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とってもおひさしぶ~り~ね、な更新でございます(爆)

今回は、ウチの大姫がついに剣道を習い始め、その稽古について行って見学中にふ~と思いついた話>おい;;
ナマな剣道は、モーソーを刺激します、はい(爆)

溜め込んでいるネタもかなりあるんですが、ここ数ヶ月思うように書けないでいるので、リハビリ気分で書きました。
なので、ちょっといろいろ繋がりが悪いとかあるんですが、目をつぶってくださりませ(^^;)

タイトルは「稽古始め」をもじりました。
本来この言葉は、『道』がつく習い事において新年になり初めて稽古をすることをさしています。


ではではつづきをよむからどうぞ。
舞台は、尚壽館と草壁家です。



きっかけは芙美のこんな言葉。

「ゆうちゃんはどおしてけんどおをやりたいっておもったの?」

毎週日曜日の尚壽館でのこども剣道教室が終わった後でのことだった。
聴かれた佑介はといえば瞳を一瞬見開いて、それからしゃがみこんで芙美と視線を合わせると、にこっと笑った。
「どうしてだと思う?」
問い返した。
「ふーちゃんがきいてるんだよ」
大好きな「ゆうちゃん」の笑顔に負けじと言い返す。
「そうだったね」
佑介は笑みを深くして。
「剣道を始めたきっかけか・・・・・」
しばし考え込む。

確か自分から習いたい、と言ったわけではなかった筈だ。
けれど、栞の家には始終遊びに来ていたのだから、庭に併設されている道場から竹刀の打ち合う音や気声を耳にしていた。稽古着姿の真穂や直哉にも会っていたし、時折見学もしていたような気がする。
だから母の小都子から習ってみるかと聴かれたときに二つ返事でうなづいたのだと思う。
------後々小都子にたずねてみれば、佑介自身が持つ人にはない能力に、こころもからだも負けないように強くなれるようにという願いを込めていたのだという。
父親の祐孝の亡くなり方を知った今なら、そう願った小都子の気持ちはじゅうぶんに理解出来た。

「・・・・強くなりたいって思ったんだよ」
はっきりとした思いではなかったかもしれないが、幼いながらにそんな風に願っていた。
「ゆうちゃん、つよくなかったの?いまはこんなにつよいのに?」
芙美はくりくりとした大きな瞳で佑介を見つめる。佑介は苦笑を浮かべ。
「まだまだだよ。もっともっと強い人たくさんいるよ」
「そうそう。僕とかね」
「航」
振り向きざまに佑介は立ち上がった。
「・・・・・わたるおにいちゃんは、ゆうちゃんのつぎなの!いちばんはゆうちゃんだもん!」
「芙美ちゃん;;」
佑介の袴を掴み航をきっと見上げて、すかさず芙美が反論した。
航は笑いながら芙美の頭を撫でる。
「相変わらず愛されてるねえ、佑介は」
「わーたーるー;;」
「だってここまできっぱりとなんて、そうそう言えないよ」
「・・・・・;;」
二の句が告げなかった。


「で、芙美ちゃんと何の話してたわけ?」
幼稚園生や小学生の稽古が終われば、自分たちの本格的な稽古の時間となる。これまではいわばウォーミング・アップのようなものだ。
航は竹刀の点検をしながら隣に座る佑介に尋ねた。
「あ、剣道を始めたきっかけはなにかって」
佑介も自身の防具の紐のゆるみなどないかチェックしつつ答える。
「・・・・そーいや聞いたことないな、それ」
「別にいちいち話すことでもないだろ」
「それはそうだけどさ。せっかくだから教えてよ」
「せっかくって・・・。そんなご大層な理由じゃないぞ」
自分の能力のことを知っている航には、母の小都子が願った思いも含めて包み隠さず話したのだった。

聴き終えた航は。
「僕は父さんに誘われたのがきっかけかな」
「・・・・・」
「父さんは中学まで習っててね。高校でもやりたかったらしいけど部がなかったって。で、僕が生まれてこっちに越してきたときにここの看板を見て、また習おうって思ったんだってさ」
笑い混じりに話す航。
「そっか。・・・・・・そうやっておじさんみたいに、また始めようと思う人は多いからな」
「そうそう。つっきーのお母さんもそうだしね」
「母さんがどーしたの?航くん」
「あ、つっきー・・・・・に数道と斎姫。そろって遅れるのめずらしいね」
航が顔をあげれば、目の前に月人と数道、斎姫が立っていた。
「だから、つっきーはやめてって言ってるのに」
月人は眉をしかめて抗議するが、ジャ○ーズ系イケメンなのでそれもどこかかわいらしく見えてしまうのだ。
「たまたまですから」
「・・・・月人はばったり入り口で会っただけで」
「そんな冷たく言わなくても;;」
斎姫の氷の礫が飛んできそうな口調とそっけない数道のものいいに、航の方が怯んでしまう。佑介は苦笑いを浮かべている。
斎姫は勝気な女の子で、『のび太』な性格の月人のことを好きではないし、数道はもともと無口な性質なので、言葉を修飾して話さなかった。

