気がした。
-----帰ってきても誰もいない部屋。二人用のダイニングテーブルでのひとりだけの食事。
もちろん今までだって次子の両親は医者なのだから、食事がひとりだったことなんていくらでもあっただろう。
でも。
それでも、家族みんなが同じ屋根の下に暮らしていたのだ。たったひとり離れて暮らしているのとは、まったく意味合いが違う。

「日夏里はココアが好きだから、ココアにしたよ」
自分用にはコーヒーを持ってきて、次子はダイニングテーブルの上にそっとそれらを置いた。
「熱いからね。・・・・って、日夏里?!」
日夏里が、大きな瞳に涙をいっぱい溜めて自分を見上げているのに気がつく。
「日夏里、なんで・・・・」
「・・・・つーさん、寂しくないの」
「?」
「だって。・・・・だって、この部屋にひとりなんだよ?朝起きても夕方学校から帰ってきても誰もいなくて。・・・・ごはんもひとりで食べて。・・・・いつもひとりで・・・・・」
そこまではなんとか言葉になったが、あとは涙があふれてきて、言えなくなってしまった。
次子は片膝をついてからだを低くし、今度はダイニングテーブルの椅子に座っている日夏里を見上げる位置についた。そして右手を伸ばして日夏里の頭をかるくぽんぽんとたたいた。
「・・・・ひとりじゃないよ」
「・・・・つー、さ・・ん・・・?」
「ちゃんと一緒に居てくれるから」
涙で潤む瞳で次子をそっと見れば、次子は穏やかに笑っている。
「こっちだよ」
しゃくりあげる口元に持っていっていた手を取り、自分も立ち上がりながら日夏里も立たせて、そのまま手を繋いで机の置いてある部屋へ歩いていった。

「ほら」
次子が指差す先にあるのは。
「・・・あ、これ・・・・」
ベッドサイドに置いてある、木で出来たシンプルなフォトフレームに収まっている写真。
春、次子の誕生日にまだ退院出来ていなかったので病院から許可を取って外出し、桜を見に行った。そして満開の桜の花びらが舞い散る中の日夏里を、次子が撮ったのだ。
盛りと咲き誇る花々に負けない笑みを浮かべた写真だった。
「ありがとう、泣いてくれて。・・・でも、いつもこうやって日夏里と一緒だから。ひとりじゃないから、大丈夫だよ」
にこっと笑う。
「つーさん・・・・・」
握られていた次子の手がはずされ、日夏里の頬に静かに触れる。
「つーさん?」
ゆっくりと屈みこんできて。
そしてそっとふれた、あたたかくて柔らかい感触。
日夏里の瞳が見開いた。
「つーさ・・・・」
今度は最後まで言わせてもらえなかった。


「・・・・ん、んー、もう、だめ!」
日夏里は次子をぐいっと押しのけた。
「苦しいよ;;・・・・息も、出来ないし;;」
真っ赤な顔で次子を見上げる日夏里。そんな日夏里を次子は一瞬瞳を見開いて見つめ。
「ぷ」
吹き出した。
「も~、何がおかしいの。つーさんてば;;」
「いや、かわいくて」
さらりと言う。日夏里はさらに赤くなる。
「!/////;;その、あの、だって。そんなに長くされたら・・・・って、いま、いま・・・・・」
「なに?」
「つ、つーさん、いま、キス、したよね?;;・・・・その、口に/////;;」
語尾が段々小さくなっていっていた。
次子は苦笑いを浮かべつつ。
「したよ」
またもさらりと言ったのだ。
「や・・・・/////;;」
手で真っ赤な顔を覆って、日夏里はその場に座り込んでしまった。

「・・・・・もう、しないよ」
同じように座って、日夏里の頭を撫でる次子。
「・・・・・;;」
日夏里、無言。
「ごめん。びっくりさせて」
静かに顔を上げれば、少し頬に朱をにじませた次子が微笑んでいた。
「・・・・・びっくりはしたけど、あの、嫌なわけじゃないからね」
「日夏里」
「ほんとだよ・・・・・って、つーさ~ん/////;;」
次子は、日夏里の腕を掴んで自分の方へぐっと引き寄せると、腕の中に抱き込んだ。
「・・・・反則。まったく、心臓がもたないよ」
そして、すこし上をむいて溜息ひとつついた。


