10
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
今日、二度目のアップです。
明日の朝・・・とも思いましたが、内容が内容なので。

「桜始開(さくら、はじめてひらく)」3で追記にアップした「玄関にて」の続きです。
・・・・「あだると」です。はっきり、きっぱり「あだると」です。

大丈夫な方のみ、続きを読むからどうぞ。



「おとうさん、おはよう」
額に手をあてながら起きてきた絋次に、芙美は元気な声で挨拶をした。
だが愛娘のその挨拶も、この重い頭には顔をしかめる要素でしかなかった。
「・・・・おはよう、芙美」
そうは言っても、挨拶をされたら挨拶を返す。どんな時でも当たり前で基本的なことだ。
「おとうさん、げんきないね」
「大丈夫だよ。しばらくすれば治まるから」
心配そうな表情をした娘になんとか笑顔をむける。芙美は「ほんとうに?」と絋次の顔をのぞきこんだ。絋次はぽんぽんと軽く芙美の頭をたたく。
------と、ここでいつもならすぐに声をかけてくる妻からの挨拶がないのに気がついた。
「芙美、おかあさんは?」
咲子の姿が見当たらない。
「おかあさん、あっちのへや」
と、居間をはさんで絋次が出てきた部屋の反対側にあるほうー箪笥などが置いてある部屋ーを指差した。
「そうか。ありがとう」
言いながら、居間を通り抜け芙美の指差した部屋へと向かう。


「咲子?」
妻の名を呼びながら襖を開けると、そこには着物を着た咲子が立っていた。
咲子は老舗の呉服屋の孫娘で一年中着物を着ている母親に育てられたうえ、自身も茶道をたしなんでいるので、着物を着ていることはめずらしくもなんともなかった。
ただ、普段は家ではあまり着ないほうだ。ましてや出かけるのでなければ朝から着ていることはない。
咲子の着物姿はよく似合っていて、絋次もその姿が好きではあるが少し訝しく思った。
だがそうは思いつつもまずは朝の挨拶を、と部屋の中に入って妻に近づき、頬に手をかけ顔を上にむかせて桜色の口唇にそっとふれるだけのキスをした。
口唇を離し、妻の顔をじっと見つめれば気まずそうに視線を逸らした。そんな咲子の反応に絋次は戸惑う。しかもなんとなく咲子の顔が赤い。
「どうした、体調でもよくないのか?」
「なんでもないわ」
「なんでもなくないだろう?それにめずらしく着物着て」
と、肩に手を置き上から下までながめた。
「芙美は?」
「そっちの部屋にいるぞ」
居間を指差しながら答える。
「そう」
「咲子、本当にどうしたんだ?」
咲子は絋次の顔を見、溜息をひとつついた。
「・・・・こーさん、覚えてないの?」
「なにをだ」
「ゆうべのこと」
そう言って咲子はさらに赤くなった。
「ゆうべ・・・・?」
と絋次は考え込み。
「都竹さんに付き合わされていつもよりペースあげて酒飲んだから、かなり酔っ払っていたが・・・・」
「・・・・・」
「なにか、したか?」
一音一音区切るように尋ねた。

昨夜は絋次にしてはめずらしく酔って帰ってきたのだ。
元芸妓だった祖母に「お酒は飲んでもいいが飲まれちゃいけないよ。自分をなくすなんて持っての他だ」と教えられ、法的にはまだ飲酒してはいけない年齢から祖父母にお酒の飲み方を鍛えられていたので、酔っ払って記憶をなくすなんてそうそうあることではなかった。

「本当に覚えてないの?」
もう一度咲子に問われ、しばし考え込む。そして・・・・・・。
「あ」
思い出したようだ。
「・・・・だから着物着ているのか?」
こっくりと咲子は無言でうなづく。
「悪かった」
「・・・・だって、ちょっと腕めくると見えちゃうんだもの。それに鎖骨とか胸元とか・・・・」
と咲子の声はだんだん小さくなる。
「そんなあちこちにつけたかな」
さらっと返す絋次だが、大きな声ではいえないところにもつけた覚えが自分にはもちろんある。
「つけました!・・・・全然離してくれなかったし」
「そりゃ、数週間ごぶさただったからな」
「こーさんっ」
「うえていたんだよ、俺は」
「知らない。もう、ばかっ」