「で、何の話をしてたわけ。佑介くんと」
「たいしたことじゃないよ」
なかばやきもちめいた口ぶりの月人にわざと含みを持たせて言う航だ。
「航;;・・・・・いや、剣道を始めたきっかけはなにかってね」
航が面白がっているのがわかるので、佑介が口をはさんだ。
「剣道を始めたきっかけ?」
「そう。意外とそういうことって話したことないだろ。だからね」
言われてみれば・・・・と3人は顔を見合わせた。

「・・・・俺は復帰する母さんに引っ張ってこられた」
当時のことを思い出したのか、月人はうんざりとした表情をする。
大学卒業まで剣道を続けていた母の小枝は、弱虫ですぐにぴーぴーと泣き出す月人を鍛えたく、小学校入学をいい機会にと、一緒に尚壽館の門をたたいた。
「入門したばかりの頃の月人は、稽古をすごくいやがっていたよね」
航が言うように、その頃の月人は稽古に行くと言うと泣いてぐずり、すぐにばれてしまう仮病を使ったりもしていた。
小枝に引っ張られて稽古に連れて来られても無気力で、やる気のなさは目に見えていたのだ。
「だって、本当にいやだったから;;」
だが、ある日を境にそれが無くなった。
-----佑介と出会ったから。佑介の剣道と笑顔に魅せられたからだ。
だが、佑介に直接話しかけるだけの勇気を月人は持っていなかった。
いつもいつも、近所に住み同じ小学校に通うひとつ上の航にくっついて、航が佑介に話しかけるのに便乗していた。
そうであるので、佑介にしてみれば月人は自分のことが苦手なのだろうと思っていたのだ。
それが誤解だったということは、月人自身の告白によりわかり、今では佑介への憧れの想いをさらに募らせている。
「ま、いまはそんなことないよね。部活そっちのけで通ってきているくらいなんだから」
にっと人の悪い笑みを浮かべる航だ。
「だって、こっちでの稽古の方が楽しいし、それに・・・・」
「佑介がいるから、だろ?」
「航~;;」
どうしてそうすぐに自分と結び付けようとするのか。
複雑な表情をしている佑介に航は。
「あのね佑介。それは月人だけじゃなくて、僕も数道も、そしてまだ素直に口に出しては言わないけど斎姫もそうなんだから」
月人らをそれぞれに一瞥し、一語一語ゆっくりと述べてにこりと笑った。
佑介が瞳を見開いてみなを見れば、小さくうなづく。
斎姫だけは小声で、「あたしはちがうんだけど」と言ってそっぽを向いたが。
「佑介には、それだけの力があるよ。忘れないでほしいな」
かつて咲子に、自分にはまわりを引き込むなにかがある、と言われたことがある。自身ではまったくわからないのだが。
けれど、大切な親友からそんな風に言ってもらえるのはとても誇らしいことだ。
「わかった。・・・・ありがとな、航」
素直にそう言えた。

母屋から戻ってきた真穂の、稽古開始の声がかかる。
佑介たちは手ぬぐいを手に取り、準備を始めた。



ちなみに芙美は佑介だけでなく、母の咲子に祖父母の直哉と真穂、そして曽祖父の綱寛にも「どおして?」と尋ねていた。
今日の芙美や咲子たちは稽古後そのまま草壁家に泊まり、父親の絋次も明日は取引銀行に顔を出してから出社だということでこちらに来ていた。

夕食中に芙美のその質問が始まり、咲子は真穂の全日本での決勝戦が印象に残って、自分も同じようになりたいと思ったからだと答えた。
直哉は特にこれといった理由はなく「自然に」剣道を選んだと述べ、真穂はというと。
「じじさま、いえお義父さんの形を見たのがきっかけなんです。実は」
と言った。
綱寛本人はもとより、夫の直哉も初めて聞くことであった。

