今回のお話は、ワタクシの大好きなフィギュアスケートのシーズンが本格的に始まったということで、フィギュアネタでございます。

GPS(グランプリシリーズ)の初戦、今季は日本での開催「N/H/K/杯」からでした。(検索よけ;;)
このN/H/K/杯をBShiの放送で視聴しているフィギュアファンの楽しみに、アイスダンスの解説をなさっている方のお名前が冠したトーク番組が、EXの前と休憩時間に行われているんです。
N/H/K/杯に出場した選手をよんで。

それで今回はこのトーク番組をネタにして都ちゃん・流奈&マックス・稜を登場させてみました。

ではではつづきをどうぞ。


「流奈とマックスは、表彰台」
「みゃーこちゃんと僕は5位入賞」
「まずは、シニア第一戦」

氷の上で円陣組んで。

「いよいよ出陣と行きますか!」

ときの声とばかりに、こぶしをつきあげた。



都に稜、そして流奈&マックスの4人が、フィギュアスケートのグランプリシリーズ第一戦であるN/H/K/杯の開会式直後にそうしたのが一昨日のこと。
最終日の今日は、すでに男子シングルフリーも終了し、いまは男子シングルを実況したアナウンサーの針谷とアイスダンスの解説をした井口 温(いぐち のどか)が出場選手らを囲んでのトークタイムがキス&クライで開かれていた。
「のどかの部屋」と銘打って、毎回エキシビジョン開始前と製氷時間中に行われ、選手の思いがけない本音などを聴くことが出来ることもあり、フィギュアスケートファンにはお馴染みのものであった。


「エキシの順番、あたしたちのなかで稜が一番最初に滑るんだよね」
エキシビジョンの衣装の上にジャパンジャージをはおり、トークの出番を待つ都たち。
海外の上位選手や先輩選手が次々とトークインタビューを受けているのを、バックヤードのモニターで見ている。
「うん。第一部の最後にね。だからこっちは・・・」
トークを繰り広げているキス&クライに視線をやり。
「第一部が終わったあとの、製氷時間の方で呼ばれてるよ」
「わたしたちとみゃーこは台乗りしたんだもの。メダリストは二部に滑るの」
流奈はふふんと笑い都の肩を抱いて引き寄せた。
「・・・・どうせ僕は4位だよ」
「流奈ってば~。・・・・稜も拗ねないでよ。あたしと稜は5位入賞が目標だったんだから、4位だって立派な成績だよ」
と慰めるが。
「でもみゃーこちゃんは3位じゃないか」
「ショートの貯金のおかげと3位と4位の選手が崩れたから、かろうじて3位になったようなものだもの」
都はSPはほぼ完璧で2位につけたが、フリーはジャンプの転倒があいつぎ5位。本人の弁にもあるように、SPでの得点に助けられて総合で3位に入った。
シニア初参戦で3位は立派な成績なのだが、それゆえに手放しでは喜べなかった。
「稜はSP5位だったけど、FP4位で総合4位でしょ。それにシニア初試合でクワド決めたんだからすごいよ」
にこっと笑うと。
「みゃーこちゃん!」
がばっと抱きついたが、すかさず流奈が引っぺがした。
「ここは練習リンクじゃないんだから、そういうことしないの。写真でも撮られてあることないこと書かれたりしたら、困るのはみゃーこなんだよ」
「ごめん」
「あたしは気にしてないから、大丈夫。・・・・・・あ、流奈たち呼ばれてるよ」
係員の呼ぶ声に、流奈たちはキス&クライに降りていった。

「・・・・・僕たち、幼馴染みたいなもんで恋愛感情なんてないし、ただスケートが大好きでがんばっているだけなのにね」
ぽつりと稜は言う。
先輩のシニア選手が五輪と世界選手権でメダルを獲得し煌くように活躍しているのもあって、今や、フィギュアスケートはちょっとしたブームだ。
都たちも世界ジュニアで優勝(流奈たちは銀)し、スケート以外でメディアへの露出の多かったオフシーズンだった。
このN/H/K/杯出場前にも、様々な取材を受けていたのだ。
「そうだね。・・・・でも奈央ちゃんや圭輔くんたちはきっともっと大変だったんだと思う。・・・・今回もアベック優勝したし、またファイナル進出がどうとかこうとか、うるさそう」
自分たちは誰のためでもなく、自身がスケートを好きで愛しているからこそ、たったひとりあの場所に立てるのだ。
ふうと都は溜息をついた。


