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今日の更新も毬さんちのオリキャラブログ「佑遊草子」「護る力、剛き心」2を受けての突発SSです。
咲子たちも、佑介くんの意識が無事戻ったと連絡をもらいました。
つづきをよむからどうぞ。



佑介の意識が無事戻ったと連絡が入った。

「まったく、はらはらさせるね。ま、よかったよ、これでうちの茶碗たちの命も長引くってえもんさ」

こんな憎まれ口をたたくやち代だが、咲子がいつもの人形焼を買いに行ったときに会ったやち代の三味線のお弟子さんに、「間違えたのに、怒らないお師匠さんにはびっくりしました。何かありました?」と言われたのだ。
咲子自身は、やち代の言うとおりこの数日でかなりの枚数の食器類を昇天させていた。
・・・・・割ったことにしばらく気が付かないこともしばしばだった。
佑介を慕う、芙美は芙美で口数少なくすっかりしょげきって、元気がなかった。
・・・・自分達は佑介の「身内」ではないけれど、「身内同然」に過ごしてきた。
「他人」だなんて、忘れてしまうくらいに。
佑介が目覚めないこの数日間は、とてもとても長かった。

「佑介くん、目を覚ましたって」
居間で、春に佑介と栞が遊びに来てくれた時に栞からもらったリボンを自身の髪とお気に入りのお人形につけてもらい、その人形を抱きしめぼんやりと座っていた娘の芙美に咲子は告げる。
「・・・・ほんと?」
大きな瞳が見開いた。
「ほんとよ。まだ起き上がったりは出来ないけどね」
咲子はやさしく、微笑む。
「じゃあ、あしたゆうちゃんにあえる?」
これまで、週に一度は必ず剣道の稽古で佑介に会っている芙美にとって(区民大会前の荒稽古時にはしばらく会えなかったが)、二週間近く顔を見ないだけでもつらいようだ。
こう即答してきた娘に、咲子は苦笑せざるを得ない。
「芙美が会えるのはもうちょっとあとかな?」
言いながら、咲子は芙美をひょいと抱き上げ、それまで芙美が座っていたところに自身が座り、芙美を膝の上に乗せた。
「どおして」
向かい合う形で咲子の膝の上にいる芙美は、不満そうに母親の咲子の顔を見上げる。
「ん~。まずはしーちゃんからだから」
「なんでしおちゃんはいいの?」
「佑介くんの恋人だからね」
「こいびとって?」
「この世で一番大好きで大切な人のことかな」
「・・・・・ふーちゃんだって、ゆうちゃんのこと、いちばんすきだもん」
負けじと言い募る芙美。
「ゆうちゃんだって、ふーちゃんのことだいすきっていってくれたもん」

(どう納得させたらいいのかしらねえ・・・・・・)
佑介が芙美に言う「好き」と栞に対する「好き」は当然意味合いが違うのだが、3歳児の芙美にそれを分かれというのは無茶な話。
「・・・・そうね。そう言ってくれるよね、佑介くん」
「うん。だから、あいにいくの!」
母である咲子が同意してくれたので、芙美は今すぐにでも行きたいかのように宣言する。
そんな娘がかわいいが・・・・・。
「でもね。佑介くんは芙美のことお嫁さんにしたいとは言わないでしょ?」
残酷かなとは思うものの、女の子は早熟だ。いずれ困ったことにならないうちに事実をきちんと分からせた方がいい。
------佑介はあくまで「やさしいおにいさん」でしかないことを。
「・・・・・しおちゃんになら、いうの?」
ぽつりとつぶやく芙美に、咲子はこくりとうなづいた。
「どおしてえ」
「しーちゃんがとてもとても大事で、ずっと一緒にいてほしいから」
「ふーちゃんもいたいよ」
「いてもいいのよ。でもね、場所がちがうの」
「ふーちゃん、わかんない」
そう言うと、芙美は泣き出した。
(まだ難しかったかな。・・・・・でもやさしさを誤解しちゃうといけないし)
泣いている芙美を自分の胸に引き寄せ、なでる咲子。
(しーちゃんと一緒にわたしも行くつもりだったんだけど、これじゃ無理かな;;)

咲子はしばらく泣いている芙美をあやしていた。

芙美の泣き声が段々と静かになっていた。
また、泣きつかれて寝てしまったのか思い、そっと顔を覗き込むと涙で真っ赤な瞳をしてはいたが、起きていた。
目が合う。
「おかあさん」
「なあに?」
「・・・・・しおちゃんのあとになら、あいにいける?」
一生懸命、泣きながら自分を納得させたのだろう。
「ええ、行かれるわ。大丈夫」
「じゃあ、ふーちゃんがまんする」
「いいこね」
咲子は芙美をぎゅっと抱きしめた。

(芙美を泣かせてしーちゃんを泣かせて。小都子おばさんだって、梅乃おばあちゃんだってきっと泣いたわ。もちろん実家の母だって)
こう思う咲子だって、連絡を受けた時に泣いたのだ。
(・・・・・こんなにも周りを心配させて佑介くんたら。覚悟しなさい。女の涙は高くつくんだから!)

2008.10.09 / Top↑
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