ネタだけはかなり以前からあって、なかなか形にならずにほったらかしておりました(爆)
それでもちょこちょこ書いてはいたんですが、つい数日前に、いやになって投げちゃって;;

が。
昨日あたりから、いらん部分をさくっとカットして別の視点で話を動かしたらなんとかすすみました。
1本でまとめたいなあとは思ったけど、結局は長くなってしまい前後編と相成りました。

先に書いておきますが、後編は「あだると」仕様です(爆)
ええ、久々に「濃い」のを書いちまいました(大爆)

でもアップはもう少し先ね(笑)

ということで(なにが;;)つづきをよむからどうぞ。
絋次が上司の都竹からその封筒を受け取ったのはつい一週間ほど前のこと。


予定外の出張を命ぜられたうえに----それは、本来絋次の仕事ではなかったのだ-----帰国後に知らされた出来事が絋次にとっては面白くなかったゆえすっかりへそを曲げてしまい、仕事上最低限のことでしか絋次は都竹と口をきかなくなってしまっていた。
都竹は絋次の上司ではあるが、元々は、絋次が中学の頃から目をかけ指導してきた弓道の師匠だ。そして都竹には子供がいないこともあり、必要以上に絋次をかわいがっていた。だから絋次に本気で機嫌を損ねられると、都竹には相当堪えてしまうのだった。

都竹は妻の波瑠花に頼んで、波瑠花の実家が経営しているリゾートホテルグループの宿泊チケットを用意してもらい、絋次に渡した。
・・・・・・絋次に機嫌を治してもらいたくて、だった。

そのリゾートホテルグループは日本でも五指に入るものだ。
全国に散らばる系列のホテルのどこかひとつのオーナー(会員)になれば、他のホテルも相互利用が出来、会員権を持つオーナーがホテルを利用するためのチケットさえあれば、会員以外でも利用は出来るシステムを持っていた。
都竹は波瑠花の実家が経営しているホテルであるから、「招待券」をプレゼントしたかったのだが、波瑠花から、そうしてしまっては絋次の性格を考えたら絶対受け取らないと釘を刺されたたので、あえて利用券のみに留めたのだった。

帰宅してから、絋次が妻の咲子にチケットを渡すと咲子はとても喜んで、やち代たちも誘おうと言う。それから一緒にもらったパンフレットを眺め、「温泉があるところがいいかしら」とあれこれ計画を立て始めた。

宿泊先を決めて、数日後の朝食時にやち代と史隆に話したところ。
「いやだね、あたしゃ。そんな年寄り臭いこと」
と一蹴されてしまった。
絋次はついつい「・・・・じゅうぶん年寄りじゃないか」とつぶやいてしまい、それがしっかりとやち代に聞こえ、3倍くらいのお小言を返されたのは言うまでもない。
ならば、草壁の両親を誘うかと声をかければ、直哉は今は大きなプロジェクトを抱えているために休みが取れないので、残念だが行かれないと言う。
せっかくのチケットを無駄にするのはどう考えてももったいない。
咲子は思いきって、もう一組のカップルに声をかけ誘ったのだった。



そして、週末。秋晴れの穏やかな日だ。
絋次の運転する7人乗りのステップワゴンは、草壁家の前で最後に誘いをかけたもう一組のカップルの栞と佑介を乗せて、一路今日の宿泊先の箱根に出発した。
もちろん真っ直ぐホテルに向かったわけではなく、大涌谷に行ったり芦ノ湖で遊覧船に乗ったりした。
そして、黄金色をした仙石原のススキ草原を通り抜け、目的地のホテルに到着したのだった。


「先に降りて、ロビーで待っててくれ」
絋次は、ホテルのエントランスに車を乗り入れて咲子たちを降ろし、それから駐車場へと向かった。

「すごく落ち着いたたたずまいだね」
「ああ。なんだか空気がゆったりと流れている感じだな」
昨年のクリスマスに泊まった、大阪のホテルも中世の城を思わせるような広いロビーに驚いたものだったが、ここのロビーはさして広くはないのだが、落ち着いた色彩と木目調の壁が気持ちをリラックスさせてくれる。
ラウンジの大きな全面ガラスから外を眺めれば、紅葉の始まった箱根の山々や木々が見え、大きな池をもつ日本庭園をぐるりと囲んでこのリゾートホテルは建っていた。
贅沢に、ふんだんに敷地を使っているのだった。
「ちょっと、雰囲気が違うでしょう?」
「うん。なんていうのかな、すごく上質な感じ」
咲子に言われ、栞はちらっと佑介を見て答える。
「そうでしょうね。だって、ここの会員権って600万もするのよ」
「!」
栞と佑介の瞳が見開いた。
「・・・・だから滅多にない機会なんだし、しっかりと満喫しないともったいないわ」
にこっと咲子は笑った。

