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いろいろなことが起きた区民大会でした。

佑介くんが栞ちゃんに思いを告げるのももうすぐ・・・・かな?

あ、龍くんと馨さんをはじめて動かしてみました(^^;)
大丈夫ですか、よもぎさん。


7/1
一部修正。突発SSはあとで読むといろいろ;;




「やなのっ!おうちかえんない。ばばのとこいく」
佑介の足にがっちりとしがみつき、目に涙を浮かべながら芙美は言った。
「わがまま言わないで。やち代さんとおおじいちゃまが待ってるのよ?おおじいちゃま、今日来られなくてがっかりしてるんだから。早く帰ってあげなきゃ」
我が娘を見下ろし、ため息混じりに咲子は告げる。
『おおじいちゃま』とは絋次の祖父・史隆(ふみたか)のこと。
春休みに佑介と栞が咲子のところへ遊びに来た時は、学会があって会えなかったので(史隆は平安文学が専門の国文学者)今日の区民大会をとても楽しみにしていたのだ。
だが、ここ数日の気温変化に体調をくずし風邪をひいてしまった。
熱があるわけではないので一試合だけでも見たいと史隆は言っていたのだが、元来丈夫な性質ではないのでやち代と絋次に止められたのだ。
「だって、だって。ふーちゃんもおいわいしたい」
頑固なところは誰に似たのか。
大きな目に涙を一杯ためてはいても、なお言い募る。
「・・・・・さっき、佑介くんを独り占めしてたでしょ?この後は友達に返してあげなさい」
咲子も譲らない。
ふたりのやりとりを見ていた佑介は。
「芙美ちゃん」
足にしがみついていた芙美の手をはずし、ひょいと抱き上げた。
「芙美ちゃんの気持ち、じゅうぶん伝わったよ。・・・・来週からまた剣道教室の時間に稽古に行くから、その時に会おうね」
「ゆうちゃ・・・。うっ、ふぇ・・・・」
佑介に優しくそう言われ、芙美は涙をこらえることが出来なくなった。佑介の首にぎゅっとしがみつき、大きな声で泣きはじめたのだ。
「もう、芙美ったら・・・・」
そこまで佑介のことが好きなのかと、咲子は苦笑するしかなかった。

「あの子か、前に佑介が言ってた姪っ子って」
佑介たちから少し離れたところで、佑介の応援に来ていた弓道部のメンバー、梁河や衣里那たちは居た。東都学院高校の高野龍や伏見馨とともに。
「ほんと、佑ちゃんに懐いているのね~」
とは衣里那。
「さっきも佑ちゃんの頬にちゅってキスしてたよ」
「・・・・馨、よくあの二階席から見えたね」
「馨の目は『デビル・アイ』だから、りうさまが行くとこはみんな見えるの」
「・・・・(^^;)」
馨は嫣然と龍に笑いかけた。

「栞ちゃん、ちっちゃなライバルだね」
「え?」
みんなから少し離れて佑介と姉咲子のやりとりを見ていた栞に、衣里那が近寄ってこそっと話かけた。
「・・・・あのくらいの頃は素直になんでもおもてに出せてよかったよね。ちょっとうらやましくもあるかな」
「衣里ちゃん・・・・?」
衣里那の少々含みのある発言に栞はいぶかしんだ。
秋口に対抗試合をすることになっている翠嵐女子の弓道部部長が突然来校した事は佑介から聞いており、そのことと何か関係があるのかとふと栞は思った。
「ごめん、忘れて。なんでもないから」
心配そうにじっと自分を見つめる視線に気がついて、衣里那は笑いながらそう言う。
何か悩んでいることがあるんだろうか。
少し前、佑介とのことでいろいろ気をもんでいた自分に、衣里那は親身になってくれたのだ。
力になれることなら、出来る限りのことをしてあげたいと思っていた。
「あたしで力になれることなら言ってね」
「ありがと」

泣いてても決定は覆らないと感じたのか、芙美は泣き止みはじめた。
「芙美。佑介くんのお友達待っているんだから、いいかげんこっちきなさい」
「・・・・・」
咲子が佑介から芙美を抱き取ろうと両手を差し出すが、芙美はその腕を涙に濡れた瞳でじっと見るだけで、佑介の腕の中から動こうとはしなかった。
そんな芙美を見て佑介は・・・・。
「芙美ちゃん」
「!」
「佑介くん?!」
芙美の名を呼び、ふと顔をあげたその芙美の頬に今度は佑介がキスをした。
芙美は何が起きたかわかっておらず、咲子も佑介の行動に驚いた。
「芙美ちゃんからのおめでとうの気持ちはたくさんもらったよ。ほんとにありがとう」
そう言ってにこりと笑った。