北海道への出張から帰ってきた絋次は、ずっと残業が続いていて帰宅は深夜になってからであった。
なるべく絋次が帰ってくるまでは起きて待っている咲子だが、11時を過ぎたら寝てくれて構わないと言われているので、気になりつつも先に寝ていた。
昨夜は酔っ払ってはいたが、11時前に帰ってきたのである。
疲れているだろうし、少しでもはやく休ませてあげようとソファに座り込んだ絋次をなんとか立たせ、隣室の布団のところまで連れて行った。
スーツを脱がせないとしわになってしまうので、上着を脱がそうと絋次に手をかけたところで、引き寄せられ布団に押し倒された。
「つづきをしないとな」
そうつぶやいて、あとは咲子を思うがままに貪ったのだった。

「・・・・起きたのならごはん、食べて」
部屋から出て行こうとした咲子を捕らえた。
絋次は、無言でそこにいろと咲子にジェスチャーをする。それからすたすたと居間へむかい。
「芙美」
「なあに?おとうさん」
お絵かきの手をとめ、答える。
「もうすぐやち代さんがいつものお参りに行くだろう?一緒に行っておいで」
「うん、わかった」
そう言うとクレヨンなどを片付けて、芙美は一階のやち代のもとへ降りて行った。

「わたしも行くつもりなんだけど」
隣室との襖を閉めて戻ってきた絋次に咲子はそう言う。
が、絋次はその言葉を無視し、
「この辺りにもついているのか」
と咲子の腕をとり、袖口から手を差し入れ、そのまま袖をめくりあげて白い腕にくちづけをした。
「ここは、ないな」
腕を放したかと思うと、今度は咲子を壁に押し付けた。
「ちょ、ちょっとこーさん。朝から何するのよ」
芙美を階下へ追いやったことといい、なにやらアヤシイ雰囲気だ。
「・・・・まだ足りなくてな」
ぐっと近いてきた絋次を押し戻そうと胸を両手で押すが、絋次はその両手をとらえ左手で咲子の頭の上で押さえつけた。
「こーさんっ」
聞かず、さらに絋次は右手で咲子の着物の裾を割り、すかさず咲子の両足の間に自身の右足を差し入れた。
「・・・・もっと、欲しいんだ」
熱情を帯びた目で咲子を見つめ、そのまま口唇を重ねた。
「・・・・ん」
歯列を割って侵入した絋次の舌が咲子を翻弄する。
絋次の右手は腿の外側から内側へとすべり、脚の付け根に達した。
「ここにもつけたかな」
咲子の耳元にそっと囁く。そのまま耳の後ろにくちづけ、口唇をうなじから首へと優しく落としていく。
「あ、いやっ」
絋次の指が中心をとらえた。指はさらにあやしくすべりおり、奥の潤った熱い泉にたどりつく。
「・・・どう・・し・・・て・・・・?」
絋次の指によってもたらされる熱い波に抗いながら、咲子は問う。
「いつだって、お前が欲しいんだ」
そう言うと絋次は指を引き抜き、咲子の左脚をかかえ、自身の熱く猛った塊を潤う泉にあてがい、一気に貫いた。
「ああっ」
絋次は左手をはなし、咲子の両腕を解放する。咲子は解放された腕を絋次の首にまわした。
「愛しているよ・・・・。いつでも、お前だけを」



「もう、ばかばか!こーさんのおおばかっ!」
結局、せっかく着た着物は絋次に脱がされ、所有のしるしをさらに増やされてしまった咲子だった。
「そう、ばかばか言わないでくれ。頭に響く」
咲子のとなりで寝ている絋次はこめかみを押さえた。
「響けばいいのよ。いい気味だわ」
「冷たいな」
「当然でしょ?・・・・やち代さん、なんて思ったかしら」
神社へのお参りは咲子も一緒に行く予定だったのだ。
「なんとも思わんさ。そんな野暮な人じゃないよ」
「わたしが恥ずかしいの!もう、こーさんの節操なし」
「ひどい言われようだな。妻を求めて何が悪いんだ」
しれっと絋次は言う。
「時と場合によるのっ」
「なら、いつならいいいんだ?」
「いつなんて、知らないわよ」
「じゃあ、いまでもいいんだな」
そう言って、咲子を引き寄せる。
「そうじゃなくて」
「もう、だまれ」
実力行使で咲子の口唇をふさいだ。
咲子が絋次の腕の中から解放されるのは、まだまだ先のようであった。
2008.05.09 Fri l R-18 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

 

コメントの投稿












 

トラックバック

トラックバック URL
http://mizuhohagiri.blog35.fc2.com/tb.php/30-436856e3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)