年内最後の更新です。
今年はプライベートでいろいろあって、昨年ほどには更新出来ずネタがひたすら溜まっていきました;;
来年はゆっくり出来るはずなので、書けなかった分ばりばり書きたいと思います。

で、今回のSS。
咲子とこーさんのとっても糖度高めなお話です(爆)
いえね、本当はクリスマスにアップするつもりだったんですわ;;
でも出来なくてねえ(--;)
なのでちょいちょいと手直ししてアップ。

かなり遊び心が入っているので、ご了承くださりませ~(爆)

ではではつづきをよむからどうぞ。

年の瀬を迎えた羽田空港。
年末年始を自宅ではない別の場所で過ごすであろう人々の足取りはどこか軽やかだ。
出張を終えたその男性は憮然とした表情を浮かべながら、到着ロビーで手荷物を受け取ると足早に階下へ向かった。
周囲の人々は擦れ違いざまに、その男性の姿に目を見張っていた。

すらりとした長身。
白い布の下から覗く、切れ長の瞳。すっととおった鼻筋。
そして服の上からでもわかる引き締まったからだつき。

身に包んだ衣装とも相まって、相当の注目を浴びていた。
が、ふとその男性の足が止まり、瞳を見開いた。

(来てたのか)

そしてふたたび歩き出す。
瞳の中に映った、愛しい女性に向かって。


「咲子」
「え?」
声をかけられた女性・・・・咲子は、はっと顔を上げきょろきょろと辺りを見回した。
聞き慣れた声。
低くて、時に甘く囁きかけてくる声。
だがその声の持ち主の姿が見当たらない。
空耳かと思い、軽く溜息をついた。
「!」
すると見慣れぬ衣装をまとった男性に抱きすくめられた。

「咲子・・・・っ」
「え。・・・・こ、こーさん?!」
抱き締めてくるその腕も、頬にあたるそのたくましい胸も、鼻腔をくすぐる男らしい香りも、いつも咲子を安心させまた熱くもさせる愛する夫のものなのだが、見慣れたスーツ姿ではなかったので、声をかけられて見回したときすぐに気がつかなかったのだ。
「そうだ。俺だ」
言いながら咲子の顎に手をかけて上にむかせ、艶やかな薄紅色の唇にくちづけた。
「・・・んっ・・・・」
段々と深くなっていくくちづけに、咲子の喉の奥が鳴る。
絋次はここが公共の場であることなどまったく気にしていないかのように、咲子を貪り、翻弄する。
ようようその嵐のようなくちづけから解放された時には、咲子のからだからくったりと力が抜けていたのだった。

「もう・・・・。こーさんの、ばか」
「ばかで結構」
己の腕の中で、潤む瞳で見上げながら零した咲子の言葉に、絋次はその耳元に口を寄せ。
「二週間ぶりなんだ・・・・。もっとおまえを味わいたいね」
「//////;;」
囁けば、さらに咲子の顔が朱に染まった。
「幸いこの第2旅客ターミナルはホテルに直結してるしな。・・・・泊まっていくか?」
じっと咲子を見つめながら言う絋次。咲子は小さくうなづいた。


絋次が今月の半ば過ぎからこの年末まで行かされた出張先は、アラビア半島のある国であった。そのため、キリスト教圏の国ならある『クリスマス休暇』には引っからず、昨日までびっしりと仕事が組まれていたのだった。
しかもその国へは成田空港からの直通便がまだ就航されていないので、唯一直通便が飛んでいる関西空港へ行かなくてはならず、絋次はひとまず羽田に出て、羽田から関西空港へ行くという手段を取った。
だから帰国も同じで、海外出張だったというのに羽田にいる絋次だったのだ。

直結しているというだけあってホテルへはすぐに着いた。
絋次はチェックインの手続きをしにフロントへ向かう。ロビーにいる人たちの注目を一身に浴びているが、絋次はポーカーフェイスをくずさない。

(こーさん、いったいあの服装はどうしたのかしら)

ロビーラウンジにあるソファに座った咲子は、あらためて絋次の姿を眺め疑問に思った。
スーツ姿ではなかった絋次。
そう絋次の今の姿はまるで・・・・・。

「ねえねえ、あのフロントにいる人カッコよくない」
「うん、カッコいい!・・・って、日本人だったよね?」
「日本人だったよ(笑)日本人でもああいう服装が似合う人いるんだ~」
「ホントに。こう、ロマンス小説の中だけの世界だと思ってた」
「あはは。ロマンス小説ってなに~」

見知らぬ女性たちの会話が耳に入った。
そうなのだ。
今の絋次の姿は、ロマンス小説で一ジャンルを作っている「シーク(首長)物」と呼ばれるヒーローの姿にそっくりなのだ。
つまり、わかりやすくいうならば「アラビアのロレンス」のような服装をしていたのである。
ただでさえ、整った顔立ちをしている絋次である。日本ではとんとお目にかからない服装とも相まって、ビジュアル的に目立つことこの上なかった。

絋次は手続きが済むと踵を返して、咲子の元へと歩み寄る。
颯爽と。堂々と。
視線は、ずっと咲子にそそいだままに。
咲子の胸の鼓動が、早鐘のようになる。

(やだ、もう;;)

心なしか、頬も熱い。
「じゃ、行くか」
「こーさん・・・・」
目の前に立つのは、愛しい夫。
絋次は匂い立つように微笑みかけ、それから咲子を抱き上げた。抱き上げられた咲子は、抵抗することなくゆっくりと絋次の首に腕をまわした。

「・・・・さらわれちゃうみたいね」
くすりと笑う咲子。
「ああ・・・・」
答えながらエレベーターへと向かう絋次。
あくまでも無表情の荷物を持ったポーターが着いてきたが、絋次はエレベーターに乗る際に部屋までは来なくていいからとポーターに言い、荷物を受け取った。
そして扉は閉まる。


ふたり以外に誰もいない空間で、絋次が思うさまに咲子の唇を味わう。
幸いというべきか、絋次らが降りる階までエレベーターは止まることがなかった。

部屋に入れば、もはや邪魔をするものは何もない。
荷物などさっさと放り出して、ぴんとしわひとつない白いシーツの上に絋次は咲子を横たえた。それから頭にかぶっているものを取り去った。
「こーさん、その服装ってどうしたの?」
咲子のからだの両脇に手をついて身を乗り出した絋次に尋ねる咲子。絋次の表情が苦虫を噛み潰したようなものになった。
「・・・・・あっちの空港のラウンジで搭乗を待っていた時に着ていたスーツを汚されて、それでだ」
「スーツを汚されてって、替わりのがあったんじゃ・・・・」
「あったさ。だからいらないって言ったんだが、それじゃ気が済まないからとか色々言われて面倒になってな」
その時のことを思い出してふうと溜息をつく。
「だからもう、関空に着いた時点で着替えればいいと思ったんだ。その時は」
けれど、絋次は着替えておらずあの服装で羽田に降り立ったのだ。・・・・トランジットの時間があまりなかったのである。
「まったく、散々な年末さ。今日帰ってきたのだって無理矢理だったしな」
苦笑いを浮べ、咲子のからだをゆるりと撫でる。
「でも私は帰って来てくれて嬉しかったわ。それにその服装もとっても似合っているもの」
やわらかく微笑む咲子。
「・・・・・俺もおまえが迎えに来てくれていて嬉しかったよ」
静かに絋次の唇が咲子の唇に落ちてきた。


もう、言葉はいらない。
たがいの熱で、ただ確かめあえばいい。
求め合うこころのままに。
2009.12.29
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