-----幼い頃からお転婆だった真穂は、母親の迪子が教えるお茶やお花を習っておしとやかにしていることよりも、からだを動かす方が好きだった。
そもそも江戸時代から続く家業の呉服屋は双子の姉の沙穂が跡取りと決まっていたし、着物は大好きだったが興味はなかった。
なにか自分らしいものを見つけたいと願っていた真穂。
そして出会ったのが剣道だったのだ。

たまたまその日は迪子が不在で、自分が通う小学校の体育館で週末毎に剣道の教室が開かれていたのは知っていた真穂は、夕方祖母の伊佐子に言い置いて見に行ったのだ。
この日に綱寛が来ていた。
全日本を三度制し、七段を有する綱寛の『形』。
真穂はひとめで魅せられてしまったのだ。

「・・・・それは、光栄」
目を細め、静かに笑む綱寛。
息子の直哉が真穂を家に連れてくる前に、すでに綱寛は真穂の存在を知っていた。
「警視庁の鬼姫」との異名を持つ真穂の剣道を、綱寛は好ましく思っていた。
草壁家の嫁となるとわかったとき、「でかした」と直哉に言ったものだった。

「そうだ、真穂さん。久しぶりに立ち合おうかの」
「え・・・・」
「警視庁の腑抜けどもばかり相手にしていては、真穂さんの腕が錆付いてしまうわ」
瞳を見開いて綱寛を見ている真穂に、にんまりと笑いかける。
「直哉は女房の相手はしたくないようだしの」
「・・・・そんなことはありませんよ」
「ほう。そうかね」
「はい。おとうさんに心配されなくとも、ちゃんとお相手してますから」
「直哉さん?」
「ね、真穂」
途端顔を赤くした真穂に、直哉は艶をふくんだ視線を向けた。

「・・・・おとうさんもおかあさんもわたしたちのこと忘れてるんじゃないかしら?;;」
咲子がなかばあきれたように言う。
会話の内容が、いつの間にか剣道のことじゃなくなっているのだから。
「仲がよくていいじゃないか」
「それはそうだけど」
さらりと言ってのける絋次だ。


数日後に行われた綱寛と真穂の立ち合いは、それはものすごいものだったようだ。
2010.06.10 Thu l 短編小説 l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

@稽古の合間の休憩

佑介「…ったくもう、月人のことでなーんでいちいち俺を引き合いに出すわけ;;」
航「だって事実だろ~? しっかり『愛の告白』を受けてるんだしさ」
佑介「あのなあ;;」
航「というか、最近はまた雰囲気が変わってきたよね」
佑介「え?」
航「佑介に纏わりついているのは変わんないけど、べったり…という感じがなくなったというか」
佑介「ああ、そういえば…」
航「……かえって、よかったかもね」←にっこり
佑介「…そうだな」

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本当にお久しぶりで~(笑)。
そっか、こーゆーお話だったのですね。
真穂ままのきっかけ、へえ~っというか納得というか。
これならじじさまが気に入ってもしかたないよね(笑)。

…さて、こちらも後編、ほとんどはできてるんだけど(斎姫ちゃんと佑の互角シーンがまだ)、早くアップせねば;;
2010.06.11 Fri l 土御門佑介. URL l 編集
@稽古終了後

航「そういえば、数道と斎姫の『きっかけ』聞き損なちゃったな」
佑介「また折にふれ、聞いてみればいいだろ」
航「まあね。・・・・佑介」
佑介「?」←真面目な表情にちょっと驚いてます。
航「・・・・今年はさ、一緒にインターハイ出ようよ」
佑介「へ?」
航「去年、応援に来てくれてすっごく嬉しかったけど、やっぱり選手として一緒に出たかったからさ」
佑介「でも俺は・・・・」
航「あ、もちろん、佑介は弓道でだよ。・・・・全国大会で戦うのは大学まで我慢するから」
佑介「航・・・・」
航「暑い沖縄に、一緒に行こうよ」
航くん、にっこり笑いました。

*****************

SSは1ヶ月ぶりだったデスヨ(爆)
はい、こーゆー話でした。

真穂ままのきっかけは以前からちょっと書きたいなあとは思っていたので、書けてよかったです。
でもちょっと間違いを発見;;
久しぶりに書くとこれだから(--;)
さて、どこでしょう?(爆)

そちらの後編も待ち遠しいですが、インターハイ予選も始まってますわ。
航くんに沖縄デート(爆)♪に誘われたので、がんばらないとね~(笑)
航くんは、当然今年は東京都大会優勝ですよんv

2010.06.11 Fri l 千葉 航. URL l 編集
 

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