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本日の更新は、久しぶりの「IF」です。
キャラの10年後を書く、なんでもありなパラレルな世界の話でございます(爆)

作中登場人物があまりに多くて、思いがけず長くなったので、前後編にわけました。
ま、後編は近日中に(^^;)

と、いうことで。
パラレルでもなんでもOKさ、という方はつづきをよむからどうぞv


10月のとある土曜日。天気は快晴。実に運動会日和。
------矢の倉中学、本日運動会開催である。


午前の部が終わり、昼食の時間になった。
ここ矢の倉中学では近頃の中学校としてはめずらしく、観戦に来ている保護者のもとで一緒に食べる形を取っていた。
だが、どうしても保護者が仕事などで来られない生徒もいるわけで、そのような生徒は担任のもとに集まって食べるように指示されていたのだった。

「あ~、おなかすいたあ」
腕に「一等」の印であるピンク色のリボンをたくさんつけて、芙美がやってきた。
運動神経抜群の芙美は、自分が出場した徒競走や障害物競走のすべてで一番を取り、三学年合同のA組・赤チームの得点におおいに貢献した。
学年でも1,2を争う足の速さということもあって、運動会の最後の種目であり花形の『スウェーデン・リレー』の選手にも選ばれていたのだった。
「おつかれさま(笑)今ひろげるから待ってて」
くすくす笑いながら、母親の咲子は重箱のお弁当を広げ始める。
「ふーねーね、いちばんいっぱい」
そう言うのは、一番下の妹の草乃。現在3歳。
「あたしも来週がんばるぞ!」
これはすぐ下の妹の萌。9歳で小学3年生。
「ぼくだって。ぜったい一番とってやる」
「じゃ、どっちがたくさん取るか競争だからね」
「負けないからな!」
何かというと、すぐに萌と競争したがるのは、きょうだいの中で唯一男の桐梧。小学2年生。
萌とは年子でその萌が活発で男勝りなこともあり、よく喧嘩をするふたりだ。
「ふみねえさま、すごい」
4女の蒔絵はちょっと異質で、幼稚園の年長の6歳なのだが、とても大人びている。
子供らしさをあまり出せない性格のようで、きょうだいの中で一番懐いている芙美の前では感情がおもてにでてくるようだった。
母方の祖父母、母親の咲子、そして叔父の佑介が剣道をし、父親の絋次とて大学までは弓道をたしなんでいたという武道一家に囲まれながらも蒔絵は一切武道を習っていない。
(芙美・萌・草乃は剣道を桐梧は弓道を習っている)
蒔絵が習っているのは、茶道と華道だ。
現在は母親の咲子から習っているが(咲子は表千家の地方講師)、いずれは曾祖母のいる深川(祖母の真穂の実家)で習おうと思っているらしい。
咲子に言わせると、「深川の血が濃く出た」とのことのようだ。
「草乃も蒔絵もありがと♪萌と桐梧は来週がんばってね」
弟妹達のねぎらいの言葉に答える芙美。
このように、芙美の家族は今時めずらしい「大家族」だ。今日は見に来ていないが、曾祖父母(父親の絋次の祖父母)も健在で一緒に暮らしている。
そして、これだけでも結構周囲から注目の的であるのに、母方の祖父母と母の妹である叔母とそのこども(つまりいとこ)も来ていたのだった。
この叔母の栞は、実は芙美の現在担任である土御門佑介の奥さんだ。
つまり、担任の佑介は芙美にとって「叔父」にあたり、それゆえに栞やいとこにあたる佑介と栞の子供・幸祐もここにいるのだ。
叔父が担任になる・・・・ということはそうそう有り得ないが、ふたりの居住地も苗字も違うのであるから、事前に血縁関係(とはいっても戸籍上のことでしかないが)があったとは分かる筈もなかった。

「・・・・・こうやってあらためてみると、すごい人数だな(^^;)」
芙美より少し遅れて佑介もやってきた。家族がこられないクラスの生徒達を何人か引き連れて。
家族が来ている生徒でさえ、佑介と一緒に食べたいと言ってたりしたのだ。
・・・・・・佑介はとても生徒達に慕われていたから。
「お疲れ様、佑くん」
「生徒達も一緒だけど、いいよな」
「全然構わないよ。・・・・だって、もともと大人数だもの(笑)」
確かにそうである。
「おじゃましま~す」
生徒達が挨拶をしながら、三々五々座りだした。
「相変わらず佑先生は人気者なのね」
「そうだよ。授業が面白いのはもちろんだけど、なんといっても、若くてかっこいいもん♪」
得意気に芙美は言う。
そんな娘の様子に、まだまだ佑介くんが一番なのか・・・・とこっそり咲子は溜息をついた。
「そうそう。社会なんて、絶対つまらないと思っていたけど、佑先生の授業は面白いです」
「休み時間も、よくおれらとあそんでくれるし」
「話もよく聞いてくれるよね」
お昼を食べに来ていた生徒達が口々にしゃべりだした。