駐車場に車を置いてきた絋次が入ってきた。
自然と人の視線が集まる。
長身でバランスの取れたからだつき。
目元涼やかな切れ長の瞳にすっと通った鼻筋、引き結ばれた口元。
「イケメン」などと言う軽い言葉では表せない、精悍な男前だ。
そして花街で生まれ育ち、元売れっ子芸妓だった祖母のやち代にしっかりとオトコとしての心構えを叩き込まれているゆえに、男性としての色気と紳士な面とを併せ持ってそれらがにじみ出ているのだ。
ロビー内に居る若い女性も老婦人もみなうっとりと見つめている。
だが、当の絋次はそのような視線に気付いているのかいないのか。さして頓着もせず、咲子たちの姿を認めると微笑みかけてから、フロントに向かいチェックインの手続きを取りに行った。


「ほら、カードキー」
手続きを済ませた絋次が佑介に部屋のキーを渡した。
「あれ?絋次さん、二枚ありますけど・・・・」
手渡された二枚のカードキーをまじまじと見つめる佑介。そんな佑介に。
「栞ちゃんと佑介の分なんだから当然だろう」
さらりと言ってのける。
「え、ちょ、ちょっと待ってくださいよ。俺は絋次さんと一緒なんでしょう?」
いくら自分と栞は恋人同士でそういう仲になっているとは言っても、芙美もいることだし、てっきり男女で分かれるものだと思っていた佑介なのだ。
「野郎同士でなんて、俺はごめんだね」
「ごめんだねって、絋次さん;;」
「時間も気にせずにふたりでゆっくり出来るなんて、そうそうないだろう?俺としては感謝して欲しいくらいだがな」
見惚れるほどに鮮やかに、絋次は悠然と笑う。
「こーじさんっ!!」
それは確かにその通りで。
-----どちらかの部屋でだとどうしたって時間や周りを気にしていたし、「そういうところ」には出来れば佑介は行きたくないので、確かに有難い申し出ではあるのだ。
「こーさんたら。ふたりをいじめないでやって」
「咲子?・・・・・それは心外だな」
「だって、私たちと一緒に来てるのにそうあっさりと“はい”とは言えないわ」
そこで一旦言葉を切り。
「でもね、どうしても困るって言うなら、なんとかするわよ?」
そういう咲子の表情も実に楽しそうでどこか悪戯めいていた。

(咲子さんまで;;そりゃあ、困りはしないけど・・・・)
そう、困ることは何もない。
大阪の時と違って、今はもう栞とは肌を合わせる間柄になっているのだから、同じ部屋でも問題は何もないのだ。
・・・・何もないけど、夏休みに伊豆へふたりきりで行った時とは違い気恥ずかしさが先立ってしまう。
佑介は自分の隣に立つ、ほんのりと赤い顔をした栞に視線を向ける。
・・・・目が合った。

-----あたしは、いいよ。佑くんと一緒なのは嬉しいから。

口に出されていないのに、栞の気持ちが伝わってきた。
どきっと心臓が跳ね上がる。

「もう。そんな風に見つめあってるんだから、素直に同じ部屋になりなさいね」
「!///////;;」
はっと我に返った佑介の顔も赤いが、隣に立つ栞は先程よりもっと真っ赤になっていた。
ふたりの様子になかば呆れ気味の咲子だ。
「決まりだな(笑)」
絋次も苦笑している。
芙美はひとり、大きな瞳を見開いて大人たちを眺めていた。

・・・・ということで、この目立つ一行はやっと部屋へ向かったのであった。
まずは先に温泉に入ってさっぱりしてから夕食に行こうと決めて。


部屋には庭園に面したバルコニーがあり、その窓際にソファセットのあるツインルームで、茶とベージュを基調にしたシックなインテリアでまとめられていた。

「おかあさん、このどあなあに?」
芙美が隣との壁にあるドアを指差し、不思議そうに尋ねる。芙美に問われて咲子はそのドアの存在に気がついた。
「ん~、なにかしらね」
さして疑問にも思わずに、咲子はドアの取っ手に手をかけ開けた。

