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5話目です。
神さまにひっかかって、この回ではおわりませんでした。
次回では必ず。

毬さんとこのオリキャラブログではお披露目済みなんですが、こちらにも着色された佑介くんの着物姿をアップしました。
栞ちゃんじゃないけど、見とれちゃいますよね。

つづきをよむからどうぞ。



(佑くん、本当によく似合ってる。・・・・それになんだか最近大人っぽくなったみたい)
yukimono.jpg

姉の咲子が、せっかくだから写真を撮ろうとデジカメを探しに行った。
佑介は、すてき、すてきと周りではしゃぐ芙美の相手をしながら、もう勘弁してくださいよとちょっと情けない声を出している。
栞はそんなふたりから少し離れたあたりで、芙美と佑介を見ていた・・・・というより、佑介から視線をはずすことが出来ずにいた。
先ほど咲子に着付けをされ、襖からあらわれた佑介の姿に、栞は瞬間、胸が高鳴った。
それはここ最近佑介に対して起きる現象。
生まれた時から近所に住み、そして自分の母が幼い時から剣道を教えている幼馴染。
いつも側に居てくれて、なにかあれば一番に自分を守ってくれる佑介。
そうであるからほんの少し前まで、平気で佑介の腕に手をまわしたり、抱きついたりしていた。
笑顔をむけられても、佑介のくせである髪をくしゃっとされたりしてもなんとも思わないでいた。
だが今は、違う。
顔が赤らみ、胸がどきどきして落ち着かなくなってしまうのだ。
--------人はそれを「恋」と呼ぶのだが。
(どうしちゃったんだろ、あたし)
(あたしがこんな風に感じているって佑くんにわかったら、きらわれちゃうかな。・・・・一緒にいられなくなっちゃうのかな)
当たり前のように佑介は自分の隣に居てくれるから、佑介を異性として意識して「恋」をしていることに自覚できずにいる栞だった。
佑介が自分を見つめている視線が、以前とはすっかり違っていることに気付かずに。


ひとしきり写真を撮った後、散策開始となった。いいかげん佑介も観念したようだ。
まずは咲子たちの住まう、人形町-----吉原が現在の地へ移る以前の吉原(葭原)はここにあり、元吉原といわれた頃からの------この花街の総鎮守である神社へお参りに行くことになった。
家から歩いて五分とかからない場所にあり、もと芸妓であったやち代などは毎日のお参りをかかさない。
この神社の主祭神は倉稲魂命(うがのみたまのみこと)と武甕槌命(たけみかづちのみこと)で、武甕槌命は毘沙門天と同一視され、この界隈の七福神の一柱ともなっていた。

到着した神社は、ビルとビルにはさまれたこじんまりとしたおやしろであったが、宮司や氏子たちがきちんと毎日お参りし掃除等していることもあってか、とても清浄とした雰囲気をかもしだしていた。
境内には様々な木や花々が植えられている。

(気持ちのいい神社だな。こんな街中にあるのに)
目の前の神社を見ながら、佑介はそう思う。
「栞は来たことあるのか?」
「うん、何回かね。・・・・そういえば佑くん、大丈夫?」
佑介には生まれながらに霊を見、聞こえるはずのない声や音が聞こえてしまうという、いわゆる霊能力を持っていた。
遠い先祖である平安の御世の傑出した陰陽師・安倍晴明の血が脈々と受け継がれて、父親もそうであったようにその力が顕現したのかどうかはわからないが、何故自分に?と疎み戸惑いながらも少しずつ受け入れてきていた。
栞はそんな佑介をそばでいつも見ていたので、神社や寺、ちょっといわくのある場所に行くとそう声をかけてしまうのだった。
「平気だよ。これだけビルに囲まれているのに、ここはすごく気持ちがいい」
「宮司さんをはじめ、氏子さんが大事にしている場所だもの。そんなヘンなのいないわよ」
参拝前の清めのため、手水舎に向かいながら、佑介の能力を知る咲子が言う。
「それに、そんなのいたら連れてきません。・・・・でも私にはわからないわね」
「咲ちゃんたら」
くすくす笑って、後に続く。佑介も苦笑せざるを得なかった。

本殿に向かい参拝を済ませると、咲子たちの声を聞きつけた宮司が出てきた。
咲子は元より栞もお祭りの際にはよく訪れていたので、しばし話しが弾んだ。
その間、佑介はひろくはないが、澄みきった空気につつまれた境内を歩いていた。
(・・・え?)
ふっと何かが草木の陰をよぎった。
(鳥・・・・?違うな。でもここは嫌な気配は感じないし・・・・・)
もう一度目を凝らして、じっと見つめてみた。
(あ・・・・!)
一瞬、ほんの一瞬、甲冑姿の武将の姿が見えた。
(まさか)
驚く佑介を歓迎するかのように、周りの木々が風もないのにさやさやと葉を鳴らした。
「咲子さん、そちらの青年はなにか武芸でも習われておりますか」
宮司がふと佑介をみながら尋ねた。
「え、俺ですか?・・・・剣道と弓道を習ってますが」
突然に問われ、当惑しつつも答える。
「ああ、やはり。かなり真摯に修行されておられるようですね」
にこりと微笑む。佑介にはわけがわからない。
「・・・・神さまが喜ばれているんですよ。武芸に堪能な方や修行をつんできた方が参られると、いつもなんです。ここは武芸の神さまをお祀りしてますから」
自分の持つ能力によって精霊や邪霊などを見たり、あちらから寄ってきたりすることはあったが、自分を見守っている晴明は別として、神さまに遭遇したのは始めてのことだった。


「咲子さん、あの神社に行ったらああいう現象が起きるの知っていたんじゃないですか?」
宮司に一礼してから神社をあとにし、公園へとむかう道すがら佑介は咲子に問う。
そんな佑介に咲子はにっこり微笑むだけ。
「・・・・甲冑を着た武将の姿まで見ましたよ」
「え?!」
「ほんの一瞬だけでしたけど」
思いがけない佑介の一言に、咲子のほうが驚いた。
「佑介くんだからかしら。・・・・姿まで見た人はたぶんいないと思うわ」
「ゆうちゃん、なにみたの?」
それまで咲子に手をつながれ、静かに話しを聞いていた芙美が大きな瞳をきらきらさせて佑介を見上げ尋ねた。
無邪気に問うてくる芙美に正直に答えてよいものか、佑介は逡巡した。芙美は自分の能力のことを知らない。
言葉を継げずにいる佑介に芙美は。
「ふーちゃんもね、じんじゃであそんでいたとき、あったんだよ」
と言うので、何に?と問いかけると。
「んとね、おじいちゃんのすきなたいがどらまにでてくるようなひと」
そのことばに咲子、栞、佑介の3人が一斉に芙美を見た。全員から注目を浴びつつ芙美はなお言い募る。
「かっこよかったよ。ゆうちゃんがみたのもおなじひとかなあ」
3~4歳くらいの子どもは神に近いとよく言われるが、それにしても神さまに対して「格好いい」などと言える芙美は無邪気なのか、大物なのか・・・。
芙美・着物


2008.04.22 / Top↑
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