「剣道教室でもそうだけど、本当に子供に好かれるのねえ、佑介くんは」
少し離れた位置から佑介たちを眺めていた真穂が言う。
「いつも真っ直ぐで真剣だからね。嘘は言わないし。子供達にはちゃんとわかるんだよ」
にこやかに微笑みながら、目を細めて直哉が答える。
「そういうところは昔から変わりませんね」
やはり、嬉しそうにそう言うのは芙美の父親の絋次。・・・・ということは、佑介の義理の兄になる。
佑介が妻の妹の栞と結婚してまだ4~5年くらいだが、栞と佑介がずっと仲の良い幼馴染だったこともあって高校生くらいからずっと佑介たちを見てきていたのだ。
栞と佑介のふたりが結婚し義理とはいえ佑介が弟になって、兄弟のない絋次はすごく嬉しかったようだ。

「そう言えばこーさんは保護者対教職員でやるレースにでるのよね」
「・・・・・・おまえが名前を書いたからな;;」
「あらだって、佑介くんが出るって芙美から聞いたんだもの。だったら、こーさんも出なくちゃv」
にっこりと笑う咲子。
「あらそうなの?確か借り物レースなのよね。どんなのがあたるかしら。面白いものだといいわねえ」
「・・・・・お義母さん(^^;)」
真穂はとても楽しそうだ。
「芙美から『エプロン』をつけて走るってきいたよ」
「お義父さんまで・・・・・・」
・・・・・・なんだか遊ばれているような気がしてならない絋次だった。


「真穂先生、こんにちは」
「あら、慧大くんその出で立ちは・・・・」
昼食時間も終わりに近づいた頃、夏休みから尚壽館に稽古にきている東山慧大が顔を出した。
「けーたくんはA組赤チームの応援団長なんだよ」
「ああ、それで」
慧大は剣道着姿に面と小手以外の防具をつけ、頭には少し太めの長くて赤い鉢巻を締めていたからだ。
夏休みに九州は鹿児島から転校してきて(もともとは東京なのだが)学校へは9月からの通学だったが、快活でやんちゃないかにも元気な「男の子」で、そのうえ優しく気遣いも出来るとあって、あっという間にクラスにとけこみ、気が付くと応援団長に担ぎ出されていたのだ。
剣道着姿なのは、慧大が全中ベスト4なのを知ったクラスメイトが「慧大ならそれが一番だよ」と言ってくれたから。
「これから応援合戦なんです。A組赤チームの勝利を願って、精一杯エールを送ります」
にこっと笑う慧大。なかなか整った顔立ちをしているので、お昼を食べに来ていた佑介のクラスの女生徒達が「慧大先輩」などときゃあきゃあ騒いでいた。
(・・・・・・なんで苗字で呼ばないのかな)
どうしてかはわからないが、クラスメイトが馴れ馴れしく慧大のことを名前で呼ぶのが気に入らない芙美であった。
「がんばってね、けーたくん」
だからわざと大きな声で言ってしまった。名前で呼ぶのは自分の特権だと言わんばかりに。
「ああ。見ててくれよな」
今度は芙美にむかって笑いかけ、それから慧大は校庭の所定の位置にむかって走っていった。
(芙美ってば、独占欲丸出し・・・・・^^;)
一部始終を傍らで見ていた咲子はあきれていた。
(ほんと、幼いわね。慧大くんの気持ちには全然気が付かないのに、自分以外の子がちょっかいだすといやがるなんて)
「あのこか、全中ベスト4って」
横にいた絋次が咲子に聞く。
「そうよ。・・・・・気になるの?(笑)」
何かというと、「ゆうちゃんが」と言っていた芙美の口から出てきた佑介以外の名前が「けーたくん」だった。
初めて顔を会わせたその日も夕食で、芙美は慧大のことを話題にした。そしてもちろん、全中でベスト4を取った時も。(芙美は応援しに行っていた)
父親としては気にならないといえば嘘になる(笑)
「とってもいいこよ。気持ちがさっぱりしてて。ちょっと佑介くんに雰囲気似てるかな」
「・・・・・なんで母子そろって」
ぽつりと呟く絋次。
咲子の初恋が佑介の父親の祐孝だというのが、いまだどこかにひっかかっているようだ。
「なに?」
「なんでもないよ。・・・・・さ、少しは準備運動でもしておくかな」
いぶかしむ咲子を尻目に絋次は立ち上がり、靴をはいて観戦席の後ろの空いているスペースの方へ歩いていった。
「相変わらずだね、絋次くんは(笑)」
「ほんとうに(笑)」
そんなふたりの様子を真穂と直哉はくすくす笑いながら見ていたのだった。

2008.10.11 Sat l 「IF」シリーズ l コメント (0) トラックバック (0) l top

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