「あら」
咄嗟に芙美の目を手で覆う。
「その、ね。邪魔したわけじゃないのよ」
「・・・・・咲子さん;;」
扉の向こうは、隣の部屋。
つまり佑介と栞の居る部屋で。
今まさに、佑介が栞にキスをしようとしていたのだ。
「もう開けないから、続きをどうぞ」
「//////;;」
にっこり笑って、静かに扉を閉じた。

「なんだ。ベッドに押し倒してでもいたのか」
絋次の声に咲子は振り向く。
「こーさんたら違うわよ。・・・・それよりこの部屋って」
「ああ、『コネクティング・ルーム』ってやつだ。部屋そのものは独立しているんだが、隣同士がドア一枚で行き来が出来るようになっているのさ。波瑠花さんはやち代さんたちや草壁の両親と行くと思って、こういう部屋を用意してくれたんだろう」
確かに佑介たちと来るとは思わない筈だ。
「まあ、ドアを開けなければいいことだしな」
「そうね。もう開けないわ」
せっかくのいい雰囲気だったのに、悪いことしたと思う咲子だ。
「それよりも、こっちもはやいところそういうことをしたいもんだが、夕食もまだだしなにより芙美も起きてるしな」
そう言って、自分を見上げる芙美を抱き上げた。
「・・・・ゆうちゃん、いつもおとうさんがおかあさんにすることしてたよ」
どうやら目隠しは間に合っていなかったようだ。
「というと、こういうことか」
絋次は咲子の肩を抱き引き寄せて、ちゅっとかるくついばむようにくちづけた。
「こーさんっ!!」
頬を染める咲子。
「おとうさん、ふーちゃんにも」
ぷっと頬をふくらませて芙美は言う。
そんな芙美に絋次はやさしく微笑んで、やわらかな頬にキスをした。


「おとうさんといっしょにはいる」と言い張った芙美をなだめて(「佑介くんが入って来たらどうするの?」という咲子の言葉に芙美は固まってしまったのだ)、咲子は芙美と露天風呂もある大浴場にやって来た。
「しーちゃん、もう来てたの」
スリッパを脱いで(廊下やロビー、レストランは当然スリッパでの立ち入りは厳禁なのだが、部屋から大浴場へはスリッパと浴衣でも大丈夫なのだ)脱衣場に向かうと、長い髪が濡れないようにと鏡の前でアップにしている栞がいた。
「あ、うん。・・・・佑くんが先にって言うから」
鏡越しに答える栞。
「そう。じゃあ、こーさんとは一緒にならないわね(笑)こーさんは私たちと今来たし」
咲子も今は伸びてきて肩近くまでになっている髪を手早くまとめて、芙美の服を脱がせ始めた。
「咲ちゃんと一緒に入るのやだな;;」
「あら、どうして?」
髪をまとめた栞も服を脱ぎに来る。
「・・・・・だって目のやり場に困るくらい、咲ちゃん色っぽいんだもの」

以前は姉の咲子に対してはただ単純に「きれい」としか思わなかったのだが、自分自身が佑介とそういう仲になって、何故咲子がここまで美しくいられるのかがわかってしまった。
夫の絋次に存分に愛されている咲子は、得も言われぬ色香が立ち上っている。白く肌理細やかな肌はつやつやとしていてまぶしいくらいなのだ。
その上子供をひとり生んでいるというのに、まったくくずれていないメリハリのあるボディラインには、自然と目がいってしまう。

「もう、なにを言ってるんだか。・・・・・しーちゃんもしっかり『オンナ』になりつつあるわよ。佑介くんにめいっぱい愛されているんだから」
「!」
「『愛されオーラ』全開よ、しーちゃんは」
にこっと咲子は笑う。
「さ、はやく入りましょ。湯上りのしーちゃんに、きっと佑介くんノックアウトだから」
「咲ちゃんたら(笑)」
くすくすと栞も笑いだした。


咲子たちが浴場のなかへ入っていくと、脱衣場ではふうと溜息が漏れた。
スタイル抜群の美女と可憐な美少女に、みな思わず見惚れてしまったのだ。

・・・・自分達がどれだけの視線を集めていたかも知らずに、のんびりと咲子と栞は湯船に浸かっていたのだった。
2009.10.17
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