「・・・・うちの娘をあんまり誘惑しないでくれないかな?」
それまで黙って様子を見ていた絋次が口をはさんだ。
「星野さん;;」
佑介はどう返答すればいいのやら(笑)
「ははは。冗談だよ。・・・・いつも芙美を可愛がってくれてありがとう」
いまだ呆然としている芙美を佑介から抱き取りつつ絋次は言う。目元に優しさをたたえながら。
「いえ、そんなこと」
大会が始まる前に激励を受けた時もそうだったが、どこかこれまでとは佑介に対する絋次の接し方が変わっていた。
佑介はその絋次の接し方にとまどいはあるものの、嫌な気持ちにはまったくなっていなかった。むしろ心のどこかに嬉しさが息づいていたのだった。
「もう、こーさんたら。佑介くん困ってるじゃないの」
「困らせてないさ。・・・・たださっきみたいなことは、栞ちゃんにしてあげるんだな、佑介くん」
と、絋次は片目をつぶる。
「!」
佑介の顔がわずかに朱に染まった。
咲子が自分の気持ちを知っているのはわかっていた。だけど、普段あまり接することのない絋次にまで自分の気持ちが悟られていたとは・・・・・。
「ま、自分の気持ちははやく伝えた方がいいな。・・・・・なにかとね」
自分のことは目一杯棚に上げておいて、絋次は言う。
こんなこと言う絋次とて、今は妻となっている咲子に思いを伝えるのに何年かかったことか。
・・・だからこそなのかもしれないが。
「その辺にしておいてあげて。・・・・ごめんね、佑介くん」
「いえ、その」
咲子は絋次をにらんだ。
(変なこと言わないでって言ったのに!)
「今日は本当におめでとう。お祝いの宴会に参加できないのは残念だけど、お友達たくさん来てるしね。目一杯、祝ってもらいなさいね」
いまだ顔の朱が引かない佑介に咲子はにっこりと笑いかける。
やはりどこかこの人にはかなわないと思う。
栞とのことでからかわれることは多々あるが、最後には本当の姉のように優しく包み込んでくれるのだ。
「ありがとうございます」
「こーさんの言ったことは気にしないで。・・・・機が熟すのはもうすぐよ」
「咲子さん・・・・・」
栞とのことを言っているのだとすぐにわかった。

芙美はいつの間にか絋次に抱かれたまま寝てしまっていた。朝から「ゆうちゃんのおうえん♪」とはりきっていたので、疲れてしまったのだろう。
今のうちに帰るわね、と咲子は直哉や真穂そして佑介の母の小都子と祖母の梅乃に、もちろん佑介と栞、梁河や衣里那、龍に馨・・・・などなどに挨拶をし帰っていった。

「・・・佑くん、咲ちゃんと何話してたの?」
衣里那のことが気になって、佑介たちの居るほうには行かれずにいた栞だった。
「ん?・・・・宴会(笑)に参加できなくて残念だってさ」
「ふふ、咲ちゃんらしい」
まさか絋次に自分の栞への思いが悟られてて、早く言った方がいいと言われたなんて口が裂けても言えない佑介だった。
・・・・その前に芙美にしたことは栞にしてあげろと言われたことも。
絋次に言われなくたって、心の中では栞にそうしたいと思っている自分が確かにいる。
気持ちを伝えて、抱きしめたいと。
でも、そうしたが故に今の関係すら壊れてしまったら・・・と思うと今一歩、先へ踏み出す勇気がずっと持てないでいた。
だが。
栞への思いは日々大きくなり、抑えきれないところまできている。
咲子にも「機が熟すのももうすぐ」と言われた。
大会が終ったら、はやく気持ちを告げろとも。
・・・・覚悟を決めないといけないと佑介は思ったのだった。


2008.06.30 Mon l 短編小説 l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

デビルアイ…って;
龍「…なんか馨には秘密で、いいことも悪いこともできない感じ…(ぼそっ)」
馨「何か言った?りうさま。馨の耳は地獄耳だよ」
龍「……(^^;; 汗」
#馨くんって、冥闘士(スペクター)だったのか(笑)


こちらにも登場させていただき、ありがとうございました。
それにしても、すっかり佑ちゃんにも新しい家族ができた感じですね。(よもぎ)
2008.06.30 Mon l 高野龍. URL l 編集
ごめんなさい(^^;)
@帰りの車の中。
咲子「あの男の子が佑介くんと一時期ウワサになった『高野くん』なのね。ほんとイケメンだわ~。隣にいた伏見くんは『美人さん』だし。東都がイケメン率高いって本当だったんだわ」
絋次「・・・・なんだ、ウワサって」
咲子「たわいのないのよ。佑介くんとあの高野龍くんってこがアヤシイって(笑)」
絋次「あやしいって、佑介くんは栞ちゃん以外目に入ってないじゃないか」
咲子「そんなの関係ないの。・・・・なによ、こーさんだってあったくせに」
絋次「え?」
咲子「高校生の頃、ライバルだった松澤くんと」
絋次「・・・・・冗談はよせ(^^;)」

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馨さんなら、龍くんの行くところは全て見渡せるんだろうなあと考えたら、「デビル・アイ」って台詞が出てきちゃいました。
ごめんなさい(^^;)

そろそろ次の「学園祭~」あたりで本格登場していただく予定です。

2008.07.01 Tue l 星野咲子. URL l 編集
 

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