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久しぶりの更新です。
…また、「あだると」です(爆)で、咲子とこーさんの「過去編」です。

本当はもっと長い筈だったのですが、ひねり出すのが大変ゆえ(なにが?)あとは割愛(爆)
え~と、ほんとは「5回」なの(大爆)

そんなことはさておき。
お題はTVさんからいただいてきたのです。

大丈夫なかたは、つづきをよむからどうぞ。




絋次と咲子がそのホテルに着いた時、あたりはすでに夜の帳が落ち始め、夏の夜空を彩る星たちが淡く瞬き始めていた。

深川の神社での結婚式の後、披露宴のかわりに絋次と咲子の同級生ら有志によるお祝いの会があり、それから東京駅に出て新幹線に乗りここへやってきた。
仲人を務めてくれた都竹忍・波瑠花夫妻から結婚のお祝いにとプレゼントされたリゾートホテルの招待券を利用しての、二泊三日のささやかなハネムーンだった。

フロントでチェックインをし、ホテルの従業員が案内するがままにあとを付いて行った先は、本館から独立したコテージであった。新婚のふたりがゆっくりできるようにという波瑠花の配慮であろう。
-----このホテルは波瑠花の父親が経営しているリゾート事業の系列のものだ。
コテージの中に入れば、部屋の中ほどにあるソファテーブルの上にはやわらかな色合いの花々でアレンジされた花籠が飾られており、その横にはワインのボトルが添えられていた。



「…それでは、ごゆっくりどうぞ」
一通り説明を終えたホテルマンはにっこりと微笑み、静かにドアを閉め立ち去った。
「波瑠花さんに感謝しなくちゃね」
「ああ…」
社会人としてまだ歩み始めたばかりのふたりなので、新婚旅行はもともと予定していなかった。式後二週間くらい同居する絋次の祖父母の史隆とやち代が、史隆の独身の弟の史顕のもとへ転がりこみ、ふたりきりにさせる予定であった。
やち代に言わせれば、新婚の邪魔をするほど野暮じゃないということだ。
だが、波瑠花からの思いがけないプレゼントによりふたりはここにいる。
「咲子」
絋次は咲子を引き寄せた。そのまま抱きしめられて、熱が伝わってきた。
咲子が顔をそっと上げると、情熱に彩られた瞳に射すくめられた。
もう待てないと言わんばかりに、咲子を抱き上げベッドに向かい、しわひとつない白いシーツの上にそっと降ろすと、絋次は咲子にくちづけた。



ベッドの周りに散らかされた服や下着。
ひとときの嵐が過ぎ去った。

「ん…」
身じろぎをし、咲子は目を覚ました。
絋次が寝ている間にシャワーを浴びてしまおうと、腰にまわされていた腕をそっとはずし静かに起き上がって、薄闇のなかでバスローブをはおり浴室へ向かった。

長い髪を簡単にまとめあげ、ゆっくりと浴室に入る。
途端。
「あ」
内腿を伝い落ちる、どろりとしたものを感じた。それは絋次が咲子のなかに注ぎ込んだ確かな証しだ。

「もう避妊はしない」

絋次が咲子のなかに身を沈める前に囁いた言葉を思い出した。
初めて結ばれた時からつい先日まで絋次はきちんと避妊をしていた。
結婚が決まったあとも当然のように。
咲子はほんの数ヵ月後には一緒になるのだから構わないのではと思ったのだが、絋次は男の責任とけじめだからと言って譲らなかった。

そっと下腹を撫でる。
近い将来、ここに新しい命が宿るのだ。
内腿を伝い落ちるものの感覚には慣れないが、これからは行為の後ごとにこうなる筈だ。
咲子はもう一度下腹を撫でて、シャワーのコックを捻った。


一通りからだを洗い流し、咲子はゆったりとバスタブにつかった。
熱いお湯が心地良い。
瞳を閉じると、目まぐるしかった一日が思い出された。
左手を顔の位置までかかげ、薬指を眺めた。
昨日までははめられていなかった白銀の輪が水滴と浴室のやわらかな灯りに反射して、きらりと光る。

(わたしのすべてで、あなたを愛するから)

傲慢とも思える態度の裏に隠された絋次の孤独。
祖父母のやち代と史隆がどんなに愛情を注いでも、両親に置いていかれたという思いが消えず、小さな子供のように膝を抱えて座っている姿が見え隠れした。
咲子は想いを込めて、そっとリングにくちづけた。


カチャリと扉の開く音がしたので振り向けば、そこに絋次が立っていた。
「置いていくなんて、ひどいな」
「置いていってなんか…」
視線を落とし、咲子は口ごもってしまう。
絋次の、弓道で鍛えられたひろくてたくましい上半身や無駄なものなどいっさいついていない腰に引き締まった腹。
そして堂々とそそり立つ男性の証。
とても、正視なんて出来ない。
「置いていっただろう。…夜は長いのに」
言いながらシャワーのコックを捻り熱い湯でからだを流すと、絋次はバスタブに近づき艶然と咲子に微笑みかけた。



咲子の切なげな声がバスルームに響いていた。
「たまらないな、その声が」
耳たぶを甘く噛みながら絋次は言う。
そのまま唇をうなじから背中へとすべらせる。
絋次の左手はやわらかな乳房を、右手は秘めやかな場所をさまよっていた。
「やっ…。ん、ん…」
全身が敏感になっていた。
触れられた部分のすべてが熱くてたまらない。
火照る頬に壁の冷たさが心地良かった。

「…入れるぞ」
潤う泉に熱い猛りをあてがいゆっくりと沈み込んで行く。
「やわらかくて、熱い…」
絋次はさらに奥へと楔を穿つ。
咲子のからだがびくりと反応し、吐息が漏れる。
その甘い吐息に誘われるように、絋次は動きを激しくし咲子を追い立てたのだった。



ともに高みに上り果て、絋次はくたりとした咲子のからだをバスローブでつつみ抱き上げて、ベッドまで連れていった。
「こー…さん。…ベッド、濡れちゃう…」
隣に横たわった絋次に視線を向け、咲子は力なくささやいた。
「濡れてもいいさ。…いや、おまえのからだの水滴はすべて、あますとこなくぬぐいさってやる」
「え…?」
「舌でね。そう、一滴も残さずに」
ちろりと舌をのぞかせ咲子を見つめる。咲子は絋次の言葉の意味を理解し、上気して薄紅色になっていた頬をさらに紅く染め上げた。
咲子の反応に絋次は満足げに笑みを浮かべた。

「少し暑いな」
起き上がった絋次は、窓辺に近づきカーテンを開け、窓も開けた。
ひんやりとした高原の夜の空気が、濃密な部屋の中へ流れ込む。
「今日は三日月か。…『初月(ういづき)』だ」
雲のかかり始めた夜空に浮かぶ月を見つめつぶやく。
「ういづき…?」
「新月のあと最初に出る月だからそう言うらしい」
聞きなれない言葉を耳にして問うた咲子に、絋次は答える。
絋次にとって、国文学者である祖父の書斎が一番居心地のいい場所であった。胸の奥にぽかりと空いた孤独を感じたくなくて、壁面にびっしりと並べられた様々な本を片端から読み漁ったのだ。

しばらく月を眺めていた絋次は、窓辺から離れベッドへ戻りふたたび咲子の隣に横たわった。
そして咲子の艶やかな唇にくちづけを落とした。

…くちづけは咲子のすべてをたどり、切ない吐息をも飲み込んだ。
2010.05.11 / Top↑
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