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めづらしく二日続けての更新でございます(^^;)

今日のお話は「廉」ことつの字の学校生活のひとコマを書いてみました。

あ~、カテゴリをそろそろちゃんとわけないとなあ;;
「空に咲く花~」から続いている話ではありますけども。
ま、そのうち(爆)

ということで、つづきをよむからどうぞ。



「・・・・そんな目の前で見張ってなくてもちゃんと食べるから」
テーブルの上に並べられた料理の数々に内心溜息をつきながらも、廉は表情には隠して向かいに座ってにっこりと微笑んでいるアリスを見た。
なんでこんなことになったのか。
不用意な言動をしてしまった自分が悪いのであるが、まさかこういう行動に出るとは聡明な廉にも想像が出来なかった。
アリス・エヴァンジェリン・ドレイクは、実に行動的であったのだ。


「レーン。Good morning」
「・・・・おはよう、アリス」
読んでいた文庫本を閉じて、挨拶を返すべく廉は顔を上げた。
途端、アリスは浮かべていた笑顔を曇らせた。
「レン、顔色悪いわ」
「・・・・大丈夫だよ」
「もう少し家でゆっくりしてこなきゃ。ちゃんと寝ている?」
「・・・・・」
廉は、始業の一時間前にはすでに登校していた。
転入当初はそれほどはやく登校していなかったのだが、学校生活に慣れてくると当たり前のようにそうした。
前の学校でそうであったので、廉にとってはそれが「日常」であった。
「黙ってるってことは、寝てないのね」
ふうと溜息をひとつ。
「ダメよ。前よりずいぶん元気にはなったみたいだけど、まだ貧血を起こしやすいのに」
「アリスは心配性だな。・・・・・でもありがとう。大丈夫」
栗色の長めの前髪に隠されたチタンフレームの眼鏡の奥の瞳を細めて、廉は微笑む。
「・・・・たまたま今日は朝食べるものが無かったから、ちょっと抜いただけで・・・・」
もともと小食で、ましてや一人暮らしであるから、ついつい面倒になると朝食は食べずに登校してしまう廉であった。
「レン。Stand Up!!」
左手を腰に当て、右手は「立って」というしぐさをする。
戸惑いつつも廉が立つと、アリスは廉の手を強く握り歩き始めた。
「アリス?!」
驚いて握られた手を払おうとするが、アリスはより強く握って離さず、ぐいぐいと引っ張って行った。

「あれ、廉にアリス。どこに行くんだよ。もうすぐ始業だぞ」
廉の『自称』親友で(廉は照れくさいのかそう言わない)アリスの幼馴染である千里がふたりのただならぬ様子に声をかけた。
いつもはアリスと一緒に登校している千里だが、今日は寝坊をして置いて行かれたのだ。
「I return to the house. With Ren!」
早口になると母国語になってしまうアリスだ。
「?;;」
生粋の英国人が幼馴染であっても、英語が得意になるわけではないらしい。
「アリス、家に戻るって・・・・」
疑問符だらけの千里に、廉が答えた。
「I want to serve breakfast.」
「え?朝ごはん?」
breakfastはわかったらしい。
わかったらしいが、アリスは千里の疑問に答えることなく、困惑の色を顔に浮かべた廉を連れて風のようにその場からいなくなってしまった。


そんなこんなでアリスの家に強引に連れてこられてしまい(アリスの家は学校から徒歩で5分とかからない場所にあり、千里の家の向かい)、有無を言わさずダイニングテーブルに座らせたのだ。
立ち上がり帰ろうとする廉を無言で制して、アリスは次と次と料理を運んできた。

ベーコンにソーセージとスクランブルエッグ。
添えられる野菜は焼きトマトにローストマッシュルーム、ベークドビーンズ、ハッシュポテト。
マーマレードを添えたプレーンヨーグルト。
パンはもちろんイングリッシュマフィン。トーストして温まったところにバターがのせられ溶けている。
フレッシュジュースはグレープフルーツで。
そして、英国といえば「紅茶」。
ブレックファーストティーと呼ばれるアッサムとセイロンをベースにしたブレンドにしたものがポットで。

いわゆる、イングリッシュ・ブレックファーストだ。
廉は知識として知ってはいたが、あまりの量の多さに目を見張る。
「OK, please Ren.」
言いながら、アリスは廉の向かいの椅子に座る。
(どうぞって、これ全部を食べるのは・・・・)
困惑する廉。
自分はもともと小食だが、出されたものを残す行為は、基本好きではない。だから最初から減らしてもらう。
目の前で笑みを浮かべているアリス。きっと廉がちゃんと食べるまでは解放する気はないのだろう。
・・・・・仕方ない。
残すのは嫌だから、食べられる分だけを取り分けて、あとは下げてほしいと廉はアリスに交渉したのだった。

渋々ながらもアリスはその提案に承知したが、パンと紅茶だけとかヨーグルトのみというのはなしだと駄目押しをし、持ってこさせた新しいお皿にそれぞれひとつずつのせた。
廉にとってはこの量でさえ多かったが、アリスの自分を心配している気持ちもじゅうぶんにわかるので、なんとかがんばって食べてみせたのだった。


「ありがとう、レン。がんばって食べてくれて」
「・・・・そろそろちゃんと食べないといけないから。こちらこそ、おいしい朝食をありがとう」
ここ1ヶ月ほど実家にもどっていない廉にとって、久しぶりの手料理だった。
恋人の日夏里が休日に廉の部屋へ訪れれば、時々簡単な料理を作っていたがここしばらくはそういうこともなかったのだ。
「さて、学校に戻らないと」
立ち上がろうとするアリスを制し、廉は自分が先に席を立ってテーブルの反対側に周り、アリスの横に立った。
「レン?」
見上げるアリスの手を取り、立ち上がらせ。
「Thank you for wonderful time. Alice.」
にこっと微笑んだ。
「You're welcome.」
アリスもきらめく笑顔を返した。


廉とアリスのふたりが学校に戻ると、クラスではとんでもない騒ぎになっていた。

・・・・廉とアリスが『カケオチ』したと。

アリスが廉の手をぐいぐいと引っ張って校内から去っていく姿を大勢の生徒が目撃していたのだ。
さすがに教師たちはふたりがそのようなことをするわけがないとわかっていたが、1時間目の授業を無断欠席したのはまずかった。
千里が廉とアリスはアリスの家に行ったようだと話したが、なんで家に戻ったのと問われると答えられず(アリスが英語で言ったため)、なんの助けにもならなかった。
とはいえ、日ごろの行いの悪くないふたりである。400字詰め原稿用紙一枚の反省文提出のみですんだのであった。


「ちゃんと、日本語で言ってってくれよな~」
と、千里はぼやくが。
「センリがわかるように、中学生レベルの英語で言ったけど?」
涼しい顔でアリスが答えた。
「アーリース~、おまえなあ;;」
じと目でアリスを睨む千里の横で、廉がくすりと苦笑した。
2010.07.09
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