どきどきと早鐘のようになっている心臓の音。
自分のものなのか、次子のものなのかもう日夏里にはわからなかった。
あたたかくて心地よい腕の中で、徐々に緊張が解けていき・・・・・。

「日夏里?」
やわらかな重みを感じ、腕の中の日夏里を覗き込めば、すうすうと静かな寝息が聴こえたのだった。
「・・・・・」
言葉が出ない。
感情や衝動はかなり本来の性に支配されつつある自分。とはいえ、身体的にはまだ中途半端なこともあり、これ以上どうこうしようとは思わないが・・・・・。

(男は狼だって、散々お兄さん達から聞いているだろうに)

妹を溺愛している日夏里のふたりの兄たちは、日夏里が悪い男に騙されて泣いたりしないように「男とはこういうものだ」とを日々教えていたのもあって、日夏里はこれまで彼氏のひとりもいなかったのにかなりな『耳年増』ではあったのだ。
・・・・それなのに。
自分の腕の中で眠ってしまうのは安心している証拠なんだろうが、これはこれで複雑だった。

(仕方ないか)

去年の今頃は、「大好き」とは言われてても同性の友人としてつきあっていたわけだし、まさか自分が『Y』の遺伝子を持った人間で、覆ってしまったすべてを日夏里が受け入れてくれて互いの想いが通じ合い、恋人になるなどとは思いもよらなかったのだから。

-----もう、離せないし、離さない。
腕の中の確かなぬくもり。
ぎゅっと抱き締めて、眠っている日夏里の額にキスを落とした。


「・・・・ん・・・・・」
まどろみから、目が覚める。
「お目覚めですか、眠り姫は」
「う・・・ん・・・・。って、なんでつーさんが・・・いる・・の・・?」
まだ寝ぼけているようで。
「------ここは私の部屋だから」
苦笑する次子。
「つーさんの、部屋・・・・?どうして?」
「どうしてって、一緒に来たよ」
「・・・・?そだっけ?・・・・・・あっ!」
大きな瞳をぱっちり見開けば、次子の顔がかなり間近にあって、ふたたび赤くなってうろたえてしまう。
「つ、つーさん//////;;」
「ん?」
「あたし・・・・、もしかして、寝ちゃってた、の?」
おずおずと尋ねれば、次子は笑みを浮べて。
「-----もしかしなくてもね」
「//////;;」
ばっと、からだの上に掛けてあったタオルケットで、日夏里は赤い顔を覆う。
初デートで、眠り込むって相当大胆なことなのではないだろうか。

「あのね、・・・・ここって、その、ベッドの上だよね?」
なんだかふかっとしたやわらかい感触の上にからだがあることに日夏里は気がつき、そろ~りと顔を出す。
「・・・・正解。あのままじゃ寝にくそうだったし」
次子は肩をすくめる。
-----本音は、自分の腕の中でずっと寝かせておきたかったけど。
「ごめん。・・・・あの、重かった、よ・・・ね?;;」
「さあ」
「さあって、つーさんてば;;」
「ちゃんと運べたんだから、重くなかったってことだよ。・・・・それより」
「・・・・それより?」
「少しずつ、日が落ちるのもはやくなっているしね。そろそろ帰らないと」
ベッドサイドにしゃがみ込んでいた次子は、そう言って立ち上がる。
「う・・・ん。そう・・・だね」
このままずっと一緒にいたいけれど、それは許されないことだ。
日夏里は起き上がってベッドから下りた。


「今度はもっと早く会えるから」
駅まで送ってきた次子は、日夏里にそっと告げた。
「ほんと?」
「本当。・・・・もう、こっちにいるからね」
見上げる大きな瞳に笑いかける。
「・・・・じゃあ、次に会えるのを楽しみにしてる」
日夏里もにっこりと笑った。


同じ空間ですごすことは出来なくなったけど、気持ちは前よりそばにある。
たがいのこころに「想い」を刻み、また次に会う日までの糧として。
・・・・・そうして、ふたりはそっと別れた。
2009.09.29 / Top↑
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