-----流奈とマックスの座るキス&クライでは・・・・。

「上橋選手、トリタニ選手。3位おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「アリガトゴザイマス」
アナウンサーの祝辞にかるく頭をさげる流奈とマックス。ふたりの成績は、SP3位FPも3位の総合3位という結果だった。
「正式にシニアに上がっての初戦で表彰台。立派ですよ。それにふたりとも、とても素敵な雰囲気を演技に出せるようになりましたね」
解説者の井口が、おっとりゆっくりと話す。風貌もやわらかで、厳しくもあたたかい解説をすることから、スケートファンの間では「井口地蔵菩薩さま」などと呼ばれていた。
「ありがとうございます。・・・今シーズンはSPもFPもプログラムがとてもく大人っぽいので、いままでのような感じではいけないなと思っているんです」
「そうですか。・・・・ではでは、上橋選手は以前ほどトリタニ選手を怒らなくなったということですね」
マックスよりひとつ年上でもともとの性格が姉御肌なところもある流奈は、ついつい弟のような感覚でマックスに接してしまっていた。普段がそうなので、演技にもおのずと出てしまっていたのだろうし、ファンやスケート関係者はふたりの関係をよく知っているから、このような言葉が出てくるのだった。
「・・・ニホンデレッスンシテイルト、ルナヨリミヤニオコラレマス」
話の流れがわかっているのかいないのか。
マックスの言い分に、インタビューしているアナウンサーは瞳をしばたたかせた。
「その、徳成選手は本当に、練習熱心で真面目だから」
フォローのつもりで流奈は言うのだが。
「それじゃトリタニ選手が不真面目みたいに聴こえますよ」
すかさずアナウンサーが突っ込み、明るい笑いが起きた。

「そろそろ『のどかの部屋』名物、演技ビデオ拝見と行きましょう。・・・・・SPとFP、どちらに?」
進行役の針谷アナウンサーに問われ、流奈とマックスは顔を見合わせる。そして。
「SPを」
「フリーじゃないんですか?」
「FPはまだ全然ダメなので、あまり見たくないです」
マックスと頷きあう流奈。
「だめですよ。そんなことを言ってては。・・・・針谷さん、フリーにしましょう」
にっこりと笑顔で言うのだが、有無を言わせない何かを漂わせている井口に、流奈もマックスも当然反論なぞ出来る筈もなく、言われたとおりにするしかなかった。

FPの曲はアラン・ルフェーブル の「Un Ange Passe(アンジェ パッセ)」。
フランス語で、ふっと会話が途切れて、「あ、いま天使が通り過ぎた」 という瞬間のことを『アンジェ パッセ』と言うのだそうだ。
流奈とマックスは、想いが通じ合ったばかりの若い恋人同士の、戸惑いや恥じらい、ふたりでいる嬉しさなどの細やかな心の動きを表現しようとしていた。

少し離れた位置にてスタートするふたり。
曲が流れ始め、ふっと視線を上げお互いの姿を確認して駆け寄る。そしてそのままふたりでスピンに入る。
スピンがゆっくりほどけると、手を繋いでなめらかなステップで滑りだした。
「ちょっとアイスダンスっぽいですね」
「とんでもないです」
針谷の一言を即座に否定する流奈。
「いえいえ、ポジションが美しくなりましたよ。・・・・ほら、このラッソーリフト。フリーレッグの処理が格段に進歩してますね」
「ルナハイツモ、ミラーノマエデポーズレッスンシテマス」
「マックスってば」
「いいことですね。表情の研究もすると良いですよ」
井口はにこりと笑いかける。

プログラムは進み、ダブルアクセルで流奈が手をついた。
「フリーではソロジャンプとコンビネーションジャンプのどちらも失敗しちゃって・・・・」
もともとジャンプの得意な方ではなかったが、難しいものは入れてない。SPではマックスが転倒していた。
「でもそれ以外の要素が格段に進歩しているから、表彰台なんですよ」
「井口先生・・・・」
「夏場にものすごくトレーニングしたのでしょう?わかりますよ」

終盤にさしかかってのストレートラインステップ。途中ふたりが交差しあい、手をふれ離れる。
「ここ、いいですね。互いの気持ちが伝わって切なくなりますよ」
「・・・滑っている方は必死だったんですけど」
「そうなんですか?」
「ユーリ先生が、すごく複雑で難しいステップを振り付けてくれて・・・・」
「滑りこなせるから、振付けてくれたんですよ」
「井口先生~」
さらっと井口に言われ、思わず情けない声が出てしまう。
「もう少しエッジを深くするといいですけどね。でも素敵なステップですよ」

映像は最後のソロスピン。
声をかけて回転数やチェンジエッジをあわせるのだが、普通は男性が多いこの声かけも、ふたりの場合は流奈がそれをやっていた。
やがてスピンがとかれると、ふたりは近づいて手を取り合い、ワルツを踊るようにくるくると数回まわって、互いを抱きしめた。
とても余韻の残るラスト。
が、どっと会場から笑い声があがったのだ。

「これがなかったら、もっとよかったんですけどね」
井口も笑いをこらえている。
「そうですね。なにも叩かなくてもねえ」
針谷アナも苦笑いだ。
「・・・・・マックスが調子に乗るからです!」
流奈はほんの少し頬を赤らめている。
「ルナニ、カンシャノキモチヲミセタダケダヨ?」
マックスにとってはどうして流奈があんな反応をしたのか、いまだ理解出来ないようで・・・・・・。
「日本人はああいうことしないの!」
「そうでもありませんけどねえ」
「井口先生!」
キス&クライにますます笑いの輪が広がった。

----最後のポーズをとった後にマックスが流奈にしたこと。
それは触れ合うだけの軽いものではあったのだが、キスをしたのだ。
これまでも演技の後、マックスは流奈の頬や手の甲にキスをしていた。
それなのにこの日は、唇にしたのだ。
ファースト・キスではないけれど、頬や手の甲にされるのと唇ではまったく意識が違う。
キスをされた流奈は、瞳を見開き真っ赤になった。
そして。
「マックスのばかっ!」
思いっきり引っ叩いたのだった。

・・・・・ちなみにジャッジも笑っていたそうだ。
2010.11.13
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